男と女の学際研究 ~現役学者が微笑みの国を考察!~
4人の現役研究者が「日本男とタイ女」をテーマに、いろいろな角度から考察する連載コラムです。
今回の著者:政策科学 竹本 拓治
タイでは起業は身近な行動
タイ女の強さ、凄さは「結婚するとわかる」「屋台を運営して頑張っている」などと囁かれるように、様々な日常の中で散見されるようです。
タイでは女性管理職比率も国際的に高い水準です。ベビーシッターなどの家政婦を雇う費用の安さや、3世帯住居といった家族構成などの要因が、M字カーブ問題(結婚や出産イベントによる女性の労働力比率の低下)の解消につながっていると考えられます。
タイ女の起業はどうでしょうか。日本人にとって「起業をすることは何か特別なこと」と思いがちです。
一方でタイでは、思いつけばふとはじめて、儲からなければすぐにやめる人も多いようです。道の縫製職人や物売りは個人ビジネスであり、屋台やナイトマーケットをやっていれば店主ですから、身近な行動が簡単に起業に結び付くようです。
アメリカのバブソン大学が、国ごとに起業準備率(Total early-stage Entrepreneurial Activity、18歳から64歳までのうち、起業準備をしている人、および新しいビジネスのオーナーの割合)を調査しています。最新の2014年調査では、調査国70カ国平均が13・08%、日本が3・83%(69位)に対し、タイは23・30%(8位)です。
男女の起業率に差がないタイ
では起業準備率の男女差を見てみましょう。日本の場合、男性では5%を超えているのに対し、女性は2%程度と倍以上の差です。
一方、タイでは共に20%代で日本ほどの差はありません。タイは日本と比較して、女性のほうが強さ、凄さがあるのでしょうか。
タイでは日本と違い、男女が結婚すれば、男性が女性の家に入ります。バスや電車では、高齢者や妊婦だけでなく女性にも席を譲ります。
このようなタイの日常を観察してみると、どうやらタイ女が強い、凄いというよりは、タイ男がタイ女に対し優しいということや、女性を守るという文化が関係していて、結果としてタイ女が活躍できる社会になっていると考えることができそうです。
この著者のほかの記事を読む