特集

【現採白書 リアル編】年代、住んでる地域、月収など現採データ大公開

とうとうこの日がやってきた。
現採。現地採用と呼ばれる、タイにある企業に属するサラリーマン。

2018年6月、「駐妻白書」を刊行した際に読者から「現採白書もやって!」との声が上がった。
「では、アンケートが100件集まったら特集化しましょう」と約束し、始めたその日に、160件もの回答が集まった。これは、現採たちの「自分たちの声を聞いて欲しい」、そして「仲間の声を聞きたい」という強い気持ちの表れではないだろうか。

駐在員との待遇の格差に涙し、日本と比べ安い給与で暮らしている人々、というイメージがなんとなくつきまとう現採。月5万で暮らせる楽園などと謳われるタイで、働き暮らすことを決めた彼らは、本当はどんな気持ちでタイにいて、どんな生活をしているのか。ありのままのリアルをここで共有しよう。

現採プロフィール

タイで働く現地採用ってどんな人たち?
今回アンケートに答えてくれた方のデータをまとめました。

Q1性別は?(回答250件)

:48.8%
:50%
男女比はほぼ同率という結果に! 驚くほどキレイに半々。その他の方が0.2%

Q2 年齢は?(回答249件)

24歳以下:1.2%
25~29歳:16.1%
30~39歳:30.5%
40~49歳:35.7%
50~59歳:13.7%
60~64歳:1.2%
65歳以上:1.6%

Q3 在タイ歴は?(回答249件)

1年未満:10%
1~3年未満:15.7%
3~5年未満:18.1%
5~10年未満:19.7%
10~15年未満:16.5%
15~20年未満:11.2%
20年以上:8.8%
これは見事にバラバラ。ちなみに同時に聞いた「現採歴」もほぼ同じ分布に。在タイ歴=現採歴という人が多いようだ。

Q4 住んでるエリアは?(回答249件)

1位:オンヌット(20人)
2位:トンロー(18人)
3位:エカマイ(12人)
4位:プラカノン(11人)
5位:サートーン(9人)
ほどよくローカルで都心にも近いオンヌットが堂々1位。チョンブリーやサムットプラカン、チェンマイなど他県の人も。

Q5結婚してる?(回答248件)

未婚:54%
既婚:46%

わずかに未婚が上回ったものの、ほぼ半々。現採の中心年齢が30~40代ということで、これは多いのか少ないのか。

Q6(既婚の人へ)パートナーの国籍は?(回答112件)

日本:44.6%
タイ:55.4%
【日本人パートナー】男女半々くらい。もしやご夫婦でアンケートに答えていただきました?
【タイ人パートナー】男性6割、女性4割。タイ夫を持つ日本人女性の割り合いが意外に多い! こちらもほぼ半々。未婚の方にもパートナーの国籍を聞いたところ約6割がタイ人、3割が日本人、残り1割がその他の国だった。

Q7(既婚の人のみ)子供はいますか?(回答113件)

いる:66.4%
いない:33.6%
タイで現地採用をしている既婚者の約6割が子育てをしている。これも、意外に多い気がする。

Q8 子供の学校は?

日タイ夫婦(回答39件)

1位:タイの私立校24人(61.5%)
2位:タイの公立校8人(20.5%)
3位:インター校5人(12.8%)

日本人夫婦(回答19件)

1位:インター校10人(52.6%)
2位:日本人学校・幼稚園6人(31.6%)
3位:タイの私立校2人(10.4%)

現採と仕事

勤めている会社はどんな会社? そして現採のスキルは? みくびってもらっちゃ、困るぜよ!

Q9 なんでタイで働こうと思ったの?

1位:タイが好き、タイに住みたい(20人)
2位:海外経験を積むため(17人)
3位:パートナーがタイ人だったから(7人)
4位:タイの将来性(6人)

Q10 お勤めの会社は?(回答240件)

日系企業:67.9%
タイ企業:22.1%

Q11 タイ人と働く、よさと悪さって何?(回答252件)

【よい】
優しいし思いやりがある
ハプニングへの対応力がある
自分の精神が鍛えられる
外国人として扱われる気楽さ
プライベートを大切にする
【悪い】
自己中心的な人が多い
面と向かって本音を言わない
仕事の計画性がない
言語の壁がある
細かく指示しないと動いてもらえない

Q12 業種は何ですか?(回答242件)

1位:製造(75人、31 %)
2位:飲食・サービス(24人、9.9%)
3位:商業・貿易(23人、9.5%)
4位:IT関連(20人、8.3%)
5位:学校(18人、7.4%)
上位5業種をピックアップ。以降は旅行・ホテル、金融、コールセンターと続く。

Q13 今の会社決めた決め手は?(回答202件)

