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「頑固こそが監督の仕事」 小泉徳宏監督(『ちはやふる』シリーズ)にロ~ング・インタビュー【日本映画祭2019】

現在セントラルワールドで開催中の「日本映画祭2019」。そこで上映される『ちはやふる』シリーズの小泉徳宏監督にインタビューして来ました。

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https://www.daco.co.th/information/44071/

『ちはやふる』シリーズの裏話や、監督業、出演役者さんにまつわる裏話、漫画原作者末次由紀さんとの「共犯関係」など、根掘り葉掘りいろいろと質問してしまいましたが、終始笑顔で対応いただけました~。

シリーズ第3作『ちはやふるー結びー』は、2月1、3日にも上映予定。これを読んで気になった方はぜひ映画館へ!

 

小泉徳宏監督、初の来タイ

今回、初めての来タイという小泉監督、インタビュー前日の早朝に到着し、夜は日本映画祭のオープニングに出演。「これからバンコクの夜を満喫します」と語っていたが、外に繰り出すことはなかったようです。
ムエタイやタイの象(ちょうどダコの最新号が象特集でした!)にも興味はあるということでしたが、短期滞在、果たして時間はあったのでしょうか?

バンコクは暑過ぎず、乾燥していて、日本より過ごしやすい、とご満悦な様子。辛い物好きで「タイ料理全般が好き」(前夜には、グリーンカレーとプーパッポンカレーをご堪能)。タイ人の辛さの表現には、戸惑ったとのこと(「抑えめの辛さ」がめちゃくちゃ辛かったそうです)。

 

 

「この作品が一つの答えを導いてくれた気がする」

今回のインタビューに当たりリサーチをしていく中で、小泉監督のこんなツイートを見つけました。

ダコ:作品(『ちはやふる』)をとおして見つけた「答え」とはいったいなんだったのでしょうか?

小泉:真剣佑(綿谷新役)のキャスティングを考えていたとき、ちょうど彼がアメリカから帰って来たばっかりのタイミングだったんです。役者の経験もそれほどなく、これから芸能活動を始めようか、という時期。

彼は不思議な男です。さすがに千葉さん(父は千葉真一)の息子だけあって(笑)。アメリカ帰りなのにすごく日本的な男。ひと言で言えば「武士道」を重んじているという印象でした。本人は否定するかもしれないけれど(笑)。

先輩を敬う感じや、言葉遣いもすごく丁寧で。アメリカ帰りというとみんな逆の感じを想像するんですけど、まったくそうではなかったんです。おもしろいなと思いました。

ただ、それでもどこか完全に日本人じゃないなにかがあって、それがずっとわからなかったんです。挙動とか信じているものは日本人なのに、なにかが日本人とちょっと違うと感じる部分。

「どうして真剣佑は日本人じゃないのか?」「なんで自分がそう思うんだろう?」 ということをずっと考えていて、それがけっこう『ちはやふる』にも反映されています。

 

「もののあはれ」を知る心

小泉:新って、とても日本人的な、男子の日本代表みたいなキャラクターだったので、そもそも根っこが日本人でない男にそれをやらせるのはどうかと思ったこともありました。そこで、はたと「じゃあ、根っこが日本人ってどういうことなんだ?」と考えたんです。

あるとき、これかな、と思ったのが、まさに百人一首ではないですけど(笑)、「もののあはれ」。日本人でも、どういう意味かをはっきり説明しづらいと思うんです。自分も最初はうまく説明できなかったですし。いろいろ考えた結果、ひと言でいうと、「時間が流れて行くことに対する哀愁」みたいな。例えば、日本人って桜が大好きじゃないですか。なんで好きかって、一年に1回しか咲かない、散っていくということがわかっているから、それが美しいって思える。その感覚って、日本人的かなって。

ダコ:儚さとかそういうところですね。
小泉:そうそう。それって欧米人とかにはない感覚だと思うんです。僕は、散りゆく桜を、その儚さを、美しいって思えたんで「俺ってやっぱり日本人なんだな」って思えました(笑)。

真剣佑がこの役をやるに当たって、その儚い感じを美しいと思える心を理解してもらいたくて、福井県に修行に出しました(編注:福井は劇中の新の出身地)。「『もののあはれ」を理解して来い」と。今思うと、むちゃくちゃな課題ですね(笑)。

ダコ:映画の役作りって、そこまでするんですね。
小泉:みなさん忙しいので、なかなかそこまでやれる人はいないんですけどね。新人さんをキャスティングするメリットのひとつはそれですね。ちゃんとひとつの役に向き合う時間があって、それに対して精神誠意一生懸命やってくれる。

