「タイスキ」と言えば、今や日本人にとってもタイ料理の定番の一つになっていますが、タレに具材を漬け込む伝統的なスタイルから、近年は日本のように生の具材を鍋に投入するお店が増えているのだそう。今回ご紹介する「Ruen Petch Suki(ルアン・ペット・スキ 金島)」は中国・海南の系譜を持ち、家族3世代でタイスキレストランを経営。一つの鍋に、どのような想いが込められているのでしょうか。
タレ・ナムチム・スープの三拍子揃った
海南×タイ式スキ
MRTペッブリー駅から徒歩10分。ペッブリー通りに面していながらも、日本人の私たちにとっては目的地に向かうために通り過ぎる場所……という認識がほとんどであろうエリアで、50年以上にわたりタイスキを提供しているのが「Ruen Petch Suki」です。目印は、同店の中国語での愛称である「金島」の文字。
「うちのタイスキの特徴は、海南とタイの要素のフュージョンという感じでしょうか。もともとは海南発祥の料理と言われ、それをうちでは中国系にアレンジしています」と話すのは、同店3代目オーナーのオートさん。何よりも大事にしているのが、お肉やシーフードを漬け込む自家製ダレと、煮えた具材を食べる時につけるナムチム(タイ風ディップソース)。タイスキがメジャーに、気軽に食べられるようになるほどに、具材を漬け込んだり卵と混ぜ合わせるといった過程を経ず、日本のように野菜やお肉をそのまま投入するスタイルが最近は増えているのだそう。
けれど、同店はそんな潮流どこ吹く風。中国製の味噌を独自にブレンドした自家製ソース、秘伝のナムチム(「これだけでも欲しい」とお客さんに言われるほどファンが多いそう)、鶏の旨味が凝縮されたスープを柱に自分たちのスタイルを貫いています。その作り方を尋ねたところ「こればっかりは話せないんだ(笑)」と一蹴されてしまいましたが、材料を想像するのもまた一興かもしれません。カチャカチャとお皿の上でソースと生卵を混ぜ合わせる〝儀式〟も、初めての人にとってはきっと新鮮に映るはず。
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個性豊かな一品料理もマストで
ぐつぐつと煮えた鍋の蓋を開けると、幸せの湯気が飛び出してきました。その余韻を感じながら鍋に手を伸ばし、特製ナムチムに絡ませて口へ運ぶと……ソースのコクが加わったお肉と、鶏と野菜の旨味が凝縮したスープ、全体を引き締めるナムチムが何とも言えない至福のバランス。食べているうちに、凝り固まった疲れがほぐれていくような優しい味わいで箸がどんどん進みます。肩肘張らず、カジュアルに利用できる点も同店の魅力の一つなのでしょう。
取材に訪れた日はランチタイムを外したにも関わらず、1階と2階をあわせて100席をゆうに超える広々とした店内ではカップルや子ども連れの家族、近隣のビジネスマングループなどで大盛況。一旦ひと段落したかと思うと、陽が傾き始めた頃から再びお客さんの波がやって来る。これが長く愛されるお店の1日なのかと改めて実感します。その様子を見ていると、テーブルには鍋以外のお皿がどんどん増えていく。どうやら鍋はもちろん看板メニューですが、一品料理もバラエティ豊かなラインナップで人気なのだそう。
上記で紹介している料理の他、強火で炒められた広東風焼きそば「Cantonese Style Stir-fried Noodles with Shrimp(109B〜)」や、エビとカニの身がぎっしりと入った「Deep-fried Crab Roll(175B〜)」など子どもが一緒に食べられるメニューもしっかり揃っているのも嬉しいポイントですね。選択肢がさまざまにあるので、複数人で訪れて、ぜひいろいろな料理にチャレンジしてみてください。
「お店全体のコンセプトとして掲げているのは〝家族のためのレストラン〟であり、〝みんなで楽しめる空間を提供すること〟。それが、お客さんにも伝わっているんであれば嬉しいです」(オートさん)。
Ruen Petch Suki CEO オートさんへのインタビュー記事と動画はコチラ
https://www.daco.co.th/information/338924/
Ruen Petch Suki ルアン・ペット・スキ(金島)
場所:1903 New Petchaburi Rd., Huai Khwang
(MRTペッブリー駅から徒歩10分)
電話:02-314-5047(タイ語・英語)
時間:毎日10:30〜21:30
※ペッブリー本店の他、サムットプラカーンやノンタブリーなどに支店を展開
※最新の営業時間は下記でご確認ください。
Facebook:www.facebook.com/ruenpetch
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