1位:給与、待遇(30人)
2位:社長の人柄(17人)
3位:立地がいい(13人)
4位:経験を生かせるから(11人)
5位:やりたい職種だから(9人)

そのほかには「ヘッドハントされた」「日本で働いていた会社の系列だから」というものも。

Q14 仕事を決めたのはタイに来る前? 後?(回答251件)

:50.6%
:49.4%
仕事を決めずに来た人が半数も。タイに来る前からマイペンライ精神が備わっていたか。

Q15 タイ語できる?(回答252件)

雑談できるレベルの中級日常会話:33.7%
タクシー、買い物などの簡単な日常会話:29%
ビジネス会話と読み書きまで:18.7%
ビジネス会話:13.1%
話せない:5.5%

Q16 英語できる?(回答252件)

ビジネス会話:39.2%
雑談できるレベルの中級日常会話:29.8%
タクシー、買い物などの簡単な日常会話:25%
話せない:6%
ビジネス会話ができる人は約4割。タイ語とさほど大きくかわらない割り合いか。

現採とお金

お待たせしました。みなさんが一番気になるお金のお話です。
現採は貧乏、なんていいますが、実は……?

Q17 現在の月収(手取り)は?(回答249件)

3万B未満:3.7%

(25~19歳:1人、30~39歳:4人、40~49歳:2人、50~59歳:2人/製造、学校、コールセンター)

3~4万B未満:5.6%

(24歳以下:1人、25~29歳:3人、30~39歳:3人、40~49歳:5人、50~59歳:2人/学校、コールセンター、IT、金融、商業・貿易)

4~5万B未満:7.2%

(25~29歳:1人、30~39歳:6人、40~49歳:5人、65歳以上:2人)
(学校、小売、NPO・NGO、製造、飲食・サービス、マスコミ、病院)

5~7万B未満 28.1%

(24歳以下:1人、25~29歳: 22人、30~39歳:21人、40~49歳:19人、50~59歳:3人、60~64歳:2人、65歳以上:1人/航空、IT、飲食・サービス、学校、小売、製造、金融、旅行・ホテル、マスコミ、商業・貿易、コールセンター、NPO・NGO、土木・建設)

7~10万B未満 22.1%

(25~29歳:8人、30~39歳:19人、40~49歳:18人、50~59歳:8人、60~64歳:1人/商業・貿易、美容関係、コールセンター、製造、飲食・サービス、コンサル、運輸・物流、IT、旅行・ホテル、NPO・NGO、金融、病院など)

10~15万B未満 20.9%

(25~29歳:2人、30~39歳:13人、40~49歳:24人、50~59歳:12人、不明:1人/製造、土木・建設、飲食・サービス、運輸・物流、金融、商業・貿易、IT、学校、病院、コンサル)

15~20万B未満:5.2%

(30~39歳:2人、40~49歳:8人、50~59歳:2人/製造、土木・建設、コンサル)

20万B以上 7.2%

(25~29歳:1人、30~39歳:5人、40~49歳:7人、50~59歳:4人、60~64歳:1人/広告、IT、金融、製造、人材紹介、会計事務所、輸出、飲食・サービス、病院、運輸・物流)

Q18 タイに来る直前の月収は?(回答249件)

15万円未満:9.6%
15~20万円:未満19.7%
20~30万円:未満34.9%
30~40万円未満:21.7%
40~50万円未満:5.6%
50~60万円未満:2.5%
60~70万円未満:3.2%
70万円以上:2.8%
こちらは年齢や居住地にも左右されるので参考までに。

Q19 福利厚生は?(回答249件)

労働ビザ:93.6%
ワークパーミット:96.8%
ビザ、ワークパーミットの更新費用:92%
社会保険:85.9%
民間医療保険:63.5%
積立基金:35.3%
健康診断:70.3%
研修費:22.1%
出勤の交通費:41%
家賃補助:20.9%
役職手当:23.7%
残業代:17.7%
食事手当:15.7%
自分の一時帰国渡航費:15.7%
家族の一時帰国渡航費:2.8%
未消化の有給休暇の買い取り:16.1%
社員旅行:36.1%

みなさんの会社の福利厚生を聞いてみた。労働ビザとワークパーミットが100%にならないのは、回答間違いだと信じたい……。

Q20 月の貯金額は?(回答246件)

5000B未満:32人
5000~1万B未満:28人
1万~1万5000B未満:31人
1万5000~2万B未満:29人
2万~3万B未満:50人
3万~4万B未満:20人
4万~6万B未満:24人
6万B以上:32人
これはキレイに分かれました。当然給与額が多いと貯金も多くなるが、月給5~7万Bで「6万B以上貯金」と答えた人もチラホラ……。家庭の貯金の総額かな。

Q21住まいは?(回答252件)

賃貸:78.2%
持ち家:19.8%
その他:2%

<賃貸家賃>

5000B未満:11人
5000~1万B未満:49人
1万~1万5000B未満:57人
1万5000~2万B未満:34人
2万~3万B未満:28人
3万~4万B未満:10人
4万~6万B未満:6人
6万B以上:4人

<持ち家のローン額>

5000B未満:11人
5000~1万B未満:3人
1万~1万5000B未満:2人
1万5000~2万B未満:4人
2万~3万B未満:5人
3万~4万B未満:8人
4万~6万B未満:3人
6万B以上:1人
持ち家が約20%! そのうち14%がなんと単身者で家を購入している。

Q21-2 休日は何をして過ごしてる?