 

キャスティングの妙

ダコ:小泉監督のことを「若手俳優を発掘する先見性を持つ監督だ」と紹介されていました。
小泉:それは、たまたまです(笑)。

ダコ:広瀬すずさんもブレーク直前のタイミングでの起用だったそうですね。
小泉:そのとおりでしたね。コツとかは、別にないんですけど。

ダコ:オーラが見えたり? 笑
小泉:見えたらいいんですけどね(笑)。特に「ああ、キミは黄色だね」とか、そういうのはないです(笑)。お芝居がうまいということは大前提としてあるんですが、あとは、この仕事をずっとやっていくぞという覚悟があるかどうか、ですね。

根性といったらアレですけど。10代ぐらいの子で、仕事に対する覚悟みたいなところまで持っている人ってなかなかいないんです。「なんとかなく流れで」とか「言われたから」とか。「ほんとはもっと音楽がやりたいんだけどな」とか思っていたり。「もう本当にこれしかないんです」みたいな人と出会えると、キャスティングした甲斐がありますね。

ダコ:そういう人たちと対面したときに「こいつは本気だ、覚悟がある」と見抜ける?
小泉:それは、ありますね。パッと見、ない人もいるんですけど。よくよく話を聞いていると、実はあったみたいな場合も(笑)。でも「なんとなくやってます」という人もあえてキャストに入れたりします。あとで「監督のせいで続けることにしました」みたいになる場合もある(笑)。

ダコ:それはうれしいですね。
小泉:「そんなつもりじゃなかったんですけど」みたいな。「監督、どうしてくれるんですか」なんて言われることも(笑)。

 

原作者さんとの「共犯関係」

ダコ:今作品は、小泉監督が初めて脚本まで担当した作品ですね。
小泉:今までも、どの映画でも脚本に手は入れているんですけど、最初から最後まで書いたのは、初めてですね。

ダコ:原作者さんとは、密なやりとりをされるものなのでしょうか?
小泉:そうですね。折を見て直接お会いすることも何回もありましたし、文章でのやりとりも何回もしています。初期の頃は厳しいご指摘もあったんですけど、ご指摘をいただく中で、なんとなく原作者さんの趣向がわかってくるんです。そうすると、しめたもので(笑)。それを理解した上で書き換えていくと、映画としての改編も理解してもらえるということがわかりました。原作の物語とけっこう掛け離れたものになったとしても、原作者さんに納得していただけるんです。

原作者さんには、ある程度できた段階で脚本を読んでいただいて、「ここはこう思います。この場面の流れはどうでしょうか?」みたいなコメントをもらったりするんです。そのコメントが実はいいヒントで、言われたところだけを直せばいい、という訳ではなくて「この場面で原作者さんがそう思うってことは、このキャラについてはこう考えているのかな」というヒントになって、ほかの場面も変える、みたいな。

そういう意味で、漫画を映画化していくというよりは、その原作者さんの発想を映画にしているような感じです(笑)。

ダコ:いつも、原作者さんとはこんな風な突っ込んでやり取りをされるんですか?
小泉:実は、原作物と言われているものが『カノ嘘』とこれ(『ちはやふる』)だけなんですよ。で、一個前の『カノジョは嘘を愛しすぎている』(青木琴美原作)のときも、原作者さんと密にやりとりさせていただきました。お互い納得の上でできましたね。

たまたま、今まで、出会ってきた原作者さんとはお互いに納得できる作品ができて、幸せだったのかもしれないです。中には一言一句変えてくれるな、みたいな人もいたりするんで、そうなると、たぶん映画化は止めた方がいいですね。どこかで共犯関係になれることが大事です。映画もおもしろい、漫画もおもしろい。漫画も売れる、映画も売れるじゃないですけど。

ダコ:相乗効果みたいな。
小泉:そうですね。例えば、漫画でできなかったことを映画でやったり、映画を受けて漫画が変わったりとか。あえて僕は「共犯」と言いたいですね。協力というよりは共犯です。

ダコ;その「共犯関係」は、ファンにとってもうれしいですね。
小泉:そういう関係が築けた時、良い物ができるし、映画化する意味があったと思えたりするんです。

ダコ:小泉監督が脚本を書く際に、「原作を読んで、でも1回全部忘れちゃいます」という話を聞きました。その方法がすごくおもしろいなと感じました。
小泉:だいたいみんなには、原作を読み込んで読み込んでから脚本を書いているに違いないと思われます。実際、それは間違っていないんですけど(笑)。

