男と女の学際研究 ~現役学者が微笑みの国を考察!~
5人の現役研究者が「日本男とタイ女」をテーマに、いろいろな角度から考察する連載コラムです。
今回の著者:環境工学 岡寺 智大
私が初めてタイを訪れたのは2000年代前半頃かと思いますが、この十数年間で、密かに気になっていることがあります。それは、「タイ女が肥満化しているのではないか?」という懸念です。私が初めてタイを訪れた際は、タイ女は細くて、スタイルがいいという印象を持ちましたが、最近は割とふくよかな女性だけでなく、肥満気味の女性を見かける事が多くなったような気がします。
私の第一印象が良かっただけという可能性もありますが、この10年でタイの経済水準も上がり、タイの食生活は大きく変わっていることが予想されます。特にバンコクでは外食産業もタイ料理だけでなく、日本料理をはじめ多様化しているのに加え、コンビニ等での加工食品の品揃えも充実していますので、それが肥満へと繋がっていたとしても何ら不思議ではありません。
さて、肥満度の評価には、ボディマス指標 (BMI)という指標がよく用いられます。BMIは体重と身長から算定することができ、健康診断の結果等で目にされる方も多いと思います。原則的にBMIが18.5~25未満が標準範囲とされ、22が適正値と言われています。また、18.5を下回ると痩せ気味、25以上で太り気味とされ、更に30以上になると肥満とみなされます。
世界保健機構(WHO)は、国ごとのBMI平均値(年齢標準化)の推計結果を公表していますので、タイ女のBMI平均値(1975~2016年)を抜粋してみました(図1)。図中の青色折れ線グラフが最も確からしいタイ女のBMI平均値となりますが、1975年には適正値とされる22を下回るBMI(21)であったタイ女ですが、BMIは緩やかに上昇を続け、2016年には太り気味とされるBMI(25)に突入していることがわかります。
しかし、WHOの推計値には誤差があり、悲観的に見ればタイ女のBMIは2010年にはすでに太り気味とされるBMI(25)に到達(灰色折れ線)している可能性もありますし、その逆に、まだ太り気味の水準には達しておらず、標準範囲のBMIに納まっている(橙色折れ線)可能性もあります。
現状でいえば、肥満とされるBMI(30)にはほど遠く、太り気味の水準に到達したか、する直前という段階ではありますが、残念ながら、タイ女は肥満傾向にあると言えそうです。また、私の初訪タイの数年後から太り気味のタイ女が増え始めた公算が高く、奇しくも私はその転換期の目撃者となってしまったようです。