男と女の学際研究 ~現役学者が微笑みの国を考察!~
5人の現役研究者が「日本男とタイ女」をテーマに、いろいろな角度から考察する連載コラムです。
環境工学 岡寺 智大
以前、日本男のタイ女へのモテ度は過去最低記録更新中という話をしました。が、これは日本国内で出会って結婚に至ったケースも含まれているため、必ずしも「タイ国内で日本男はモテなくなった」事を意味しません。そこで今回はタイ国内のモテ度を検証してみたいと思います。
初婚・再婚別で動向が異なる
そこで、日本男・タイ女の初婚・再婚別の婚姻件数の推移を図に示します。
周囲の婚姻状況や日本のタイ人社会を鑑みると、初婚妻(日本で婚姻届を初めて出したタイ女)のほとんどはタイ在住と推察されるからです。
一方、再婚妻の場合は、日本で二度以上婚姻届を出しているため、日本で日本男と出会って結婚に至ったケースも多いと思われます。
日本男・タイ女の初婚・再婚別婚姻件数の推移
(出所)厚生労働省、人口動態統計 各年版
http://www.e-stat.go.jp/SG1/estat/NewList.do?tid=000001028897
ちなみに、
①夫初婚-妻初婚
②夫再婚-妻初婚
③夫初婚-妻再婚
④夫再婚-妻再婚
の4つのグループに分類しています。
2014年には、965組の日本男・タイ女の夫婦が生まれていますが、その内訳は①362組、②260組、③128組、④215組となり、初婚同士の夫婦が最も多く、次いで離婚歴のある日本男と初婚のタイ女という夫婦が続きます。どの年代も内訳に大きな変化はなく、約4割が初婚同士の婚姻であり、初婚のタイ女を娶る日本男の割合が多いです。
しかし、婚姻件数の変動を見ますと、グループにより傾向が大きく異なります。
①の婚姻件数は1993年を境に現在に至るまで顕著に減少しています。日本男・タイ女の婚姻件数のピークは2000年ですが、初婚同士の婚姻件数はその7年も前から減り始めたことになります。
②の婚姻件数は2000年を境に減少へ転じ、その後は①と同程度のペースで減少していましたが、最近は横ばいです。
③の婚姻件数も2000年を境に減少していますが、比較的緩やかです。
そして、④の婚姻件数は過去22年間で大きな変動がありません。
ここで重要なのは、①、②の初婚妻(日本で婚姻届を初めて出したタイ女)との婚姻がどちらも激減している点です。
なぜなら、ビザの制約が厳しかったこともあり、初婚妻のほとんどは「タイ在住のタイ女」と推察されるからです。つまり、タイで知り合い、結婚に至る日本男が減少している可能性が高いといえます。
草食系に代表されるように日本男の結婚願望自体が弱くなっているという状況で、単純に結論付けられませんが、残念ながら、日本男がタイでモテなくなっている可能性を否定することは難しそうです。