男と女の学際研究 ~現役学者が微笑みの国を考察!~
4人の現役研究者が「日本男とタイ女」をテーマに、いろいろな角度から考察する連載コラムです。
環境工学 岡寺 智大
前回(414号)、日本とタイの所得水準の縮小が、日本男・タイ女の婚姻件数を減少させる要因の一つであろう事が示されました。そこで、今回はタイ女を伴侶とした日本男の所得水準について調べてみたいと思います。
高齢化が顕著な日タイ結婚
厚生労働省[1]によればタイ人と結婚した日本男の平均婚姻年齢(再婚含む)は、2005年で44.3歳となり、40代前半が多くなります。また、1992年は30代後半(38.4歳)が多く、近年、高齢化が進んでいると考えられます。
ちなみに、日本人同士の結婚(再婚含む)の場合、日本男の婚姻年齢は、2005年時点で30代前半(31.7歳)となり、タイ女を伴侶とする日本男と一回り以上の差があることがわかります。
さて、2005年の40代前半の日本男の一般労働者平均賃金は39万2,600円になります[2]。ちなみに、30代前半の日本男の平均賃金は28万7,300円となり、タイ女と結婚した日本男の賃金は10万程高くなっています。
また、1992年~2005年の間で、この両者の賃金差は8万4,700円~13万8,100円の間で推移しており、タイ女を伴侶とする日本男は、日本人同士の結婚よりも10万前後の高い所得が必要といえそうです。
高齢化は今後ますます進む?
また、今回の調査結果から、将来的に、タイ女と結婚する日本男の高齢化が更に進む可能性が考えられます。なぜなら、2005年以降、40代前半の日本男の平均賃金は急激に下落し、実に9年間で3万7,600円も減少しているからです。ちなみに、この年齢層の賃金が最も削減され、次いで30代後半の減収(2万6,700円)が大きくなっています。
一方、45歳以上の年齢層の賃金の削減は小さく、40代後半で1万5,700円の減収、50代前半に至ってはわずかながら増収(4,400円)で、45歳を境に賃金格差が広がっているといえます。
となれば、今後、私のようなアラフォー真っ盛りの日本男はタイ女にモテなくなり、アラフィフ日本男がモテる時代が到来するのかもしれません。
日本の年代別平均賃金の推移
【参考文献】
[1]人口動態調査特殊報告(厚生労働省)URL: http://www.mhlw.go.jp/toukei/list/list58-60.html
[2]賃金構造基本統計調査(厚生労働省)
URL: http://www.mhlw.go.jp/toukei/list/chinginkouzou.html
おかでら・ともひろ
工学博士。学位取得後、(独)国立環境研究所に研究員として配属。モンクット王工科大学トンブリー校に客員研究員として1年間赴任後、現在、国立研究開発法人国立環境研究所主任研究員。専門は環境工学および環境経済学。 |