タイでは3、4年前ほど前から、日本の中古品ビジネスが注目を集めている。都内各所に日系のリサイクルショップが続々とオープンし、ネットショップも盛況だ。聞くところによると、大量の中古品をコンテナに詰め日本から輸入し安価で販売する業者が増えているのだという。
かねてよりタイ人の日本製品への信頼は厚く、中古品であっても変わりはない。実際に、日本の中古品は状態の良いものが多く、新品かと思われるものもある。だれかのお古ではあるが、使い古しばかりではないのだ。
そうした輸入業者は大手だけではない。自転車や衣料品、ホビー用品、コレクターズアイテムなど、ターゲットである消費者層のニーズに合わせ、的を絞って自ら商品を仕入れている個人事業主もいる。
それではショッピングに行くとしよう。目指すはリサイクルショップ「Japan Reuse」だ。まるで倉庫を解放したかのような広い敷地に、状態も価格も様々な商品が並んでいる。商品の種類は老若男女すべてのニーズをカバーするほど豊富で、小ぶりのアクセサリーから大型の家具、玩具、スポーツ用品、陶器、レコード盤、靴、鞄、衣類などなど。
価格設定はユニークで、決められた100グラム単位の価格をもとに、実際の商品の重量で販売価格が決まる。
ここは客層もユニークだ。卸として利用する小売業者が多くを占めるという。それほどまでに安いのだ。商品は毎週入れ替わるため、開店前から業者らしき客たちが列をなす。特に土日の混雑は尋常でなく、入場制限がかかることもある。そうした客たちに人気があるのは、100グラム20Bの玩具だ。おそらく良い値段で転売するのだろう。1時間以上も吟味している人も散見する。運が良ければ大変な掘り出し物に出合うらしいので、真剣勝負だ。
店の紹介はこれで終わりだが、お古たちの旅はまだしばらく続く。前のご主人と別れ、はるばるタイへやってきた彼らは、ここで次のご主人を待つ。
思いがけず前のご主人と海を越えた微妙な再会を果たすこともあるかもしれないが、それはまた別のお話。
Japan Reuse
場所:チャルームプラキアット・ラマ9世通り
電話:08-3989-3955
時間:9時~19時 無休
地図:
ぺー=シリパン・ジェンタラクールラート
旅人、37歳。ダコタイ語版4代目編集長(~2015年)。現在はタイの大手出版社にて編集スタッフを務める。ダコ本誌で2009年から2018年2月まで「屋台の細道」(全108回)を連載。