タイ料理

【食先案内人・ペーの屋台の細道】ヌアウア・サイ・ クイティアオ (米麺入り牛肉)

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店主が知らない店の味

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ヌアウア・サイ・クイティアオ

 

不思議なメニューに出合った。「牛肉入り米麺」ではない。丼の中で肉のほうが麺よりも多いから、そう名付けたという。牛肉料理を売ろうと思ったのは、そこがイスラム教徒の多い地域だったからだそうだ。

とはいえ、店主本人は子供の頃から牛肉を食べない。そして、料理の味見さえしたことがないという。レシピは自己流とのこと。味見もせずに、どうやってこの味に辿り着き、維持しているのだろう。ただおいしいと言われたレシピを毎日守るだけで、調理中の見た目や匂い、肉の状態で、味見をしなくても分かるのだそうだ。聞けば聞くほど不思議で興味深い。

スープは牛のモモとスネをレモングラスや八角などタイと中国のスパイスでじっくり煮込んであり、まろやかで甘く香り高い。最後に牛の血を混ぜて完成。これは絞り出した血そのものではなく、ひと手間かけたものだから生臭さをまったく感じさせない。

具は、煮込んでホロホロに柔らかくなった肉やルークチン、心臓、胃袋など様々。甘辛酸っぱいタレがついてくるので、具材をひとつひとつタレに付けてもいいし、最初にタレを全体に混ぜてもおいしい。辛い物好きならきっと気に入るよ。とはいえ、すでに味は完成されているからタレの出番はないかもしれない。

ここはまるで宝箱のような店だ。独創的なアイデアにあふれ、肝心の料理は美味で、さらにお喋りの上手な素敵なマダムがいる。何を質問しても、茶目っ気たっぷりの答えで笑わせてくれるんだ。高齢の今もこんなに魅力的なのだから、若い頃はさぞモテたに違いない。

若さによる見た目の美しさは瞬く間に色褪せるが、思考やユーモアのセンスは衰えることはない。僕はアナンサック・シンソムブン氏が羨ましいよ。

 

アナンサック・シンソムブン

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御年82 歳のマダム、ランさんの店。この長い店名は旦那さんの本名だ。こんな店名は珍しいし、間違えられることもない。しかも憶えてもらいやすい。商売を始めたのは約60 年前。サムロー(三輪車)で行商していた。やがて売上も伸び、小さな店を構えて今の規模に。麺入り牛肉は唐辛子の入った辛めの味付けだから、辛い物が苦手なら注文時にそう伝えよう。「サイ・クルアン・トゥクヤーン」と注文すれば全種類の具を楽しめる。1杯50B 前後。

DATA
時間:8時~14時 毎月15・30日休み
電話:0-2391-7357

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