食いしん坊の議論
「北海道のカニ」はタイ人の憧れだ。極上の味を求めて北海道へ行くタイ人は多い。
ご多分に漏れず、僕もかの地で憧れのカニを食べた。意外と感動はなかった。うまかったが、期待し過ぎたせいかタイのカニのほうが味も食感も良い気がした。僕の食べたカニがたまたまハズレだったのかもしれない。しかし、何度食べてもハズレだ。おかしい。
この疑問をネット掲示板に何度か投稿したら、多くの共感を得てしまった。 当然反論もあるだろう。僕が食べたのは北海道産ではなくロシア産、または冷凍物だったのかもしれない。そこでぜひ、皆さんにタイのカニを食べて考えてもらいたい。
そのメニューは米麺屋にある。バミーの上に真っ白で瑞々しいカニ肉がテンコ盛りになっていて、「皇帝カニ麺」という高貴な名に恥じぬ風貌だ。カニは毎日スラーターニー県から取り寄せた新鮮なもの。カニに目を奪われてしまうが、バナナエビが丸ごと一尾包まれた巨大なワンタンも負けていない。まずは全体をよく混ぜて、トッピングの香ばしい揚げニンニクをなじませよう。麺には甘酸っぱ辛いタレがついている。カニにつけて食べている人が多いが、僕は全体に混ぜて食べるのが好きだ。
この一杯を堪能して、改めて結論が出た。僕はやはりタイのカニのほうが好きだ。誤解しないでほしい。どちらが美味か、という判定ではない。おいしく感じるにはいろいろな要因が絡んでいる。僕が北海道で食べた時は、たまたま条件が悪かったのだろう。僕の味覚と合わないのかもしれない。
味覚は個人差があるから、比較して優劣を決めるのは無意味だ。しかし、うまいものに関する比較や議論は大好きだ。結論を出すのが目的ではない。それを想像して食欲を刺激し、うまいと聞いた料理を食べるのが楽しみなんだ。
バミー・プー・ジャクラパット
クイティアオ・ガイ・ラーン・ノック
店主のゴーさんは90年代から歌手や俳優として芸能界で活躍しながら、様々なビジネスを手掛けてきた。創業40年になるこのクイティアオ・ガイ(鶏のせ米麺)屋もその一つ。 もとはお母さんが開いた店で、卵麺はペッチャブリー県産、中細麺はナコンパトム県産、スープは鶏を丸ごと煮込んでダシを取るなど、素材選びと手間暇かけた丁寧な味が評判を呼び、ラマ9世通りでは伝説的な店なんだ。皇帝カニ麺は普通120B、大盛150B。
DATA
時間:8時~16時 無休
電話:0-2300-1971、08-9699-8787