男と女の学際研究 ~現役学者が微笑みの国を考察!~
5人の現役研究者が「日本男とタイ女」をテーマに、いろいろな角度から考察する連載コラムです。
今回の著者:経営学 林拓也
海外の日系企業の駐在員社会には、奥様会なるものがあり、タイもまたしかり。しかも、その会では暗黙の序列が存在し、この序列はなんと夫の社内における役職によるとか。
ご存じの通り日本では幼稚園などのママ友コミュニティがあり、保護者会という名目でLINEでグループを作り、その中では他愛もない会話が続けられ、自然とボス格のママさんも形成されます。また「公園デビュー」など近所の公園でも日本女さんたちの小宇宙が形成されます。このちっぽけな宇宙を海外に持ってくる日本女さんたちは、タイでも少なくない様です。
なにかと似ている小宇宙?
社会学者の吉見俊哉によれば、日本では職場において「何かにつけて相談し、助け合う」支持者は、90年代前半に70年代前半と比べてほぼ半減しています。つまり高度成長期以降、濃い人間関係を避ける傾向が強くなっています。
また、「しっかりと計画を立てて、豊かな生活を築く」という〈利〉志向と、「みんなと力を合わせて世の中をよくする」〈正〉志向という未来中心の考え方が減少し、一方で「その日その日を自由に楽しく過ごす」〈快〉志向と「身近な人たちとなごやかな毎日を送る」〈愛〉志向という、現在中心の考え方が現代日本では支配的になってきていると、指摘しています。
これを参考にすると、現代の日本女さんたちがどこでも小宇宙を作ることがわかります。身近な人たちとなごやかな生活を送りたいからこそ、小宇宙の中に序列ができようとも、ニコニコしながら当たり障りのない世間話を楽しみ、波風立たさずお付き合いするわけです。特にタイではアヤさんを雇うことが多いですから、家事労働の負担が減り、この傾向がより強くなるのではないでしょうか。
お気づきになりましたでしょうか。この小宇宙、タイ人社会に似ていませんか。以前、平松も述べた様に、タイ人の微笑みにはいくつもの種類があります。イライラしてもニコニコ、そしてタイ人の多くは〈快〉志向と〈愛〉志向ではないですか。日本女さん達はいつの間にか、タイ女さん化していると思えませんか。
参考文献:吉見俊哉(2009)『ポスト戦後社会』岩波書店









