スクムビットエリアから車で約40分。ドゥシット区の旧市街の中にひっそりとあるのが「花の文化博物館」と花を楽しむレストラン「ミッドナイト・ムーン」だ。めずらしい花の食体験ができるこのレストランに、最近花に目覚めたダコスタッフが行ってきました。
【旅して書く係】編集マイ/部屋に花を飾ってから運気がUPしたような
花と皿とに興味が湧くのは
花を愛でるようになってしまった。そして時を同じくしてお皿を選んで買うようになってしまった。多少後悔をにじませて書いたのは理由があって、それはわたしが「花と皿に興味が湧いたらオバサンである」と思っているからだ。
わたしの祖母は庭いじりが好きで、植木屋でいろんな種を買ってきては育てていた。幼いわたしは「せめて食べられるものを植えたらいいのに」とぼやき、祖母が撒いた種なのに、水やりを手伝わされることをわずらわしく思っていた。そしてその10年後には我が母も同じ道を歩むことになる。友達の母親もそうだ。ある年齢に達すると女は花と皿を愛でるようになるのだ。
花にあふれたレトロな博物館
チーク材建築の博物館の入り口。こぢんまりしていてよし。
ここ最近、急に花が好きになってきた。自分のために花を買って、部屋に飾る。気分がいい。あぁ、結局たどり着いてしまったこの道に。
そんな折、「バンコクに花のレストランがある」という話を知人から聞き、取材を兼ねて行ってみることにした。
スクムビットエリアからタクシーで30~40分。ドゥシット区の閑静な旧市街の中にそれはあった。100年ほど前、ラマ6世の時代に建てられたコロニアル調の建物に、「花の文化博物館(The Museum of Floral Culture)」とレストラン「ミッドナイト・ムーン」が併設されている。
ここを手がけているのは、タイ人フローラルアーティストであるサクン・インタクン氏。博物館の展示は彼の業績とアジアの花文化を紹介する内容となっている。入り口の門をくぐった瞬間から、様々な種類の花と木が出迎えてくれ、まるで絵本の世界のようだ。南国の植物は生き物のようで、より楽しい。
お花の香りは食べる前に
パーティのコーディネートを手がけるサクン氏。美しい!
博物館ではタイの花と関係が深い行事の展示や、サクン氏がフラワーデザインをするときのデザイン画、オリジナルの花器の展示もあった。王室関係の仕事も手がけており、何枚も写真があった。
一軒家の中の小さな博物館を見終わったら、花に囲まれた裏道を抜け、中庭へ。そこにはプールがあり、ほとりに建つ東屋ではフラワーアレンジメントのワークショップなども開催されているようだ。
敷地内のガーデンはタイ式と禅式を融合して造園されたもの
美しい庭をぼーっと眺めていると、18時。敷地内のレストラン「ミッドナイト・ムーン」が開く時間だ。ここは、世界ではじめての「花と一緒に味わう料理」をいただける店なのだ。
ディナーはコースのみ。料理も監修するサクン氏が出迎え、ローズティーをふるまってくれた。1品目の料理を見てびっくり。豆腐に味噌を乗せ、クミンの漬物を添えたもの(高山の朴葉味噌からインスピレーションを得た料理なんですって!)。横にはジャンピーの花。東南アジア原産の花で香りが強く、中国では香水代わりにも使われるそうだ。
「まず花の香りをかいでください」とサクン氏。花の香りをかぎ、料理を口に運ぶ。すると、味噌やクミンの香りと入り混じり、顔の内側が香りで満たされる感覚。こんなマリアージュができるとは!
テーブルの上にあふれる花。目が幸せ
花も団子も
食べたらいいじゃない
料理もまるで一枚の絵画のよう
香りを楽しむだけでなく、お花を食べる料理もある。フルーツサラダにはマリーゴールドの花がミックスされていた。インドをイメージしていると聞いて、映画『マリーゴールド・ホテルで会いましょう』が頭をよぎった。
デザートもそれはそれは素晴らしかった。ローズティーのソルベがテーブルに置かれると、バーッとバラの花びらが撒き散らされる。キャンドルに照らされた花びらがまるで夢のようじゃないか。サクンさんいわく、これは「Feel the Magic」だと。お腹も心も満たす、これは魔法なのだ。
このレストランを嫌がる女性はいないと思う。だから、とっておきの日にディナーに出かけてほしい。ましてや、いい年を迎えた女性なら、なおさらだ。
人気のホームメイドスコーン&ティーセット。クロテッドクリームまでこだわりの自家製
タイムテーブル
16:30 BTS戦勝記念塔駅からタクシー
17:00 「花の文化博物館」到着
17:10 博物館を見学
18:15 「ミッドナイト・ムーン」でディナー
見どころ
花の文化博物館
The Museum of Floral Culture
場所:315 Soi 28, Yaek Ongkarak 13,Samsen Rd.
時間:10時~18時 月休
電話:0-2669-3633~4
Web:www.floralmuseum.com
入場料:150B、入場料+アジアンデザート&ティーセット350B、入場料+ホームメイドスコーン&ティーセット400B
※博物館内に以下のカフェスペースあり。「サロン・ド・テ」(カフェ)、「カフェ・ボタニカ」(軽食)ともに10時~18時
※毎週水曜日は日本語ガイドツアーあり。10時~11時15分、13時~14時15分の2回(要予約)。
※不定期で花のワークショップを開催。詳細はHPにて。
お食事処
ミッドナイト・ムーン
Midnight Moon
電話:0-2669-3633
時間:金、土、日18時~24時(予約のみ)
料金:6品コース1950B(税サ別)など
FB:MidnightMoon
行き方
①タクシー
BTS沿線からだとBTS戦勝記念塔駅またはアーリー駅が一番近いです。30分程度。
②船(チャオプラヤー・エクスプレス)
オレンジ色の旗の船に乗り、パーヤップ船着場より徒歩約20分。