サイアム・ケンピンスキーの「Sra Bua by Kiin Kiin(スラブア)」は、まだ「プログレッシブ・タイ・キュイジーン」などという言葉が存在しない9年前にオープン。
液体窒素やエスプーマなど、今でこそちょっと意識高い系のレストランなら、どこでも使っている調理法だが、あの頃のバンコクで、しかもタイ料理で、泡状のレッドカレーや、凍ったトムカーガイなどほかで見かけることはなかったのだ。
今ではだれもが知り、ミシュランも認める名店「スラブア」。その基盤を創りあげたコペンハーゲンの「Kiin Kiin」のオーナー・シェフであるヘンリック・アンダーセン氏(写真右)。
現在「スラブア」の料理長を勤めるチャイヤウィー氏(ブム・シェフ、写真左)。
そして、チェンマイにある「Blackich Artisan Kitchen」の料理長である、パヌポン氏(ブラック・シェフ、写真中央)という、名実ともに世界のタイ料理界のトップレベルにいる3人が、11月30日にひと晩限りの特別ディナーイベントのために集結。
今回はイベントに先駆けて行われたデモンストレーションに参加してきた。
まずは前菜のツナのタルタルやキャビアが乗ったカノム・クロックでカクテル。
最初はシェフ・ブラックの前菜的な料理から紹介。
渡りガニと沢ガニミソのディップ
(Blue Crab with Spicy Rice Paddies Crab Miso Soup and Seasonal Fruits)
日本の食材についても造詣が深い、ブラック・シェフ。カニのディップを覗き込んでいたら、日本語で「サワガニのカニ味噌」と教えてくれた。
北部出身のシェフらしく、ランパーン名物のライス・クラッカーも添えられた前衛的ながら、地方色も活かされたひと皿。
お次はスラブアのブム料理長による魚料理。
南部魚のターメリック・オイル揚げカレーソース・魚卵とナスのピクルス添え
(Southern Fish served with Fish Roe, Curry and Pickled Eggplant)
南部出身のブム料理長らしい、黄色いカレーソースをかけた魚料理は、酸味を効かせ、ドライスパイスを使った重いスパイシーさが特長。プチプチした魚卵の食感がシンプルな食材の組み合わせの中で楽しいアクセントになっている。料理長の指先がターメリックで黄色く染まっていたのが印象的。
最後に登場したKiin Kiinのヘンリック料理長のひと皿。
出身国デンマークの名物料理であるミートボールをアレンジした料理を紹介。
(Thai Mushroom Five-Spice Soup with Duck Liver Pork Dumpling, Crispy Fried Pork Skin and Corn, Five-Spice Pork Rillettes)
豚の皮をミートボールにまぶして揚げるという、斬新な一品は、クリスピーさとジューシーさのバランスが絶妙で、ビールやワインにもぴったりの逸品。
ご存知のようにスラブアはミシュラン1ツ星、Kiin Kiinも現在タイ国外で唯一ミシュランの星を獲得しているタイ料理レストラン。そしてBlackich Artisan Kitchenも2020年版から発行されるチェンマイ編で星獲得は確実とされている。
希少な食材やスパイスを使い、独自の創造力と技術を駆使した3名のトップ・シェフの料理を一度に味わえる機会は滅多にない。この機会にぜひ体験していただきたい。
Thai Gastronomy Series Ⅲ
日時 11月30日 18時~
料金 タイ・ガストロノミー・シリーズ3 6品コース4200B、ワインペアリング5800B
電話 0-2162-9000
HP http://srabuabykiinkiin.com
イベントHP www.kempinski.com
場所 スラブア・バイ・キンキン サイアム・ケンピンスキー
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