前川健一の象がバンコクを歩いていたころ

野外写真屋 vol.010

カメラ付きケータイが登場するのはこの10年後。それまでこの商売が続いたのだろうか?

場所は王宮前広場。男は写真屋なのだが、ケータイが登場して以降の世代には理解できない商売だろう。

かつて、どこの国でも写真が貴重だった時代がある。カメラが高価で、貧乏人には手が出なかった時代があった。この写真を撮った1990年、タイでもコンパクトカメラはある程度普及していたが、だれでも持っているわけではなかった。これもスマホ世代には理解できないだろうが、カメラを持っていてもフィルムを買わないといけないし、現像やプリント代もかかるから、ぜいたく品だった。

王宮前広場の写真屋は、人間プリクラ機という存在だっただろう。友人や家族がここに来た記念に、「写真を撮ろうか」というときの利用法だった。故郷に送る写真でもあった。

料金前払い制。出来上がった写真は、再びここに取りに来るか、郵送だ。

本当に送ったのかどうかは知らない。信用するしかないのだろう。


前川健一の1枚の写真で振り返る ー 象がバンコクを歩いていたころ
古いポジフィルムから蘇る記憶。今はああだけど、昔はこうだった。タイの新旧を写真とともに振り返るコラム。
まえかわ・けんいち 2003年から2018年までダコ本誌にて『前川通信』を連載。特集からコラム、広告までをも辛口の批評をくれているダコ名誉顧問ライター。『タイ様式(スタイル)』(講談社文庫)など著書多数。また、旅行人HP(www.ryokojin.co.jp)にエッセイ「アジア雑語林」を連載中。

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