男と女の学際研究

第10回AKB48世界選抜総選挙にみる、BNK48の実力を考える vol.055

 

 

 

男と女の学際研究 ~現役学者が微笑みの国を考察!~
5人の現役研究者が「日本男とタイ女」をテーマに、いろいろな角度から考察する連載コラムです。

今回の著者:政策科学 竹本拓治

 

 

第10回AKB48世界選抜総選挙(AKB48 53rdシングル 世界選抜総選挙 〜世界のセンターは誰だ?〜)では、チャープランさんが39位、ミュージックさんが72位に入るという健闘をみせました。みなさんは、この結果をどのように感じましたか?

 

 

意外にも伸びたのか?

「意外に伸びた!」と思いましたか?少なくとも私はそのように感じました。というのも、名称とは反対に日本ローカルな選挙だったからです。

私に身近なものとして例えれば、タイの大学で開催される国際会議があります。内実、そのような会議の多くは、外国人研究者が極めてマイノリティで、その他大勢はタイ人研究者です。自分から常にホームページをチェックして、同会議開催の有無を気にかけない限り、海外から研究発表に申し込むのは機会を見つけにくいものです。

 

今回の世界選抜総選挙も上記と同様に制度的なハードルがありました。投票権を得るためにCDを購入するにしても海外では容易ではなく、アプリやモバイル、メール会員等の有料サービスによる投票権を得ようにもBNK48バージョンはありませんでした。つまり世界総選挙とは名ばかりで、内実は限りなくローカルな選挙でした。今回のような状況において、2万6202票、2万106票も得た両BNK48メンバーは、間違いなくAKBグループでトップを競うことのできる実力を兼ね備えているのではないでしょうか?

 

 

思ったよりも伸びていないのか?

では反対に「思ったより伸びていない!」と思った方もいるでしょう。

というのも、開票前の2018年5月下旬頃に「BNK48が上位を独占するのでは?」と噂される出来事があったからです。それはBNK48からの立候補者のアピール動画の再生回数が、日本の各48系グループのそれを大きく引き離していたことによります。もちろん無償の動画再生回数は得票に関係しませんから、この結果をみてBNK48の上位独占予想の根拠にはなりません。しかし再生回数の圧倒的な数字から、多くの日本人の方が(タイ人の方も)BNK48の実力に驚いたと思います。

 

 

 

多くの再生回数を得た本当の理由とは!?

ではなぜ一部のBNK48メンバーは、日本の各48系の上位メンバーを大きく上回る再生回数を得たのでしょうか?さらにそれだけの再生回数を得たにもかかわらず、なぜ実際の総選挙では上位を独占できなかったのでしょうか?

 

まず後者の疑問に対しては、先に述べた選挙制度の設計時点での課題が極めて大きいです。読者の中には、動画再生自体は別途有償なものではないから、タイ人ファンは気兼ねなく再生した結果だと思う方がいるかもしれません。しかしその考え方や行動は、日本人も大差がないと思われます。

 

可処分所得の差が原因と考えた方もいるかもしれません。しかし本連載の第30回で述べたように、タイのGDPは大きく成長しているのに対し、日本のそれは1990年代からほとんど成長していません。ここにきて日本の金融緩和政策の影響から円が弱くなり、加えてタイ前政権の最低賃金引上げによる物価上昇から、5~10年前に比べると日本とタイの物価差がさらに縮まったことを、私を含め多くの方が実感されていると思います。加えてタイは消費志向の強い社会であり、一方で日本は貯蓄推奨傾向のある社会ですから、昨今では消費能力に大きな差があるとは考えにくいです。

 

では前者の再生回数が大きく伸びた理由は何でしょうか?BNK48が大ブームになっているから、再生回数が日本を大きく上回る数になったのでしょうか?確かにBNK48の人気はバンコクを中心に高まりつつありますが、しかし一時期の日本の全国的なAKB48絶頂期に比べれば、これからという状況です。

 

 

高度情報先進国であることがその理由!

疑問への回答として、タイの高度情報社会の発展と、タイ人の情報リテラシーの高さが挙げられます。ご存知の通り、タイはFacebookやLineなどのSNS普及率が極めて高いですが、ただ普及率が高く、皆が使いこなしているだけではなく、ビジネスにおける応用も日本を上回っています。

 

日本ではようやく立ち上がり始めたライブコマースサービスですが、タイでは既に普及しています。

ライブコマースとは、動画「生」配信を通じて商品を販売する仕組みのことで、販売者がタレント・有名人やインフルエンサーを通じてライブ動画を配信し、時には視聴者とやり取りしながら商品を販売します。(※編集注:詳しい事例はダコ487号コラム「ぶむぶむ!」も参照)

仕事で時間のないタイ人等は帰宅途上などでも、それらを見て楽しんでいます。さらにそれぞれのSNSプラットホーム上で購買・決済活動が完結する仕組みも構築されており、一部のタイ人にとって、インターネット上の動画を見て購入を済ませるというのは、日常になっているといっても過言ではないでしょう。そのようなタイ人独特のライフスタイルが、BNK48メンバーの動画再生回数を伸ばしたのだと考えられます。

 

 

 

このように今回の第10回AKB48世界選抜総選挙を、BNK48の視点から見ると、タイの高度に発展している情報社会の姿も知ることができます。そして何より、現在のBNK48は、本家AKB48に劣らない潜在的実力を兼ね備えているのではないかと、私は考えています。

 

(第50回の記事に関する補足)

最後に、本連載第50回の記事「BNK48にみるタイのキレイ系vsカワイイ系の変化」に大きな反響をいただきましたので、さらに補足したいと思います。前回調査したタイ人学生はタマサート大学生でしたが、今回はタイに短期留学している本学学生21名と、チャンカセーム・ラチャパット大学生21名の計42名に、前回の記事内容を補う形で「アイドルを選ぶ基準は何か」について、上位3つの要素を答えていただきました。

 

最も重視する基準について、日本人学生は「かわいらしさ」8票、次いで「スタイルを含めた外見・見た目」6票でした。タイ人学生は「かわいらしさ」9票、次いで「賢さ」5票という結果でした。ただ2番目に重視する項目を含めるとタイ人学生では「賢さ」は9票となりました。

 

あるタイ人の社会人女性にこの結果を伝えたところ、

「タイ人には日本でいうアイドルという考え方はまだ普及していなくて、これまでは歌手や女優というのがメインでした。アイドルは、これから拡大していく新たなジャンルだと思います。その歌手や女優に対し、タイ人は見た目も重視しますが、自分をしっかり持っているかどうかも必要だと考えます。それが今回の結果の『賢さ』ということなのでしょう。」と説明してくれました。

 

また第50回の記事に関しては、「しっかりしているという意味で、カワイイより、キレイのほうが誉め言葉だと思います。キレイは何もしなくても、見た目そのまま美しいということですから」と、タイ人の見方を説明してくれました。

 

 

どうやらタイにおいて「賢さ」は、アイドルを選ぶ基準の一つであることは間違いなさそうです。チャープランさんを好きと答えたタイ人学生の中は、日本語が上手いからという理由を挙げた学生もいました。

 

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