最近、セブンイレブンでコンビニおにぎりや冷凍枝豆が発売されたり、バンコクの各地にマックスバリュの支店が次々とオープンしたりで、僕のようなローカル地区に暮らしている人間でも、日本の食べ物があれこれ簡単に手に入るようになりました。本当にありがたい話です。
なお、お菓子でいうと、輸入物ではブルボンが健闘中で、日本人の少ない地区のスーパーでも見かける頻度が高いです。一方、タイで現地生産してるお菓子ではグリコが大活躍中。新製品を続々リリースしていて、ポッキー&プリッツの棚の面積をどんどん広くしています(ポッキーが現地生産モノに加えて輸入物もあり)。
そんな中、個人的にうれしかったのが、マックスバリュ各店に置いてあるニッスイのさば缶です。「味付」と「味噌煮」の2種類があり、店頭価格は1個57B(約210円)。輸入物なので高いです。
日本のAmazonでニッスイのさば缶を買うと24個入りで3668円(1個150円ちょっと)。100円ショップでも売ってるような気がします。
日本に比べるとちょっと高級品になってしまうのですが、部屋で飲む時なんか、たまにこれをパカッと開けて酒の肴にしたりします。至福のひとときですね~。
実は10年以上も前に亡くなった父が、家で飲む時にちょくちょく「さんまの蒲焼缶」をつまみにしていまして。生前の父と僕が一緒に暮らしていたのは高校3年生のとき、20年以上も前のことなんですが、父が自分で缶を火にかけて温めている姿や、一人手酌で晩酌している姿をよく思い出します。
その頃は当然まだ未成年だったので酒も飲めなかったし、北海道出身なのに、というか北海道出身だからか魚介類が苦手(「え~、今日もまた魚!? 俺肉が食いたい!」みたいな)な上に、当時は味覚が子供で「甘く煮付けた魚」をうまいとも感じられなかったので、父と一緒にさんまの蒲焼缶を食べようともしませんでした。
それが、こうやっていい年の大人になり、酸いも甘いもつまみ食いして、魚缶の味も酒の味も分かるようになってくると、あの時無理してでもさんまの蒲焼食べたり、お酌くらいしてあげておいたら良かったなぁとしみじみ思うわけです。
魚缶は安くてうまいのですが、自分にとってはそれを食べるたびに父のことを思い出させるツールであり、同時に、「一緒に酒を酌み交わせなかったなぁ」という無念さを胸の中にほんのちょっぴり沸き立たせる切ない食べ物だったりするのです。だから、僕の食べている魚缶は、もしかするとほかの人が食べているのより、苦かったりしょっぱかったりするかもしれません。
ちなみに今日3月14日は母の誕生日。ちょっと電話でもして、父の思い出について話し合ったりなんかしちゃおうかな。(F)