水がある年のソンクラーン
水掛け祭りとして知られるタイの旧正月・ソンクラーンについて、ソンクラーン実行委員会は3月28日、今年は水を使わないエア方式で行うと発表した。昨年から続く水不足に配慮したかたちだ。
例年プラナコン区カオサン通りなどを中心に、若者たちが無差別に水を浴びせ回るソンクラーンだが、現在「数十年に一度」と言われる規模の干ばつに見舞われていることから、水の無駄遣いを懸念する声が上がっていた。
実行委員会ではこのような現状に配慮し、今年のソンクラーンをエア方式で行うと決定。水を使わず旧正月を祝うとした。期間中は水が補給できないよう、屋外の水道を自主的に止める。
祭りの参加者には、空の水鉄砲やバケツを持って通行人に水を浴びせるポーズだけ取るよう求めるほか、参加象にも鼻息だけ吹きかけるよう求める。また、通行人にも悲鳴を上げるなど冷水を浴びたかのようなリアクションを取るよう協力を呼びかけた。
今回の発表に、盛大な水撒きを期待していた参加者からは「気持ちに水を差された」「寝耳に水」など驚きや落胆の声が聞かれたが、その一方で「寝耳の水すらもったいない現状。仕方ない」と理解を示す意見も見られた。
エア方式を採用した理由について、ライナーム委員長は「油やハチミツといった水以外の液体に置き換える案も挙がったが、どう考えても地獄絵図にしかならないのでやめた」と説明する。
水を打たない新方式エア・ソンクラーン。この初の試みで都内が水を打ったように静まり返るかどうかにも注目が集まりそうだ。
Kyoko Shimbun(虚構新聞:http://kyoko-np.net)について
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