でも、どう考えたってあのボリュームを2時間で収めるのは不可能なので、ある程度、映画としてのアウトラインを作った上で、自分の中で印象に残っている、あのエピソード、あの言葉、を後から入れて行くのが、正しいアプローチなような気がしています。

参考問題集っていう考え方っていうか。こんなこと言うと怒られるかもしれないですけど。答えは原作の中に載っているんで、自由に書いた後に、気になったら後で答え合わせすればいい。まずは自分の力で問題集を解きましょうって。……なんか、あんまりうまい喩えじゃないな(笑)。ちょっと違うな、、、違う気がする(笑)。わかんないですけど(笑)。

ダコ:監督の中のフィルターをとおした上での上澄みみたいな部分?
小泉:そうですね。自分の中に残った言葉。ほんとうに記憶の片隅に残っているコマの、別にど真ん中に書かれている訳ではない、ちっちゃな文字とかを意外と覚えていたりするんです。

ダコ:僕も漫画を読んでいるときに、本筋とは関係ないひとコマを覚えていて、見返しながら、どこだったけ? なんだったけ? ってなることが多いです。笑
小泉:うんうん。そんな感じ(笑)。「見つけられない。この膨大なボリュームの中でどうやって見つけろっていうんだ~!!」みたいな時ってありますね(笑)。

ダコ:原作にはなかったけど、あったように思って脚本に組み込まれた場面があるとも聞きました。
小泉:うん(笑)。あると思って書いたら、原作にはなくて。「ないんだー」って。だったらそれは映画のオリジナルとして必要なシーンなのだから、入れておいた方がいいよな、という(笑)。そこでアレンジが発生したり。

ダコ:実際に上映されている作品中にそういうシーンって残っていたりしますか?
小泉:そういうの、あります。むしろ、たくさんあります(笑)。例えばですか? うーん、「あると思っていたけど、ない」。えーと……。

……ちょっと、ぱっとは思いつかないです。。。(笑)

ダコ:原作が続いている中での映画作りの難しさはありましたか?
小泉:それはやっぱりありますね。どうしてもそこはりつくらなきゃいけないんで。エンディングの仕方を。

ダコ:さっきの「共犯関係」の話や原作者の趣向を読み取れていれば、というところにつながるんだと思います。
小泉:それはあると思いますね。何人か漫画家さんの知り合いがいるんですけど、完全に終わり方が見えた状態で描いている訳じゃないんですよね。だから僕が「どうやって終わるんですか?」って聞いても「うーん、まあ、ねー」みたいな(笑)。「そこまで行き着いていません」とは世の中的には言いづらいから「言えません」という言い方をする場合もあると思います(笑)。

実際問題、描きながら物語って変わっていくと思うんですよね。だから、結局のところ、原作者さんに聞いても答えがない。そこはある意味では、ちょっと自分の想像で作れるところではあります。

まあ、原作者さんより、その作品のファンの方たちから反発がある可能性の方が高いんです。原作者さんからは特になにかを言われることはあまりない。でも、だれもが見て納得できる映画で語られているストーリーの文脈に合っているエンディングの選び方の難しさはありますよね。漫画と全然違ってもダメだし、「ありそう」っていうところで落とし込みつつ、文脈に沿うように収めるというのが、なかなか難しい。

 

原作物だけれども小泉ワールド

ダコ:小泉ワールドのファンにとって、原作者の趣向に寄りすぎる作品というのはどうなのだろう、というのはありましたか?
小泉:その辺のバランスはあると思いますね。自分のファンを裏切らないため、というよりは、あんまり原作を忠実に再現しようとしすぎると、そもそも漫画と映画って違うものなので、どうしたって違ってくるんですよね。

「そもそも忠実に再現するのが無理」っていうところに立たないと、できない。うまくいきようがない。髪の毛の色ひとつとっても違う訳です。「そこ違う」といわれて金髪の人を実写映画で出しますか? と。「本当にそれが見たいの? あなた」みたいな話になっちゃうんで。ちはやとか金髪ですからね(笑)。

ダコ:この映画の編集スタッフ、穂垣順之助さんのインタビューを見て、編集作業中に大幅な修正があった、と。
小泉:事前に全部計算ができていて、思った通りの映像が撮れて、思った通りの展開になれば、それに越したことはないですけど、やっぱり事前にそれを全部完璧に予想することはできないです。編集の段階で改めて俯瞰で見て、「これほんとうにおもしろいのか、おもしろくないのか」というところを見極めないといけない。おもしろくないなら修正する。