1位:家事・育児
2位:部屋でゴロゴロ・ネットサーフィン
3位:買い物に行く

海外暮らしらしさを感じさせない回答がほとんど。まぁ、日常ですもんね

現採と駐在

駐在員に対して、現採は何を思っているのか。
正直な気持ちを教えてプリーズ!

Q22 あなたの会社に駐在員は?(回答246件)

いない:51.6%
いる:48.4%

ほぼ半々。日系企業勤務の人が7割なので、駐在員のいない日系企業もあるということ。

Q23 駐在員との格差を感じる瞬間は?(回答246件)

給料・待遇を知ったとき!!

<その他の意見>

・ 社内で駐在員だけの集まりや会食があり、現地採用にはメールも回って来ない。日本から出張者、もしくは新しい派遣員が来ても、現地採用には挨拶しない
・ 格差は全然感じない
・ 健康診断。現地採用はタイ人と一緒に会社で実施するが駐在員は日本語可の病院で行う
・ 本社での知名度
・ 日本からの情報の速さ
・ 駐在員は忙しくてかわいそう
・ 格差は感じないが、意識の差は感じる。早く日本に帰りたそうだったり
・ 何かあっても帰れる場所があるのは羨ましい
・ 格差を感じるなら現採で働くべきではない。辞令で赴任されてきた人が手厚い保護を受けるのは必然

Q24 駐在員にひとこともの申す!!

面と向かっては言えない思いを、今ここでぶつけてみよう。駐在のみんな、聞いてくれ!
・日本からの来客対応などお疲れ様です
・仲良くやっている。いつもありがとう
・毎年新しい人が駐在で来る度に同じことを説明させるのはやめて!引き継ぎして!
・飲み会では多く払って
・放っておいて
・日本のやり方を押し付けすぎるとタイ人スタッフは逃げます。タイの習慣を理解して妥協点を考えてほしい
・駐在員ならせめて英語くらいは勉強しろ!
・お互い大変なこともありますが一緒に頑張りましょう
・タイはあれこれと言ってるけど、たいてい間違っています!
・タイ人部下に軽蔑されてる事にすら気付けない鈍感さはある意味最強
・住む国、住む場所を自分で決められないのはかわいそう
・食べたいものは自分のお金でも別に食べられるので、ドヤ顔でおごられると腹たちます
・むしろ海外で一人で生き抜くスキルや力があるのは現採のわたしたちのはず!
・女遊びをするのはいいけれど、大声で武勇伝を語らないでほしい

人材会社に訊け!

ここまでお届けしてきたのはいわば働く側の声。では最後にタイ就職のプロに、今のタイ採用市場の話を聞いてみよう。タイの就職事情、ホントのところどうなの?

お話を聞いたのは……

JACリクルートメント・タイランド代表
山下勝弘さん
JACはタイで最大手の日系インターナショナル人材紹介会社。タイ人、日本人を中心に正社員
紹介に特化した人材紹介サービスを展開。タイでの就職・転職を考えたい人はコチラのHPから。

JACでは業界・職種別に特化したプロのコンサルタントがついて就職・転職をフォローアップしてくれる。写真・右から、堀さん、松原さん、代表の山下勝弘さん、芦刈さん、南方さん、森田さん。みなさん、日本人の求職をサポートしてくれるメンバーだ。

【グラフA】タイ現地採用のポジションの変化。※母数はJAC Recruitment Thailandの年間入社成約実績数で平均90名。2018年のみ途中経過のため約60名

ここ7年で、現採は圧倒的に変化している

ダコ:今回の特集をやると告知したとき、だれよりも早くご連絡をくれたのが山下さんでした。「伝えたいことがある!」と、編集部に来てくださって。

山下:笑。そうです。でも、個人的なメッセージではなくて、あくまでデータに基づいた事実のお話をしたくて。我々は、毎年求職者のデータを追っているので。

ダコ:たしかにダコの「現採白書」は、あくまで今現在の現地採用者のリアルですよね。たとえば……、まぁ一番気になるのが給料なのですが、想像以上にみなさん高給でした。これって就職市場的にもそういった傾向にあるんですか?

