
男と女の学際研究 ~現役学者が微笑みの国を考察!~
4人の現役研究者が「日本男とタイ女」をテーマに、いろいろな角度から考察する連載コラムです。
今回の著者:政策科学 竹本 拓治
第423号の記事では、タイは日本と異なり、女性も男性と同程度に起業準備率が高いという数字を示しました(下図)。その上で結論として、タイ男がタイ女に優しく、女性を守るタイ文化により、タイ女が活躍しやすい社会が形成されていることを述べました。今回は、前回のコラムに対する読者からの意見を踏まえ、さらにタイ社会を考察したいと思います。

(日本とタイの男女別の起業準備率。米国バブソン大学によるGEM DATAより数値を引用し筆者作成。単位%)

(日本とタイの男女別の起業準備率と男女比。米国バブソン大学によるGEM DATAより数値を引用。起業準備率の単位は%。男女比は男性/女性で単位は倍。)
読者からの感想について
前回の記事について、「(タイでは)男がしっかりしていないから、男は女にやさしい」や「仏教文化が関係している。女性にやさしくすることで、善行を積む良い機会と考えている」という、日本人の読者からの感想を頂きました。
しっかりしていない人は、他人に甘えこそあれ、やさしくすることは難しいかもしれません。また確かにタイでは、籠に捕らわれた鳥を購入し、籠から逃がすことで「徳を積む」とするタンブンの考えがあります。しかし善行を積む対象として女性全体とするのは、女性に失礼でもあり、タイ人の考え方とは少し違うと思われます。
強いものが弱いものを助ける社会
タイ人の考えは、タイ人に聞くのが最も早いです。そこでタイの大学の先生(タイ男)に尋ねました。するとあっさりと「強いものが弱いものにやさしくするのは『カッコいい!』」という答を返してくれました。さきほどの意見と何が違うのでしょうか。
それは「女性に」ではなく「弱いものに」やさしくする点です。男女どちらかが全体として優れているということではありません。現状ではタイの大学生は全体として上位を女子が占めます。知力的には一部の女性が男性を助けるのが「カッコいい!」という場面もあるでしょう。
体力的に弱いものに席を譲るという点では、譲る対象にお年寄りだけでなく女性も含まれるというのは納得がいきますね。席を譲る側が強い女性という場面もあるでしょう。路上の風景では、タイ人は物乞いに小銭を渡す風景もよく見ます。経済的には、タイ社会では、お金を持っている人が、お金を持ってない人を助けるのは当たり前と考えます。
つまり「タイ女が活躍しやすい社会」というのは、決して「女性を優遇する社会」ということではなく、男女の分け隔てのない「弱い者にやさしい社会」ということです。すると起業準備率のデータにおいて、日本に比べ男女ともにタイの割合が高い(日本は5%未満、タイは20%前後)ということだけではなく、タイでは男女間にほとんど差がない(日本は2倍程度の差、タイはほとんど差がない)ということも頷けるでしょう。
こと起業については、経済の発展がどのような形で先導されるかという違いがありますが、ジェンダー(社会的性差)の考え方などは、私たち日本人はタイ社会から学ぶべきことがあるのかもしれません。