穂垣さんがおっしゃっていたのは最後の試合のシーンだと思うんですけど、たしかに、台本のとおり撮影してはいるんですが、そのまま見たら緩急がどうしても弱かったんですね。そこで、てこを入れるって決めて、最初は想定していなかったカットをぐいぐい入れ替えて、構成を作り直しました。

ダコ:いろんなプロの手を借りながら作品を作り上げていくということですね。
小泉:あの段階で「試合を全部組み替えましょう!」って、そんな過激なことを言えるの監督だけなんです(笑)。自分が言わないとだれも言えない。最後の砦であることを常に意識しつつ「つまらんものはつまらん」って言わなきゃなって、思っています(笑)。

まともな人がいたら戸惑っていると思いますよ。「今さら、嘘でしょ?」みたいな(笑)。今までこんなにがんばってきたの、なんだったの、みたいな。

ダコ:スケジュールや納期もあったと思いますが。
小泉:なにも言わずに付き合ってくれた編集マン(穂垣さん)といい、プロデュースチームといい、なにも言わないでいてくれてとてもありがたかったです。本当にありがとうございます、という感じ。「そこ触っちゃうと、ちょっとスケジュールが」みたいなことは思っていたと思うんですけど(笑)。

 

音楽をかじっていたからこそわかる違いの感覚

小泉:通常、編集し終わったあとにサウンドトラックを作ります。映画が固まった段階で、ですね。でも、僕の場合、サウンドトラックができた後にもう一回だけ編集を入れ直すんです。本当に微妙な、ここでこう弦楽器が入ってくるとか、ここで打楽器が鳴るというような、コマ単位のちょっとしたズレを修正します。それって、通常は、なかなかやれないんですけど、それをやる前提でスケジュールを組んでくれてるんで、ありがたいな、って思います(笑)。「そんなコマ単位で言う人いないです」って言われるんですけど。

ダコ:音に合わせてコマをずらす?
小泉:そうです。基本は絵に合わせて音を作っているんで、ズレることはないんですけど、どうしても音楽と映像のタイミングってズレる時があるんですね。映像は24分の1秒だけど、音楽は4拍子とか3拍子とかなんで。音楽はいじれないので、絵をいじるしかないんです。

ダコ:その作業はすごく大変そうですね……。
小泉:でも、そこがピタっと来ないと音楽と映像の化学反応が起きづらいんです。そこは妥協せずにやりますね。

ダコ:その微妙な違いがわかるということは、もともと音楽の素養があったから、ですか?
小泉:いやー、どうでしょう? そんなにないんですけどね(笑)。ちょっとはやっていましたけど、子供の頃に。でも別に、今、ギターが超絶うまい、とか、ピアノがうまいとか、そういうのはないです(笑)。音感ゼロです(笑)。だから、音楽のプロでもない自分が、何を偉そうにって感じなんですけど。でも、なんか違うなって感覚はあるんで。思っちゃったらしょうがないですよね(笑)。

ダコ:その感覚は、普通の人はなかなか持ってないと思うんです。
小泉:そうですね。自分が音楽をすごくやっていれば説得力もあるし、なんの疑問も挟む余地もないんですけど。そうではないのに、そう思うのは自分でもちょっとよくわかんないですね(笑)。強いて言うなら、昔ちょっとやっていたからかな。吹奏楽と、あとちょっとドラムも叩いていましたね。「それが原点です」とか、全然そういうのではないです(笑)。子供の頃、アメリカに住んでいたことがあって、当時、英語がまったくわからなかったんで、MTVばっかり見ていたんです。ミュージックビデオを垂れ流しているようなチャンネルを永遠見てた。それが7歳とか8歳くらいの頃ですね。

ダコ:そこで鍛わった音感ですね。
小泉:でも、それって全然、説得力がない(笑)。でも、ミュージックビデオって音楽に合わせて映像を作る、とか、映像に合わせて音楽を作るとか、そういうのの真骨頂なような気もするので、少しは影響があったかもしれないですね(笑)。音楽、そんなに詳しくなくて、ちょっとかじったくらいだからこそ、詳しい人には気がつけない、なにかに言えるのかもしれない。

ダコ:監督の指摘を受けての音楽家さんの反応はどんなものでしたか? 疑問なのか、納得なのか。
小泉:まあ、両方あると思う。でも、音楽家さんはこれがいいと思って作ってきてるんで。戸惑いはあると思います。でも「この場面にはこれしかあり得ない」みたいな音楽はなくって、いろんな可能性があります。どんな音楽でもハマるときはハマるので。

