独身時代に買った、頑丈なスーツケースがある。15年以上使っているのだが、まだまだ使える。そのスーツケースを譲ってもらえないか、とヨード。
「いくらで売ってくれる? 5千円?」「1万円ならいいよ」「それだと高いな」なんて会話をしていた数日後、「タイに2週間ぐらい帰るつもりなんだけど」と。うわー、わかりやすい布石。
「3月に帰ったばっかりじゃん」「俺のお金で帰るから、タカコはお金を出さなくていい」。いや、そういう問題じゃなくてね。腹立たしくて、いつ帰るかも聞かずに無視。
で、1週間ほど経って、突然、「日本国籍を取りたいな」と言い出した。だれそれも日本国籍を取ったとかで、自分も取りたいとのこと。ついこの間まで、あと5年後にはタイに本帰国するって言っていた人が、日本国籍を取る必要があるのか!?
「もう、タイには帰らない。一生日本で過ごす。国籍を取ったら、実家の土地も売ろうと思う」と。すでに日本の永住権はあるし、日本国籍を取ると言い出すなんて、何を企んでいるのやら。
そして先日、かなり大声を出して電話でしゃべっている。聞き耳を立てずとも聞こえてくる内容は、タイ人にお金を貸したら返ってこないという話。横にいた息子が、「パパ、何怒ってるの?」と聞くので、説明してあげると「こないだ、パパ、酔っぱらって帰ってきたとき、『タイ人、アブナイ』って、言ってたもんね」と。そういえば、意識不明になるくらいに酔って帰ってきたとき、息子に、「タイ人はアブナイ、覚えておけ」と怒鳴ってたよなぁ。そのときも、タイ人に騙されたか何かしたらしい。
さてさて、前回失くした携帯が、なんと警察に届いていた! でも、その携帯は回線を使えなくしてしまったので、娘に使っていいよ、と娘のものになっていた。
娘が携帯をいじりながら、「パパ、バッグの写真ばっかり撮ってるよ」と。そこで推測。今、タイ人の間で、アネロのリュックが流行っていると言ってたので、それを頼まれて買って送ったのに、お金を払わないということか!?
ここ最近、日本国籍を取るとか言い出したのは、タイ人に騙されたからなのか。2週間の一時帰国の話も、あれから一言もでないし、なんかほんと、私、振り回されてるよなぁ。
下関崇子/ムエタイ修行のために来タイした元プロキックボクサー。タイ人トレーナー、ヨード氏と結婚し一男一女の母に。2006年6月、6年間のタイ生活に終止符をうち一家で日本へ。草の根の日タイ交流、続行中!