今号の読者からのご相談
(前略)タイのテレビで毎日20時から放送されているタイ版「王室アルバム」についての疑問です。
番組では、(中略)王室の方々のニュースが放送されますが、タイトルバックの音楽でドイツの行進曲「旧友」が流されることを長年疑問に思っております。
タイとドイツの間には特別な関係があり、わざわざこの曲を使用しているのでしょうか。(Fumi)
ブンからの回答
なぜドイツの行進曲?
日本語で寄せられた私への問い合わせを、毎回、編集部の日本人が要訳して伝えてくれているのですが、今回は世界で最も有名と言われる行進曲「旧友(日本語曲名)」もyoutubeで聞かせてもらいました。ホントだ! チャンネル3のニュース番組の前に流れるテーマソングだ! でもなぜ?
タイの行進曲だった!
この曲を採用しているのはチャンネル3だけですので、局に電話してニュース担当の方に尋ねたところ、驚愕の事実が! ……Fumiさんも私も大勘違い。チャンネル3で20時にかかるこの曲はプミポン国王陛下が近衛兵のために作曲された「ザ・ロイヤル・ガード(近衛兵)・マーチ(The Royal Guards March)」でした。
原曲は1948年にプミポン国王陛下が近衛兵のために作曲した「ラジャワンロップ(「王様の友」の意)」です。
すると近衛兵が、ぜひ歌詞をつけたいということになり、近衛兵のひとり、シーポー氏が作詞を請け負いました。
ところが歌詞がメロディより長かったので、国王がシラパコーン大学の音楽教師ピティ氏(タイの国歌も作曲)に編曲を依頼。こうして現在の「ザ・ロイヤル・ガード・マーチ」が生まれました。
一度youtubeで聴いてみてください。ドイツの「旧友」とはまったく別のものです。
王室用の曲にあらず
さてチャンネル3の開局は42年前の1970年3月26日で、初代社長であるサッパシリ氏がこの行進曲を20時からのニュース番組の直前に流すことを決めました。当時は20時になるとまず王室関連のニュースを、続けて一般のニュースを伝えていました。
現在は競合局との対抗上、16時~18時まで一般のニュース番組。18時~20時まではドラマやバラエティ番組。そして20時から王室関連ニュースという番組構成になっています。
一般のニュースは早く始まるようになりましたが、行進曲をかける時間は42年間20時から動かず。それでFumiさんのように王室ニュースのタイトルバックの音楽と思えてしまうわけですが、チャンネル3では王室用の曲ではなく、あくまでニュースのテーマ曲であるという見解でした。
チャンネル3初代社長
ところでFumiさんと私に誤解を与えるきっかけとなった(?)初代社長のサッパシリ氏は存命で、現在92歳。当時の趣味はビデオ撮影で、タイで初めてアニメを制作したり、ボクシングの実況中継を自らかって出たり、さらにはシンガポールで開催された国際的なイベントに参加して数々の賞をモノにしたこともあるそうです。
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