山下:これはね、ここ7年くらいで状況が大きく変わってきています。求職者の就いた役職を比べると、マネージャー職が増えていますよね(グラフA参照)。当然給与も高くて月収10万B超えてくる方もいるので、アンケートの結果は納得できます。

ダコ:管理職の現地採用が増えている、と。これは何かあったんですか?

山下: そうですね…… 。まずは、①タイに進出する日系企業は毎年増え続けていること、②優秀な現地採用者が増えていること、③それに気づいた企業がタイ支社を現地化し、駐在員ではなく現地採用を重要な役職につけるケースが増えていること、などが挙げられます。

「現地採用のイメージはもう変わりはじめていますよ」

ある意味、タイは現地採用戦国時代

ダコ:優秀な現地採用が増えている!

山下:変わってきていますよ。昔は、バックパッカーがタイに流れ着き日本での社会人経験がないまま初めてタイで就職する、というケースも多かった。ですが今は、それなりに名のある大学を出て、日本で社会人経験を積み、自分の意志で海外経験を積みたいとタイに来る人が増えています。

ダコ:なるほど。それだと現採の年齢のボリュームゾーンが30~40代というのも納得できますね(Q2)。

山下:まぁ、そういう僕は元バックパッカーですけどね。

ダコ:優秀な現地人材が増えたことと、日系企業の現地化はどちらが先かわからないですが、相乗効果で現地採用のポジションは上がっていったということですね。

山下:本当に今は優秀な人材が多いですし、企業が求める人物像も理想が高くなってますね。日本の働き方やしきたりをわかっている人、その上で英語を使いタイのスタッフとコミュニケーションできることが当然のように求められる。

ダコ:タイ語より、英語なんですね。

山下:英語……だよね(まわりのスタッフ全員強く頷く)。最低TOEIC600点。ビジネス英語というよりは職場のタイ人スタッフと意思疎通するためのものです。それらが備わった上で、さらなる語学力や職務経験をもった人がタイ就職市場にはゴロゴロいます。昔のタイは「やる気だけはあります!」でも就職口はあったのですが、今は……

ダコ:聞いてて胃が痛くなってきた。もうタイで転職できる気がしないです。

今や、現地採用はキャリアである

ダコ:そもそも、日本人の海外就職者って増えてるんですか?最近の若者は海外旅行しない、パスポートも持ってない、なんて話も聞きますが……。

山下: 急な増加はないですが、10年スパンで見るとブームですよ。海外進出企業も増え続けているし。でもね、ここ3年は日本国内が完全に売り手市場ですからね。いい求人も多いので、海外に出たい気持ちがあっても国内で就職する人も多いんじゃないかな。

ダコ:たしかに、今日本が人手不足って話はよく聞きますね。新卒採用も転職採用も。

山下:今すごくチャンスなんですよ。海外進出企業は増えているのに、英語が話せて海外業務をできるようなスタッフがいない。本社の人手も足りない。現地に優秀な日本人がいるなら、海外拠点はその人に任せようとなるわけです。


ダコ:それって優秀なタイ人じゃダメなんですか?

山下:日系企業は完全にタイ人ローカル化することはほぼないでしょう。日本の本社に英語が話せる人がいないケースも多いですし、日本の仕事の進め方は独特ですから。だから日本で社会人経験のある現地採用は重宝されます。

ダコ:ということは、今の時代、現地採用でもキャリアアップできるってことですね。

山下:そうです! ここからが本当に話したいことだったんですよ!! 現地採用でタイにいながらキャリアを積めるのはもちろん、日本に帰国後、「タイでの就職経験」がプラスとなってキャリアアップするパターンも増えてきています(図B参照)。

ダコ:わ! 年収が1.5倍!

山下:そうなんです。

ダコ:日本での転職って「一度年収下がったら終わり」っていうか、タイで年収が下がってしまったら、かつての水準に戻すのって難しいと思ってました。

山下:最近は変わってきていますね。海外経験のある日本人の価値は上がっている。この図の彼も、もともとは国内営業でしたが帰国後は海外営業職になっています。タイの経験がなければこの転職はできなかったでしょう。

ダコ:現地採用の未来……、選択肢が増えている感じがしますね。ちょっとこれ、次号で真剣に考えてみたいと思います。

山下:そうですよ! 本当にこれを伝えたかったんです。みなさん、現地採用の経験は武器です。かつては「日本で活躍できない人がタイに行く」なんて言われていたけど今はもう……

ダコ:山下さん! ページ数がもう足りないです! その話は、次号で!! 必ず!!


特集記事より抜粋(第493弾 11月20日発行号)
取材・文/ダコ編集部
マンガ/はづき葉月

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