日常を楽しくする水の交通機関
【旅して書く係】カピ 雨が降ると出かけたくなる女
チャオプラヤー・エクスプレスボートが好きです。乗り方を覚えたらボートは実に便利。渋滞する陸上を尻目に通勤客も観光客も快適に運んでくれます。盛大な水しぶきもテーマパークのアトラクションのよう。だから王宮も中華街も行くときはいつもこれ。
バンコク都内の快適な足として満喫していたある日、地図を見ていてふと気が付きました、「この船、どこまで行くんだろう?」。主だった日本語媒体はバンコク都内までしか載っておらず、しかし航路は地図外まで続いています。気になる……。思い付くままBTSサパーン・タークシン駅の真下にあるサートーン船着場からオレンジ色の旗のボートに乗って北の終始点ノンタブリー船着場を目指すことにします。
五感でゆく川旅情
立ち並ぶ高級ホテル群、ワット・アルンなど観光名所を眺め、大きな橋をいくつもくぐるうちに辺りは少しずつローカルな風情に。
橋のたもとで釣りをするおじさん、お寺の前で草を食む牛たち。船着場も屋根すらない小さな乗り場もあって女子大生が2人降りて行きました。サートーン船着場から1時間半、終点が近づくと乗船客が一斉に降り支度でゴソゴソ。ほとんどの船はこのノンタブリー船着場が終点。ここで降りましょう。
旧庁舎から商店街へ。チョコパン買うべし
川辺には派手な中華風の廟やクラシックな木造建築が。この川沿いに建つ美しい建築物はノンタブリー県旧庁舎。見学もできるようです。ピンクと黄色のキッチュな配色が可愛いノンタブリー船着場、降りる乗船客について外に出て驚きました。勝手に想像していた長閑な郊外の風景とは大違い、日本の繁華な駅前商店街のようなにぎやかさです。
船着場前のロータリーには大きな時計台があり、次から次へとバスが発着して行きます。買い物客とバス待ちの人々でごった返し、歩道を通り抜けるのもやっと。いや、これは嬉しい誤算。めっちゃ楽しそう!
人の波に流されながら船着場前の通りを直進します。たった6Bの小さな陶器の人形やチープなサングラス、路地ごとにある靴の修理屋さん、足を止め過ぎてなかなか先に進めません。
あふれる人々を掻き分け甘い匂いに吸い寄せられながら入ったお店は「ノン・ベーカリー」という大きな街のパン屋さん。焼きたてのパンが店頭に出されるたびに押すな押すなの大騒ぎ。ショーケースの上には大量のお取り置きがあり、極彩色のバターケーキが並びます。店内の盛り上がりに乗せられ思わず買ったチョコパン(4個入り24B)は帰宅後冷やして食べたらおいしかった!
地元の人に交じって生鮮品を
さて、船着場から信号二つ分進んだところで露店が立ち並ぶ路地発見。仏花や果物の店を覗きながら進んで行くと、ここが大きなノンタブリー市場であることに気が付きました。野菜や魚介、精肉を扱う店が所狭しと立ち並びます。庶民の胃袋を支える台所、忙しそうに行き来する人々の中でカメラを構えるのもちょっと恐縮。それでも興味津々の外国人に、「おいしそうでしょう、写真撮ってって!」と魚を綺麗に並べ直してくれるお母さん。バンコクで見たことないほど新鮮な野菜。しかも値段は某デパートの4分の1。豚も新鮮だから、頭から足、肉、内臓と丸ごと台に乗せられてても臭くないから驚きです。
道なりに市場の路地を進んで来たら大きな通りにぶつかりました。RIVER PLAZAというショッピングモールが正面に登場したところで、雨が降ってきたので船着場に戻る途中のクイティアオ屋さんで雨宿り。中途半端な時間なのに、お持ち帰りのお客さんもたくさんいて大繁盛。
片道たった15Bの船旅ですっかり遠足気分満喫。次に来る時は保冷バッグと保冷剤を持参して、お肉も魚も野菜もしっかり買って帰ろう。あぁパンも忘れずに!