男と女の学際研究 ~現役学者が微笑みの国を考察!~
4人の現役研究者が「日本男とタイ女」をテーマに、いろいろな角度から考察する連載コラムです。
経営学 林 拓也
グローバル統合とローカル適合
今夜もバンコクのどこかで繰り広げられる日本男によるタイ女への熱いアプローチ。今回は、そんな日本男によるタイ女へのアプローチの仕方についてグローバル経営論から考えてみたいと思います。
プラハラードとドーズは、多国籍企業が進出先国で直接投資を行う際に、進出する複数の国の間で共通性を追求する度合い「グローバル統合(Integration)」と、進出した国が独自に持つ特性へ適応する度合い「ローカル適合(Responsiveness)」のバランスをとることの重要性を説きました。
例えば資生堂は中国専用ブランドであるオプレを中国市場へ投入した一方、現地へ本社出資100%の子会社を設立し海外事業活動を意識的に調整するなど両者のバランスをとる方式を模索し成功しています。
バランスをとることが重要
日本男がタイ女にアプローチする際の大きな壁は、やはりタイ語です。従って最初にアプローチするタイ女は日本語を話せる層に自然と限られてきます。相手は日本語を片言でも話せますから安心してアプローチできます。
しかしI-Rフレームワークからこの日本男を見た場合、かたくなに日本語をベースにアプローチするためグローバル統合の度合いが強く、時としてローカル適合の重要性を忘れてしまいます。
確かにグローバル統合で攻めれば彼らにとっての効率性は高まります。しかしより大事な点は両者のバランスを取ることにあります。またそのバランスの度合いもそれぞれのタイ女の置かれている環境や階層によって異なることに注意が必要です。
例えば日本語学科の大学を卒業したタイ女は日本男によるグローバル統合の圧力に応じやすいと言えるでしょう。
さあ日本男の皆さん、皆さんがいまアプローチしたいタイ女はI-Rグリッド上のどこに位置するのか考えてみてはいかがでしょうか。
【参考文献】Prahalad, C. K. & Y. L. Doz (1987) The Multinational Mission: Balancing Local Demands and Global Vision, New York: Free Press.
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はやし・たくや 東京大学大学院経済学研究科博士課程修了。シーナカリンウィロート大学社会科学部客員研究員、桜美林大学准教授を経て、現在は青山学院大学教授。博士(経済学)。専門は現代日本経済・経営史、アジア経済・経営史。 |