男と女の学際研究 ~現役学者が微笑みの国を考察!~
5人の現役研究者が「日本男とタイ女」をテーマに、いろいろな角度から考察する連載コラムです。
経営学 林 拓也
本コラム第29回で、文化人類学者の片山はタイ人女性につきまとう性産業のイメージについて触れ、日本人を含む先進国男性たちが持つタイ人女性に対するまなざしが、セクシャリティを強調したオリエンタリズム色の濃いものであり、性産業との関わりを通してタイ人女性イメージが再生産されてきた点を強調しています。
今回はこの片山があげたタイ人女性に対する性産業のイメージという問題について、タイの人口ピラミッドの視点を入れることにより考えてみようと思います。
人口ピラミッドの変化と共に性産業の主力年齢層も変化?
タイで初めてHIV感染者が報告されたのは1984年のことであり、パスックがバンコクの売春女性を農村女性の搾取の問題と捉え、タイ社会の構造的問題として売春を捉えたのが1982年のことです。
それではその中間を取り、1983年のタイ人口ピラミッドにおける女性の年齢構成はどの様なものだったのでしょうか。
国連の統計によれば、同年においてタイ人女性で最も人口の多かった年齢が10~14歳で6.4%でした。なお15~19歳は5.7%、20~24歳は4.9%、そして25~29歳は4.3%でした。
1980年代はタイで児童買春が蔓延した悲しき時代であると言えますが、人口ピラミッド上においても、その時代は未成年のタイ人女性(幼児)が最も多かったことがわかります。
次に、やはり片山が参照し、グローバルな環境下において自立の機会が相対的に恵まれている点からパッポンの売春女性を肯定的に捉えたという、オザーの研究が発表された1994年はどうだったのでしょうか。
この年においてタイ人女性で最も人口の多かった年齢は15~19歳で5.0%でした。なお10~14歳は4.8%、20~24歳は4.9%、そして25~29歳は4.6%でした。未成年女性の人口が減少したとともに、20代女性の比率の増加したことがわかります。
一番勢いのある20代夜の蝶であるタイ女たちが、外国人相手にブロークンだが意思を伝えようとするため懸命に英語を話す光景が目に浮かびますね。
20代女性の比率が高いことは1983年の時に未成年だった彼女達がそのまま成長したわけですから当然ですが、一方でその間に少子化が進んだこともわかります。
では2017年はどうなるのでしょうか。
国連の推計によれば、なんということでしょう、タイ人女性で最も人口の多い年齢は45〜49歳で4.2%となる見込みです。
なお10~14歳は2.9%、15~19歳は3.1%、20~24歳は3.3%、そして25~29歳は3.4%となる見込みです。
つまり2000年代そして現代にかけてタイでは少子化に歯止めがかからなくなり、急速に高齢社会(65歳以上人口の比率が全人口の14%を占める社会)へ向かっていることがわかります。
なお東京オリンピックの開催される2020年において、タイでは45~54歳の女性が全人口の中で占める割合が最も高くなる見込みです。
既に超高齢社会(65歳以上人口の比率が全人口の21%を占める社会)である日本では、老人ホームで起こる高齢者同士の激しく熱い恋愛事情の数々を近年耳にすることがありますが、いずれタイの性産業も大きく構造の変化する時期が来るのではないでしょうか。









