3分でわかる!今週のタイ・ニュース解説

【3分でわかる!今週のタイ・ニュース解説】民政移管1年。タイ政権の権力闘争が表面化


タイでは今週も様々なニュースが駆け巡りました。そのなかでも注目のニュースを、ダコの姉妹紙である「newsclip」編集部が解説します。
今回のテーマは、混乱の様相が見える「タイの政権」について。

newsclip.be発、今週の注目ニュースは?

7月15日 「ソムキッド副首相ら4閣僚辞任 タイ、内閣改造へ」
https://bit.ly/2OwOpYZ

※参考記事
7月9日 「タイ、財務相ら失脚 内閣改造へ」

https://bit.ly/3h9Pq5C

6月10日 「タイの経済3団体、TPP加盟交渉支持」

https://bit.ly/3eGEhY5

4月28日 「タイのTPP参加に暗雲 連立2党が反対」

https://bit.ly/2OyMe7a

7月15、newsclip.beで「ソムキッド副首相ら4閣僚辞任 タイ、内閣改造へ」という記事が掲載されました。ソムキッド副首相、ウタマ財務相、ソンティラット・エネルギー相、スウィット高等教育・科学・研究革新相の4閣僚とコープサク首相副秘書官長が同日に辞表を提出したというニュースです。

2014年のクーデターによって樹立された、プラユット陸軍司令官(後に首相)率いる軍事政権。5年後の2019年に実施された議会下院総選挙によって民政移管し、現政権は第2次プラユット政権として発足しました。このところ、環太平洋経済連携協定(TPP)への参加を巡る対立や閣僚の辞任など、民政復帰わずか1年での権力闘争が目に付きます。

TPPに関しては、newsclip.beが「タイのTPP参加に暗雲 連立2党が反対」(4月28日)というニュースとして掲載しています。経済担当のソムキッド副首相(当時)が推進し、日本政府に参加の意向を伝えていましたが、連立与党2党が反対に回ったこと、さらには同副首相自身の閣外追放の噂が流れ始めたことにより、先行きに不透明さが増しています。

不安を感じたタイの経済団体がTPP加盟交渉を支持する場面も見られました(「タイの経済3団体、TPP加盟交渉支持」(6月10日付))。そして、「タイ、財務相ら失脚 内閣改造へ」(7月9日)および「ソムキッド副首相ら4閣僚辞任 タイ、内閣改造へ」(7月15日)のニュースです。

TPPの話題が出てきた後にソムキッド副首相が辞任に追い込まれるという流れだけを見ると、現政権内の不和は経済政策での意見の不一致によるものと見ることができますが、実は閣僚ポストを巡っての権力闘争というのが大方の意見です。

一連の流れはnewsclip.beに詳しく掲載されているためここではざっくり、連立与党第1党のパランプラチャーラット党の下院議員や主要派閥が閣僚ポストを求めて、今回辞任の4人に圧力、TPP参加の話も権力闘争に巻き込まれた感あり、という説明に留めます。

ソムキッド副首相は以前のタクシン政権でも軍事政権でも経済閣僚として活躍、同副首相を中心に立案された経済政策の元で、多くの日系企業がタイ進出・事業拡張を果たしたといえます。

今年は政治動向に要注意

今年の政治的なゴタゴタは、議会下院総選挙が実施される前から予想されていました。DACOは2019年1月5日付496号にて、newsclip.beスタッフがパーヌワット・パンウィチャートクン(林海水)風水師を取材した「大御所風水師が視るタイの、世界の2019年」という記事を掲載。

そのなかでパーヌワット氏は、「2019年2月中に選挙を実施できなかった場合、2020年以降にデモ発生や閣僚に関して問題が起こることを危惧している」と答えています。取材を通し、氏は政治に関して占いというより知識で予測している、と感じていました。かなりの確率で当たるのではないかと予想し、実際に選挙は3月24日に実施、今年に入ってデモ頻発と閣僚辞任の事態に陥りました。

今年は政治の話題を注意して追う必要があると思います。ただ頻発しているデモなど、2009、2010年のいわゆる赤シャツ暴動や2013、2014年の反政府運動の規模にまで発展するか否かは、全くもって未知です。たいていのタイの人たちは、「歴史は繰り返す」と思っていますが、同時に「これでまた騒いだらプラユットが首相でいる意味がない」とも評しています。

多くの日本語メディアで、「~が再び流動化か」や「~に発展する懸念」といった表現のニュースが報じられていますが、必要以上に警戒して日常生活の行動範囲を過剰に制限するのは、本末転倒ともいえるでしょう。

newsclip.beだけ読んでいても、日本語メディアだけ読んでいても、情報収集としては不足であり偏ってもいます。言語にこだわらず、思いもよらぬ切り口や視線で物事を追うような、異なる多くのメディアに目を通すべきです。

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