この新年の休暇中にバンプーへ行った。バンプーはバンコクから1時間もあれば到着する、身近なビーチリゾート。近頃はBTSの鉄道路線も延びており、近くまで電車でも行けるが、僕は自分のバイクで行ってきた。住んでいるオンヌットからわずか30分ほどのツーリングだ。
バンプーは毎年10月から2月まで、越冬のために飛来するカモメの群れを鑑賞するポイントとして有名だが、僕の目的はそれではない。新年を祝うのにふさわしいご馳走とリゾートの雰囲気を、妻と楽しもうと思ったのだ。
現地に到着し、海に臨むシーフード・レストランに入った。値段はリーズナブルとはいえないが、素材の鮮度や料理の味を考えれば高すぎるというほどでもない。当てもなく入った店だったが満足だった。
おいしい料理を味わい、心地よいそよ風に身をゆだねる。水平線にゆっくりと沈む美しい夕陽を眺めていたら、心の凝りがほぐれていくのを実感した。すると、唐突にこの1年の出来事が脳裏に浮かんだ。
喜びも苦しみも味わったのは例年どおりだが、昨年は疲弊する出来事のほうが多かったように思う。乗り越えたのか、放置しているだけなのか定かではないが、すべて過ぎたことだ。
生きていく中で遭遇する問題には2種類あると思う。解決できる問題とできない問題だ。これまで僕は、解決できない問題は放置し、結果が良くも悪くも時間が代わりに解決してくれるのを待っていた気がする。僕自身、問題に立ち向かうのが得意ではないようだ。
考えている間にも太陽は沈み続け、オレンジ色の大きな丸を直視できるまでになった。この瞬間の太陽はあまりに魅力的で、目をそらすことができない。
美しい時間も長くは続かず、やがてピンク色を帯びたオレンジ色の空は闇と化した。
本音を言えば、海の景色を除くとバンプーの太陽は特別ではないのかもしれない。しかし新年の太陽には、いつもとは違う思い入れがある。昇ったり沈んだり、明るくなったり暗くなったりを繰り返す太陽。お天道様という偉大な存在でさえ、こんな目に遭っている。人間ならきっと、なおさらだ。
Bang Pu
場所:スクムビット通り(サムットプラカーン県バンプー・マイ地区)
ぺー=シリパン・ジェンタラクールラート
旅人、37歳。ダコタイ語版4代目編集長(~2015年)。現在はタイの大手出版社にて編集スタッフを務める。ダコ本誌で2009年から2018年2月まで「屋台の細道」(全108回)を連載。