タイ料理には、大きく分けて4つの地域色があることはご存知の方も多いと思いますが、なかでも日本人に親しみやすいのと言われるのが、マイルドな味わいが特徴の北部。もちろん現地に行けば本格的な味わいが楽しめますが、バンコクなら……? 北部出身者が、故郷の味を求めて足を運ぶのがこちらです。
元カーテン販売店から
出身者が喜ぶ郷土料理店へ
スクンビットに住む人にとっては少々行きづらい場所にあるにも関わらず、日本人の間でもファンが多い人気の北タイレストラン「Maan Muang(マーン・ムアン)」。現地で食べられる郷土料理を味わえるのはもとより、天井から吊るされたランタンやレトロな雑貨、木の温もりを感じる空間などお店全体から感じられる北部の文化が魅力です。
お店を切り盛りするのは、北部・ランプーン県出身のオーンさん。幼少期に家族でバンコクに移住したのが、現在のラムカムヘン地区でした。「移り住んできた当初は飲食店など一切関係ない、カーテン屋でした。出身地であるランプーン県はクラフトが有名だったこともあり、その生地を使ったカーテンを販売していたんです。けれどリーマンショックによる不景気で経営が厳しくなり、それを補う形で始めたのが今のレストランです」と振り返ります。
提供するのは、おばあさんのレシピを用いた北部の家庭料理。けれど、ただの家庭料理で終わらないのが同店です。現地で採れたハーブとスパイスにこだわるなど、独自の味を追求し、お昼時には、近所で働くオフィスワーカーや常連さんが続々と来店。思い思いに好きな料理を味わっている様子に、同店が地元に愛されているということが分かります。
豚の血の炊き込みご飯…!?
稀少な北タイ料理から定番まで
ミシュラン・タイ版(2022)のビブグルマンに選ばれた同店の料理は、すべて自家製。特筆すべきは、砂糖をほぼ使わず、食材の甘さ・美味しさを引き出したヘルシーな味わいと多彩な料理のラインナップです。
なかでもオーンさんがおすすめしてくれたのは、上にある写真9点。定番のカオソーイをはじめ、豚の血を使った〝タイ風おにぎり〟または〝タイ風炊き込みご飯〟とも言える「カーオ・ガム・ジーン」や北タイ名産の野菜・チェンダーの葉と卵を炒めた「チェンダー・パッド・カイ」、柑橘フルーツ・ザボン(タイ語で「ソムオー」)を使ったサラダ「タム・ソムオー」。また東北部を代表する料理であり、日本人にとっても馴染みがある豚ひき肉のサラダ「ラープ・ムー」もイチオシメニューの一つ。こだわりのハーブ&スパイスを13種使い、北部の伝統的なスパイスであるマクウェン(花椒)を利かせるのが同店ならでは。加えて、タイ風フライドチキン「ガイ・トート」もマクウェンを加えた独自の味わいが特徴の「ピック・ガイ・トート」も注文必至の一品です。
「人気の料理は年中提供していますが、それ以外に季節や行事によって特別メニューを提供しています。また行事に関連して店内の装飾を変えるなど、訪れるたびに何か発見できるような楽しさを感じていただければと思います」(オーさん)。
北部の文化を知らない人でもなぜか落ち着くアットホームな空間で、伝統的な家庭料理を体感しませんか? 初めて出合う食材や種類豊富な料理の数々に、魅了されること間違いなし。さまざまなメニューに挑戦して、自分だけのお気に入りを見つけましょう。
Maan Muang
住所:165 /7 Mooban Summakorn,Soi Ramkhamhaeng Rd.
(ARLラムカムヘン駅から車で15分/BTSエカマイ駅から車で20分)
電話:093-635-4622(日本語可・オーンさん)、02-729-6275(タイ語・英語)
時間:毎日9:00~21:00(L.O.20:30)
Facebook:maanmuang
MAP