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ムエタイ界の生ける伝説・ブアカーオ氏、日本格闘技界の新星・三浦孝太戦を振り返る【スペシャルインタビュー】

277戦241勝という桁違いの戦績を誇るブアカーオ・バンチャメーク氏が、40歳の節目を迎えた今夏、対戦相手に迎えたのは三浦孝太選手だった。日本格闘技界の新星であり、サッカー元日本代表FW三浦知良氏の次男。そして、タイでも知名度の高い三浦選手に圧倒的な力の差を見せつけた同氏だが、その目にはどんな印象が刻まれたのか。また自身の今後とは。

ー 今年40歳を迎えましたが、身体の動きやムエタイに対する考え方など変化は感じますか?

身体的には、特に大きな変化はありません。トレーニングに励み、普段の食事に気をつけて、十分な睡眠をとる。日々、それを繰り返しています。戦い方としては多くの経験を通して、若い頃のただガムシャラに猛進するようなスタイルから、相手のリズムや戦略を読むような駆け引きを仕掛けるようになったのは大きく変わった点ですね。戦い方の引き出しが増えました。

ー タイでは国民的スターであり〝伝説のムエタイ選手〟と言われています

ムエタイは世界中で知られて誇りに思っていますし、そう言っていただけて幸せです。今後も最強を目指し、ファンの皆さんのためにもムエタイを続けていきたいです。

「孝太はもっと強くなる。その時にまたリングの上で会いたい」

2022年8月19日に行われた三浦孝太戦で猛攻を仕掛けるブアカーオ氏

 

ー 今年8月、三浦孝太選手との試合が実現しましたが、なぜ対戦を決めたのでしょう?

もともと興味はありましたが、一番はムエタイが好きな、新世代の日本人選手だったからです。私自身、若い頃は日本でさまざまな相手と試合ができて、とてもいい経験になりました。孝太には闘争心とセンスがありますが、ムエタイの経験はほぼなかったので、私の若い頃同様に、孝太にもいろいろな経験をしてほしいという気持ちがありました。彼はこれからたくさんの選手と試合をして、ますます強くなると思います。そうなった時にまたリングで会いたいですし、ファンの皆さんにはその日を楽しみにしていてほしいです。

「ムエタイを多くの人に」
北部・チェンマイでトレーニング施設を運営

チェンマイにある「ブアカーオ・ビレッジ」には、“ブアカーオ・イズム”を求めて世界中から選手が集まる。

 

ー 競技はもとより、今ではエクササイズとしてムエタイを行う人も増えています。その魅力は何だと思いますか?

ムエタイはタイを代表する格闘技であり、世界中から愛される競技だと思っています。拳・足・膝・肘など全身を使って相手を倒しにかかる激しい競技である一方で、リングに立つ選手が試合前に必ず行う踊り「ワイクルー(師に礼を示す)」は非常に優美で、周囲への感謝を全身で示す礼節が根付いているのは、観ている人にとって面白いギャップなのではないでしょうか。
幅広い層の人たちが健康を意識してムエタイを行う場面が増えていますが、全身の筋肉を動かすのでエクササイズにもぴったりだと思います。

時に指導者としての顔も覗かせる

 

ー ムエタイのトレーニング施設「ブアカーオ・ビレッジ」を運営していますが、そのきっかけは何だったのでしょう?

もともと2018年にオープンしたのですが、その目的は若いムエタイ選手の育成と、ムエタイの文化を世界中の人に発信していきたいということでした。ここにはトレーニング環境はもちろん宿泊施設もあり、「もっと強くなりたい」「スキルアップしたい」というすべての人に向けて提供しています。ゆくゆくは、“ムエタイのアカデミー”と言われる場所になってほしいですし、世界中から人が集まる場所にしたいと思っています。

加えて、ここはトレーニングだけではなく、チェンマイの豊かな自然を感じられるメーテーン郡という場所にあります。周囲は国立公園や山々に囲まれ、タイの伝統的な文化に触れることができます。8月から12月にかけては、田植えや稲刈りなどの農業体験ができる他、敷地内には一般の方々に開放しているレストランやカフェ、宿泊施設もあります。見学だけでも大歓迎ですので、ぜひお気軽に遊びに来てくださいね。
(詳細については下記WEBサイトやSNSでご確認ください)

ー 選手として、個人としてそれぞれ考える今後の展望とは?  

まずは選手として今後もトレーニングに励み、現役としてリングに立ち続けることが一つ。そして個人としては、前述しました「ブアカーオ・ビレッジ」を通して、多くの人にムエタイの魅力を届けていきたいですし、アカデミーとして世界的な選手がどんどん育っていく場所にしていきたいと思います。

リングを離れ、お気に入りのハンモックでリラックスする一面も

自身で飼うカメと戯れる様子は完全にオフモード

 

ブアカーオ・バンチャメーク/Buakaw Banchamek

1982年生まれ、スリン県出身。バンチャメークジム所属。8歳でボクシングを始め、同年にムエタイデビュー。277戦241勝(73KO)24敗12分。K-1 WORLD MAX 2004・2006王者、S-cup 2010王者、元Kunlun Fightムエタイ世界ミドル級王者など数々のタイトルを持ち、過去には魔裟斗など日本人選手との対戦歴も。リングネームのブアカーオとは「白蓮」の意味。2018年、チェンマイにムエタイのトレーニング施設「Buakaw Village(BANCHAMEK GYM)」を開設し、現役選手ながら後進の育成にも励む。趣味は料理。
WEB:http://banchamekgym.com/

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