男と女の学際研究

「ミーチャイ」― タイ・日比較考 vol.013

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男と女の学際研究 ~現役学者が微笑みの国を考察!~

4人の現役研究者が「日本男とタイ女」をテーマに、いろいろな角度から考察する連載コラムです。

 

今回の著者:文化人類学 片山 隆裕

 

非常に低いコンドームの使用率

毎年、ゼミの学生を連れてタイを訪れています。バンコクでの夕食は、スクムビット通りソイ12にある「キャベツとコンドームのレストラン」。

コンドームの服を身に纏ったマネキンやコンドームを敷き詰めたテーブル、壁に飾られた世界各国のコンドームに学生達は目を丸くします。

このレストランは、「ミスター・コンドーム」と呼ばれるミーチャイ・ビラバイダヤ氏率いる、タイ最大のNGO「人口地域開発協会」が運営しています。ミーチャイ氏は、1970年からタイ政府が実施してきた「家族計画プログラム」に深く関わってきました。

1970年に6・3人だった「子だくさんの国」タイの合計特殊出生率が、1990年代半ばには1・7人になるなど、このプログラムは社会経済発展に大きく貢献しました。
1996年には約145万人が産児制限を実施しましたが、その方法としては、避妊注射が43・5%、避妊薬が33・6%、避妊リングが30・8%と多く、男性がコンドームを使用する割合は5・7%に留まっています。

当時、ある保健所の女性所長さんが「日本では、家族計画や避妊のために男性がコンドームを使用する割合が高いと聞いていますが、こちらでは、家族計画のためにコンドームが使用されることが少ないため、どうしても女性の心身の負担が大きいのです」と語っておられたことを思い出します。

 

コンドームの無償配布でその代名詞になるほど有名に

1980年代半ば以降、エイズの脅威が大きな社会問題となった折には、ミーチャイ氏の発案で性産業施設にコンドームを無償配布して「SAFE SEX」を呼びかける「100%コンドーム政策」が実施され効果を上げましたが、家族計画に関しては、コンドームを使用する割合は日本ほど多くありません。

氏にあやかって、タイではコンドームを「ミーチャイ」とも呼び、タイ語の辞書にも掲載されています。

 

 

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