ワンデートリップ

なぜならここにサメットが「ない」から【6回】

旅の目的って何だろう。だいたい目的って何だろう。もしかしたらそれは、ただただ感受性に磨きをかけることなのかもしれない。寺山修司曰く「かもめは飛びながら歌を覚え、人生は遊びながら年老いてゆく」。ダコのワンデートリップはじまりはじまり。

ノリさん。バンコクに2年くらい住んで帰国。久しぶりに来たら空港についたとたん香辛料の香りに、色んな記憶が蘇ったそう。

ハッと我に返りたかったのだ弾丸トリップ決行!

数年ぶりにバンコクに来た。懐かしい場所をせわしなく回って最終日はサメット島に行くことにした。「保養地ならほかにもあるのに、なぜサメット?」とみんなに聞かれた。
なぜならここにサメットがないからだよ……と言いつつダコ(209号)を取り出して調べてみると確かに遠い。片道4時間弱かかるから、朝6時のバスに乗って11時に到着。現地を13時には出なくてはならない。そんなバカなことがあるか。サメットくんだりまで行って現地滞在がわずか2時間。どうしよう……やめようか、でも一旦決めちゃったからな。

遅刻!  朝5時50分に起きて、タクシーに飛び乗った。エカマイのバス停に着くと6時10分。チケットカウンターの案内板には「次のバスは7時だよ」の文字が……ガックシ。するとカウンターのお姉さんが「走れ走れ!」。バスはまだ出発していなかったのだ。ハーハー言いながらバスに飛び乗っておしぼりで顔を拭いていると、睡魔に襲われる。

桟橋から裸でビーチへ

桟橋にバスが到着すると寝ぼけ眼でバスを降り、みんなの後をついてボートに、うとうとしていると島に着いた。ここからビーチまで車で5分。皆は乗り合いピックアップに乗り込んだが、水着1枚になったボクはトコトコ歩き出す。ジリジリと日差しを受けながら、鳥を焼く匂いと煙に巻かれる道すがら、バイクに乗った水着姿のファラン(西洋人)や2人乗りの子ども達が何台も通り過ぎた。いいねー、懐かしいねー。15分後、公園の入り口に着く。すたすたと歩いて真っ白な砂浜のビーチへ。国立公園入園料は、水着で素通りすればとられない。数年前、情報通のファラン(白人)に教えてもらったのだ。今回も島に長期滞在してると思われたに違いない。

一瞬の極楽気分こそ醍醐味

でっぷり太ったファランの家族やカップルを横目に、寝心地のよさそうなパラソルの下で横になる。あと何時間くらい余裕があったっけと思いつつ太陽がギラギラとまぶしくてうまく考えられない、荷物だけは握り締めて意識が遠のく。30分? それとも5分?  マッサージとかビアーとかいう声に紛れて、風が吹いてきた。ハッとした。不思議なことに

はじめて潮の香りがした。そうだ、この香りだ。忘れていたサメットの香りを思い出した。風と香りに身を任せてみた。なんて気持ちいいんだろうとうっとりする。本もiPodも持ってこなかった自分を褒めた。しばらくするとなぜかムクムクとパワーが湧いてきた。バイクだ!

バイクに乗るぞ!

公園の入り口でバイクを借りた。ウワンウワンと飛ばしたいが、カメラを抱えている上に何せ悪路。でも、隣を勢いよく小学生の兄弟が抜かしていく。時間がないのに、とちょっと焦りはじめると、高台にさしかかり木の茂みが開けて海が見渡せた。
ハッとしてエンジンを止めた。自分の呼吸が聞こえるくらい静かで、しばらくボーっとする。旅にはゆるやかな目的が必要だ。

今回の目的地、それは海の上のレストラン(本当に海の上に浮かんでいるのだ)。渡るにはビーチにポツリと置いてある大きな鐘を鳴らすのだ。レストランには壁がない。
テーブルには床がない。足を入れるとその下には何もなく、掘りごたつならぬ掘り「海」だ。ぞくぞくする。マナオソーダを飲みながらボーっとする。マナオを海に落とすと数100匹の熱帯魚がウワっと寄ってきた。実はこの店はダコに載っていたのだ。こういうところを紹介してくれて本当にありがとう。
 

我に返る

バイクを返してボート乗り場へ。いつの間にかエンジンがかかって船は島を離れていた。
振動を体に感じながら、慌しいのにそうでもなかったような不思議な旅だったなぁと考えていると、水しぶきが顔にかかって我に返る。
オッ気持ちいい。今回の旅はこうやって我に返らされることが多いなぁ。考えはじめると何かが起きてハッと我に返る。目的目的ってあんまり考えすぎるなよ、身を任せてみなよって言われているみたいだ。

この感じ、東京で暮らしているとあまり経験しないかもしれないなぁ。やっぱり遠くまで来た甲斐があったなぁ。でも微妙だなぁ、この感じ伝わるかなぁ。とその時、「熱ッ!」。煙草がボクの裸足の指に当たった。ファランが海に向かって投げた煙草が風に押し返されて足に落ちたのだ。ハッ。
 

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