雨乞い祈願の祭りは近年ロケット技術披露の場と化しつつある
(写真/newsclip)
タイ地理情報・宇宙技術開発機関は2020年をめどに国産有人ロケットで月面探査を行う「ドゥアン・ジャン計画」を発表した。早ければ来年にも試作1号機の打ち上げ実験を行う。古くから人工衛星開発を中心としてきたタイの宇宙開発事業は大きな転換点を迎える。
新たに発表された月面探査計画の背景には、今後宇宙産業分野でアセアン諸国との競争が加速するとみる政府予測がある。「先端技術の集積体」とも言われるロケット開発はこれまで欧米を中心に進んできたが、近年では中国が世界で3番目となる有人宇宙飛行に成功。小惑星探査機「はやぶさ」で成功を収めた日本も2020年の有人宇宙飛行を目指すなどアジア全体で宇宙開発が活発になりつつある。
他国と比べて人工衛星開発に一日の長があるタイとは言え、有人ロケット開発の前途は厳しい。だが「アジアの中で最も早く有人月面探査を実現するのはタイではないか」と考える専門家もいる。
その理由はタイ東北部で毎年行われているロケット祭り「ブン・バンファイ」の存在だ。雨乞いを祈願して数十本の竹製ロケットが打ち上げるブン・バンファイは、長年にわたる試行錯誤とIT技術の発達により近年独自の進化を遂げた。
昨年のブン・バンファイでは先端にデジタルカメラを搭載したロケットが大気圏外から地球を撮影した動画をユーチューブ経由で生中継することに成功。祭りの期間中は地元住民や観光客に交じってスカウト目的とみられるスーツや軍服姿の外国人も数多く見受けられるようになった。
のどかな祭りの風景は一見変わらないが、タイ人で初めて月面に足跡を残す未来の宇宙飛行士がこの地から現れるかもしれない。
Kyoko Shimbun(虚構新聞:http://kyoko-np.net)について
虚構新聞社・社主UK氏が2004年に開設した、虚実の狭間を行き交う可能性世界の出来事を報道するニュースサイト。「ありそうでなさそうで、でもやっぱりあるのかもしれないけど、まさかそんなことはないだろう」といった記事を掲載。当「バンコク版」においても内容はすべてフィクションであり、現実の人物・事件・団体とは一切関係ありません。本誌に掲載された記事により、損害や賠償が発生したとしても、著者ならびに編集部では一切の責任は負いません。