儀式をおろそかにする人間に対し自然は容赦を知らない
国立カセサート大学理学部の研究グループはタイ国内でスコールを長引かせている原因がタクライ(レモングラス)にあることを解明したと発表した。研究論文は英科学誌『フェノメノン』6・7月合併特大号に掲載される。
雨季に起こるスコールは一般に平均1時間程度とされるが、近年では平均3~4時間と長期化する傾向があり、多くの研究機関がその原因の追究にあたってきた。
今回カセサート大の研究グループでは、地球規模の温暖化ではなくバンコク都内に限定したミクロな降水変動を調査。都内を300メートル四方に区切り、各区間内における気候や生態との関連性を調べた。
調査の結果、バンコク都内でも地域によって降水時間に最大2時間近く差があることが判明。さらに調査を進めた結果、特に降水時間の長い地域ではタクライが誤って植えられていることが分かった。
タイでは雨を止ませる儀式としてタクライを逆さにして土に挿すという民間信仰があるが、降水時間の長い地域の民家ではタクライの葉と根が上下バラバラで挿さっている、あるいは全体が土に埋まるなどしていた。
今回発表の論文では「このような中途半端な儀式のせいで雨雲が去っていいかどうか悩んだ結果、その場に停滞し、長雨につながったのではないか」と指摘している。
また論文を執筆したフォン・トックナック教授は理論を実証するため、実際にプラナコン区でタクライをいい加減に挿して実験を行ったところ、スコールで増水したチャオプラヤー川に流され、2時間後下流のバンナー区の岸に打ち上げられているところを発見された。
フォン教授はタクライを握りしめたまま救急隊員に「実験は成功した」と語りかけたという。
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