グルメ

デンマークでタイ料理文化を切り開く~ヘンリック・アンダーセン・シェフ・インタビュー~【Sra Bua by Kiin Kiin – Siam Kempinski】

サイアム・ケンピンスキーのタイ・ファインダイニング「スラブア・バイ・キンキン」。そのお店を誕生させたヘンリック・アンダーセン・シェフとはどんな男(ひと)なのか? その人となりに迫った。

現在、海外でミシュランの星を獲得しているタイ料理レストランはデンマーク・コペンハーゲンにある「Kiin Kiin」のみ。その創業者でありオーナーのヘンリック氏は、カジュアルダイニングやおまかせコースを提供するお店など、それぞれコンセプトの異なる店を18軒展開している今も、その創造力は尽きることがない

 

料理を始めたきっかけはジーンズ

私が14歳の頃、とても流行ったジーンズがありました。同級生はみんな履いていたのですが、私の両親は貧しいわけではないのになぜか買ってくれなかった。

それでジーンズを買うお金を得るためレストランでアルバイトを始めたのです。仕事を始めてすぐにキッチンの雰囲気の虜になりました。日々、違う食材が届き、四季を感じられる。毎日が新しい日のようでした。

 

方向性を決定づけた出来事

その数年後、私はミシュランの星付きレストランで働いていた時に、お店に18~19歳くらいの若いカップルが来ました。

男性は女性にプロポーズでもしようとしていたのか、とても緊張していて、服装も態度も明らかに場違いな感じでした。お店のスタッフはワインもろくに選べないそんな気の毒な彼らを完全に無視しました

私はその時に大きな不快感を持ちました。そしてその夜帰宅して、自分のレストランはどうあるべきかというマニフェストを書きました。

どんなお客さんも平等に扱うとか、そういう内容です。それが私のレストランを作る上での基盤です。その紙は今でも壁に貼っています。

 

タイ料理との出会い

旅行でクラビーに来て初めて海辺のレストランで初めてトム・カー・スープを食べた時の衝撃は、今でも鮮明に覚えています。酸味や辛味、そしてハーブの織り成す複雑な味と香りに即座に魅了されました。そして休暇で1週間滞在する予定が、5年間滞在して各地でタイ料理を学びました。

私の料理は「East meets West」という感じのフュージョンです。タイから食材は空輸せず、地元で手に入るものを使ってタイ料理を作っています。

 

オープン直後からミシュラン店に

コペンハーゲンに戻りレストランを開業することにしましたが、選んだエリアがボヘミアン地区というか、アーティストが住み着き、ドラッグの売人がウロウロしているような場所で、銀行から融資をうけることができませんでした。

結局、父親からお金を借りて、まずはお店の半分でストリートフードを売り始めました。そうして資金を貯めつつ、開店準備から7カ月後に「Kiin Kiin」をオープンしました。

お店はすぐに人気が出て、今日まで満席が続いています。開店してすぐにミシュランの星も獲得しました。ただ、うれしかったのはニュースを聞いた直後の2秒間だけ。すぐに「来年獲れなかったらどうしよう?」という不安が押し寄せてきました。

 

料理に対するポリシー

私の店では「ゼロウェイスト(zero-waste)」をポリシーに、食品の無駄を極力なくしています。たとえばファインダイニングで使用する食材は完ぺきな形にでなければならないので、どうしても野菜や肉の切れ端が出る。それをカジュアルダイニングで使用しています。

 

スタッフは資産

私にとってスタッフは大切な資産です。有名店には経験のために無償で働くコックが大勢いますが、うちは全員に給与を支払っています。どのような形で採用しようと、働いてもらうからにはそれに対する報酬を払うのが当たり前だと思っています。

スタッフの回転の速いレストラン業界ですが、スタッフの中には「Kiin Kiin」の開店当初から働いている人もいます。

 

将来的には農場を経営

すでに郊外に土地を購入し、野菜などを栽培し始めています。ゆくゆくはこちらで農業中心の生活を送りたいと思っています。

 

と語るヘンリック・シェフ。とはいえ、新たにフードトラックやベジタリアンのお店を作るなど、まだまだクリエイティビティは尽きない。次はどんな楽しいお店を作るのか、コペンハーゲンなのかバンコクなのか、今後も目が離せない

ヘンリック・シェフが関わっているレストランは現在、バンコクでは「スラブア」のみ。年に4回ほど来タイしブラッシュアップ。

 

Sra Bua by Kiin Kiin

営業時間 ランチ:12時~15時(L.O.14時半)、ディナー:18時~24時(L.O.21時) 無休
料金 ランチ:The Mini Journey Set Lunch(4 courses)1850B、アラカルト610B~
   ディナー:The Journey Set Dinner(8 courses)3200B、アラカルト610B~
電話 0-2162-9000
HP http://srabuabykiinkiin.com
場所 スラブア・バイ・キンキン サイアム・ケンピンスキー
MAP

 新着記事を読む 

関連記事

  1. <人気タイ料理レストラン CEOインタビュー>移り変わりの早いタ…
  2. ジムトンプソンの新カフェ「Jim’s Terrace…
  3. 137ピラーズホテル27階から絶景を眺めながら楽しむ極上のタイ家…
  4. moola02 心も体も財布も喜ぶ!「ムーラー・カフェ」
  5. 世界に名を馳せるシェフ3人が創る極上の“和キュイジーヌ”を堪能。…
  6. 食通倶楽部Yuka-san_3 食通倶楽部おすすめのバンコクのレストラン/トンローの韓国料理「チ…

オススメ記事

  1. 格好いい経営者はお好きですか?<経営者改造計画 vol.02>ちょいワル風イタリアンコーディネート
  2. どこよりもお得な為替レート、アプリひとつですべてが完結。 タイから日本への送金は「DeeMoney」が簡単便利!
  3. 未経験でも大丈夫!バンコクで日本語のみで楽しく働くなら「トランスコスモス(タイ)」が断然おすすめ!!【日本人スタッフ大募集中】
  4. teshima clinic-1 首や腰の痛みの原因「カチカチの筋肉」、柔らかくする奥のテ! バンコクで見つけました!
  5. 社会貢献者表彰 推薦募集中!vol.04 第56回受賞者 スランガニ(スリランカ)

最新のTHB-JPY

PAGE TOP