格闘技好きな若者からお父さん、ムエタイ観戦は高い!と思っていませんか。そんなむくつけき趣味をお持ちのみなさんをご案内するのはテレビ局ツアー! ミーハーな彼女もご一緒に。次はあなたが観戦できますように。
旅して書く係 店長武井 格安航空券KMTタイランドの店長武井、めっぽう強くて絵もうまい
ムエタイ中継の前に
昼頃、モーチット駅から歩いてチャンネル7に向かう。毎週日曜に行われているムエタイの生中継を見るためだ。開始時間の午後2時にはまだだいぶ早い。道の向い側にある路地に入り、「クルア・プリック・ホーム」で軽く腹ごしらえをする。
一般的なタイ食堂だが、どことなくオーナーの繊細さを感じさせる小奇麗な店内であり、ムエタイを観に来た男の客に混じってBTSに勤務する制服姿のOLなども見られる。
開場の12時半に合わせテレビ局の門をくぐると、いかにもムエタイ修行中といったファランが観戦に来ており、いかにもピンハネを好みそうなタイ人と揉めていた。賭けの前には、ありがちな光景だ。
(※編注:黙認されることが多いのですがムエタイ賭博は違法です、念のため)
旅は道連れ、今日はこのファランと一緒に観戦しよう。
(※ふたたび編注:くれぐれも賭博に手を出さないように、念のため)
2000Bの観戦料が出せなかったドイツ人
ここではだれでも無料で観戦できるが、外国人にはVIPと称したプラスチック製の背もたれ付き椅子が、有料(300~400B)で提供される。
無料という情報を得てやって来た外国人がパニックになるのはそのためだ。その場にいるタイ人たちからは「外国人のクセにタダ見かよ」という白けた視線を送られる。まぁまぁ。試合会場は正面の建物を裏口から入ったスタジオの中にあり、中央にリング、四方の壁には雛壇式の観客席が設置されている。
午後1時前後くらいだとまだ空席があり、かなり自由に座ることが可能だ。試合が始まるまで1時間以上待つことになるが、試合の直前では混んでしまい通路で立ち見になると説明し、先刻のファランをおとなしく隣に座らせた。
このファランはドイツ人で明日のチケットで帰国するらしい。昨晩、ルンピニースタジアムへ行ったところ、観戦料の2000Bが高すぎると思って諦めたが、ここなら無料で観戦できると修行先のジムで聞き、やはり帰国前に本物の試合を見ておきたいとやって来たそうだ。ムエタイ修行に来た人間が帰国直前に2000Bも出せないことは私も経験者なので痛いほど分かる。
違法の賭博でうごめく人間模様
隣のドイツ人は、なぜ1ラウンドから一気に攻めないとか、ひじ打ちでノックアウトしないのかとか、質問が多くて参ったが、早急に勝負が決まってしまったら賭けは面白くない。
多くの観客はここでギャンブルをしているのであり、彼らを楽しませる試合運びをしてこそ一流のムエタイ選手と呼べるのだ。
(※みたび編注:くれぐれも賭博に手を出さないように)
ムエタイ賭博の基本的なシステムは、胴元のオファーを受けるかどうかの単純なものだ。隣のドイツ人がまた質問してきた。なぜ試合前にワイクルーを踊るのか? それは、胴元達が前の試合の支払いと集金をするための時間が必要だからだ。(※最後に編注:タイ語の直訳で「ワイ(拝む)・クルー(先生)」。
つまりムエタイの開祖への礼拝の儀式をさす。
リングで選手が踊りながらコーナーポストを聖柱として礼拝し、邪悪な者が侵入しない様に結界を張り、神・呪文・護符の加護を信じ己の潜在能力を引き出すとされている。
ウォームアップ・相手の流派確認・相手や自分の体調確認・リングの状態確認などがある)
チャンネル7
電話番号 0-2272-0201
住所 998/1, Soi Ruamsirimit Pahonyothin Rd.
営業時間 毎週日曜 14時~16時半ごろ
料金 観戦無料