じゃあ、何を信じてやればいいのかって言うと、音楽家さんからすると、監督の感覚なのかな、とは思います。音楽は理屈じゃなかったりするので。「これがこうだから、この音楽が合っているんです」というのはなくて。逆に理屈で説明されても、それを再現するにはどうすればいいのってなってしまうので、あくまで「こういう感じ」「こう思うんだよね」っていう、曖昧な言葉のやり取りのなかで最適解を見つけて行く作業ですね。

 

監督業とは

ダコ:昨日の舞台挨拶を見て、人前で話すのに慣れているように思いました。
小泉:たしかに、そうですね。人前で話すことが多くなりましたね。

ダコ:人前に出て話すのは好きな方ですか?
小泉:いや。好きじゃないです(笑)。

ダコ:監督というと、大人数を束ねて「俺に付いて来い!」というイメージです。
小泉:そうですね。そうならざるを得ない。それは付いて行く側の人間からしてみたら、そうあってほしいというのもあると思います。僕自身、こうオラオラ系ではないので。良いものをつくるという約束だけしてみんなを引っ張り込んでいく、という感じですね。

ダコ:周りの人たちの意見も聞きながら?
小泉:聞きます、聞きます。全然聞きますね。周りの意見も聞きますし、絶対そうだと思うことは曲げなかったりもします。「頑固」とよくいわれますね。全然自分ではわからないんですけど、それがいけないんでしょうね、きっと(笑)。

ダコ:インタビューしている中で頑固そうな感じはしなかったです。笑
小泉:そうです、よね(笑)。

ダコ:こだわりというか自分の世界観がしっかりあるから、頑固と言われるのでしょうか?
小泉:そうかもしれないです。それに「監督が頑固じゃなかったらほかにどんな仕事があるんだっけ?」とも思います。最終的には自分の感覚を信じるってところに落ち着くのかもしれないです。理屈は当然あるんですけど、理屈は所詮理屈というか。

ダコ:言葉にできない思い。言葉に出して伝えるのが難しい部分みたいな。
小泉:そういうのあります。スタッフもキャストもみんなプロなんで。監督がいなくても映画ってできちゃうんですよ。ただその場合、みんなのいいとこ取りをした、平均的な、普通の映画ができあがると思うんですよね。話はつながっているんだけど、心には響いてこない、みたいな。

そここそが、監督の出番なんだと思います。ふたとおりのパターンがあって、どちらでも作品は出来上がるんだけれども、でも、こっちでなければならない、と判断していく。そこで統一感が生まれてくるというか。それってもはや、理屈では説明しきれない部分です。

ダコ:最後に、これから作品を見る人たちにひと言、お願いします。
小泉:個人的に、ほかの国の文化や考え方を知るのに適しているのが、その国の映画を見ることだと思っています。そういう意味で『ちはやふる』は日本の考え方や若者の文化、学生生活があったり、日本の歴史であったりで、幕の内弁当のように色々入っている作品なので、これ一つ見るだけでけっこういろんなことがわかってもらえる気がするんで、ぜひご覧になって日本に親近感を持ってもらえたらと思います。日本映画をより一層よろしくお願いします!

ダコ:ありがとうございました!

 

最後はタイ人の方へのメッセージをいただきました! タイ人のお友達をお誘いの上、ぜひ劇場に足を運んでみてください~。

 

小泉徳宏(こいずみ・のりひろ)監督

日本映画祭2019上映作品『ちはやふるー上の句ー』『ちはやふるー下の句ー』『ちはやふるー結びー』
1980年、東京都生まれ。ROBOT所属。2006年『タイヨウのうた』で劇場長編映画監督デビューを果たし、大ヒットを記録。08 年に佐藤隆太主演『ガチ☆ボーイ』を発表し、国内に留まらず、海外での評価も高く数々の海外映画祭で上映された。以降、蒼井優・鈴木京香・竹内結子・田中麗奈・仲間由紀恵・広末涼子が出演した『FLOWERS』(10)、佐藤健主演の『カノジョは嘘を愛しすぎてる』(13)を手掛け、同作では新人の大原櫻子を発掘した事でも話題に。脚本も担当した前作『ちはやふる[上の句][下の句]』(16)でも、新人や若手俳優を次々に起用していく先見性とその繊細で情緒豊かな演出手腕は、各方面から高い評価を受けている。これからの日本映画界を背負って立つ存在。

 

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