「あと5年したら、タイに帰ろうと思う」とヨード。あと5年かぁ。「ふーん。いいんじゃないの?」と私。
10年前、タイから日本に移住しようと決めたとき、ヨードは「生まれてからずーっとタイに住んでいるから、タイはもう飽きた(うんざり)」と言っていたのに、日本に10年住むと、「もう日本は飽きた」らしい。
たしかに、この10年、ジャパン・ドリームのような生活とは正反対だし、タイでサバーイ・サバーイに暮らしたほうが、楽しいよね、きっと。「5年後、娘は18歳、もうオレのことなんて、興味ないよね」「だろうね」。
息子はまだ高校生だし、しかもタイに住むよりアメリカに住みたい派の子だから、子供たちは日本だな。そしたら、私も日本だろうし。まぁ、3歳のときにタイから日本に来て、タイ語は3歳児以下の2語文しか話せないくせに、国語の点数が悪いと「タイ人とのハーフだから、日本語が苦手なの」とのたまってる娘は、タイに住みたいとか言い出すかもしれないけどね。
ってことで、翌日息子に「パパ、あと5年経ったら、タイに帰るって」と言うと「えっ、離婚しちゃうってこと?」と。タイ日夫婦の離婚率も高いけど、日本人同士でも離婚する人が増えてきて、子供たちのまわりでも、学年があがるときに苗字が変わったり(再婚というパターンも多いが)、離婚して親の実家に引っ越したりと、結構多い。
「どうなのかなー。でも、離婚しちゃうと、気軽にタイに遊びに行けないし(空港の送迎とかホテル予約とか頼みづらい)、別々に暮らすってことかなー。で、春休みとか夏休みとか、パパのところにお泊りに行けばいいんじゃない?」と言うと、「それなら、いい。パパ、一緒に暮らさないほうが、ご飯代もかからないしね」と息子(って、そのご飯代は、パパが働いたお金で出しているんだけどな)。
それから2~3日経って、ヨードが「子供たちに、オレがタイに帰るって話をしたの?」と聞くので「話したよー」と言うと、普段ヨードとはめったに話をしない息子が、パパはタイに帰っちゃうのかと聞いてきたのだとか。しかも、その話をしてから、ヨードが寝てると、横でゲームをしたり、まとわりつくようになったらしい。やっぱり子は鎹(かすがい)なんだねぇ。
下関崇子/ムエタイ修行のために来タイした元プロキックボクサー。タイ人トレーナー、ヨード氏と結婚し一男一女の母に。2006年6月、6年間のタイ生活に終止符をうち一家で日本へ。草の根の日タイ交流、続行中!