ランナー王朝時代からタイ北部に伝わる独特の民間療法「トーク・セン」。悪い気を追い出すと言い伝えられるタマリンドの木で作った小槌と杭を使う。その歴史、700年以上。聞くと、北の大都市チェンマイでも現在は希少な施術らしい。
効能はというと、前号の顔の歪み解消エステに引き続き、ツボの近くにある代謝物質の通り道「経絡」の流れをよくすることにある。経絡はタイ語でセンと呼ばれ、トークは打ち込むの意。トーク・センの意は「経絡に打ち込む」、施術内容が直球でわかる。
物理的には、センを刺激し流れをうながすことで、血行をよくし、凝りによる痛みを和らげる。
基本的な流れは①タイ古式マッサージ→②アロマ・マッサージ→③トーク・セン→④ハーバルボールで全工程、約90分。
ぽくぽくトントンと木槌でセンに沿って当てた杭を打ち、直後に温められたハーバルボールで患部を押されると、じんわりと染み入るようにその熱が入っていく。打たれ具合は筋肉から骨のほうに振動が伝わる程度。特に腰周りを丁寧にしてくれた。気持ちいい。ほぐれるわ。
不思議なのは、木槌の音がけっこう大きく響くのに、それが心地よいこと。眠りを誘うこと。施術を受ける前、ロビーでその音を聞いたときには「ひょっとしてうるさいかも?」と不安に思ったのに、だ。
いにしえの時代から続くトーク・センを受けた空間は、白とダークブラウンを基調としたスタイリッシュな印象だが、木や石、銅など材質の存在感が温もりを 与えてくれ、けしてすましていない。35階から見下ろす都会の眺望に自ずとパワーも沸いてくる。受けたのはタイの伝統療法、見えるのは都会の空と地。
身を持っての検証の結果、凝りと心は癒えた。値段は少々張るが、数カ月に1度のごほうびスパにはよい。つらいことがあったときに行ってもいいんじゃないかな。
■内装/品があって落ち着く
■スタッフの対応/やわらかい。常に声かけて気遣ってくれる
■施術前の気持ち/耳元で木を叩かれたらうるさいんじゃないの?
■施術中の気持ち/耳元の音は大きいのにうとうとする
■施術後の気持ち/音のおかげ!?頭の中もすっきり
Spa InterContinental
場所 36th Fl., InterContinental Bangkok, 973 Ploenchit Rd.
※入口は36階にあり、トリートメントルームは35階になる
営業 9時~23時 無休
電話 0-2656-0444 内線6288
HP www.ichotelsgroup.com/intercontinental/en/gb/spa/bangkok
Tok Sen Massage90分3000B(今回の施術)、Hydrating Aqua60分3200B(税サ別)など