最後のメニュー、9年分の感謝を込めて
108回目のコンニチハ。連載開始から丸9年を経た今回、ついにに最終回を迎えた。最後くらいみんなに気に入ってもらいたいから、「シンプル」かつ「好立地」を条件に厳選した。それがバミー・ギアオ・ムーデーンだ。今までの店は遠すぎて行きにくいお店も多いとご指摘をいただいたので、BTSで行けるアソーク界隈にした。
スープは豚の背骨7kgと野菜、10種類のスパイスを毎日4時間以上煮込み、隠し味に蜂蜜を加えている。

だれもが気に入る主役の叉焼は、豚モモを3日間自家製タレに漬け込み弱火で焼いたもの。もうひとつの主役、ワンタンは具に豚肉だけを使い、スパイスと蜂蜜で味付け。卵入りの中華麺は自家製ではないが、創業当時から特注しているこだわりの細麺だ。博多ラーメンを思い出す。

バミー・ギアオ・ムーデーン
僕の1杯が到着した。まずは蜂蜜入りのスープをひと口。想像と違い蜂蜜の香りはなく、豚骨の濃厚な甘味と香りだけが感じられた。叉焼は柔らかく香りも良い。そして大きなワンタンは、弾力のある細麺と相性抜群だ。
店主はもう1品薦めてくれた。それがカオ・ムーデーン・ムーグロープ(叉焼とカリカリ豚のせご飯)。叉焼は同じだが、こちらには皮まで香ばしく揚がった豚バラ肉と茹で卵もついている。この2品のような、シンプルな料理が僕は好きだ。食事の際、人間は民族と地位の違いで明確に線引きされる。シンプルな料理は、そんな境界線を曖昧にしてくれるんだ。
最後に、9年間このコラムを読んでくださった読者の皆さんと、108本ものコラムを読者に届けてくれた編集部のみんなに感謝します。皆さんとこうして囲んだテーブルは、僕にとってかけがえのない思い出です。重要なのは料理の味ではない、だれと食べるかなんだ。9年間、ご馳走さまでした。
バミー・ギアオ・アソーク

店主はタイ北部チェンマイ県出身のジャンさん。大都会のオフィス街アソークに店を構えて34年になる。レシピは店主が試行錯誤の末に生み出したオリジナル。場所柄会社帰りに立ち寄る人が多く、開店から4時間経たずに売り切れてしまうことも多い。手軽でだれからも愛されるローカルフード、バミー・ギアオ・ムーデーン(50~60B)とカオ・ムーデーン・ムーグロープ(60B)で、屋台料理の魅力を再認識してもらえたらうれしい。
DATA
時間:17時~22時 日休
電話:08-1925-5076









