西日が差す昼下がり、立ち話しているおかあちゃんに三時のおやつをねだる子どもに、甘いアイスラテを待つおねーちゃん、少し早い酒盛りを始めているバイタクと、大あくびしている犬。
そんなゆるくてローカル色が濃くなる時間に散策したいワンデートリップ。次はあなたが掘り出せますように。
【旅して書く係】 ペロンヤス 光り輝く頭とともに、骨董品も磨きます(笑)
とにかく安い青空市
ちょっとディープな庶民市、パタウィコーン市場。ここは、自宅があるラムイントラから20分ほど車を走らせたところにある。平日の午後、仲間3人で市場に到着。平日だけに人も少ない。隣接する学校から下校のチャイムと同時に市場目指して飛び出す子どもたち。青空の下、ゴザを引いてソムタム食べながら家財を売るおばちゃんから、テントの中で本格的に店化して骨董品を売る胡散臭いおっちゃん。いやぁ、これぞタイ本来のフリーマーケットにあるべき姿! そんな身勝手な思いに浸ってるうちに、あれっ友達はどこいったん? と一人出遅れ。ホンマ皆、安い物に目がないんやから。「あっ! こっちの古着、30Bやん!」
30分間のタイムスリップ
錆付いた腕時計から、年季の入ったサングラス、ようわからん部品の隣にひっそり佇むフランス製のお皿が20Bとは……。まさに骨董品からガラクタまでごった煮状態、アンティーク好きにはたまらないオールドスクール満点の、にぎわい市。売り物のギターを片手にバンド結成する学生に、エア・トランポリンで無邪気に戯れる子どもたちに差し込むコンクリートイエロー……。忘れていた「何か」を取り戻すこのとき、ただいま、マジックアワー。
心身回復、ジンジン満腹
そんな哀愁漂う時に流され、目の前に現れたのは足マッサージ屋。吸い込まれるようにマッタリとした時間を当たり前のように延長する。至福の一時間。お天道さんもお勤めを終え、足の疲れが吹っ飛んだと同時に、今度は腹の虫が鳴く。ふらふらと迷いこんだ食堂テントの中で、いかした土鍋が並ぶカノムジーン屋を発見。あふれんばかりの野菜を入れ、ゆで卵を乗せる。「いただきます」を言い終わる前に無我夢中でがっつく。うーん、止まらない幸せの一時はまだまだ続く。
関西人も顔負け!?下町おばちゃんパワー
腹ごしらえも終え、残すは一番奥のレトロな玩具や靴、ブリキ鍋などが並ぶエリアへ。そもそもディープな場所にはかなりの確立でパンチの効いた関西ノリのおばちゃんがいる。案の定、目があったら最後、弾丸トークが繰り広げられること1時間、「もう、それも1個10Bでええわ、これもセットでいっとこ。ハハハ」。
おばちゃん、グイっと粋にビンビールを傾ける。気づけば、安いとはいえ絶対使わんやろというものまで、術中にはまりお買い上げ。おいおい。両手いっぱいの戦利品(?)を持って帰る途中、さっきのおばちゃんが母親の顔に戻り、学生服の息子と手を繋ぎ、帰って行く後姿。子どもたちには少し暗く遅い下校時間。
しかしながら、聞こえてきた屈託のない家族の笑いが、暗い夜道を照らしていた。おばちゃん、おおきに。
パタウィコーン市場
平日12時~20時、土日10時~22時
行き方
パタウィコーン市場まで1本で行ける。
バス:プラカノン通りから71番。スクムビット通りから501番。ペップリー通りから60番(ただし往路のみ)
タクシー:タラート・パタウィコーンもしくは、ナワミン72と伝えればOK!
マイカー:地図参照。駐車場も完備。駐車料20B、トイレ3B