ムエタイをやっているというと、「夫婦喧嘩もすごい?」なんて聞かれるけれど、夫婦間では暴力ゼロ。 が、小6息子は姉弟げんかをすると、すぐ中2姉の背中を叩いたり、髪の毛を引っ張ったり。「それ、普通だよ」と弟がいるママ友は言うけれど、娘は、やり返すと息子がもっとやってくるので、いつも我慢。息子のほうは「暴力はダメだよ」と注意しても、逆にヒートアップ。
先日も、また姉弟げんかが始まった。原因は数カ月前のことだが、娘が腹いせに息子の貯金箱から小遣いを盗って、友達と食べ放題に行ってしまったこと。息子は夏祭りに豪遊したくて、お小遣いをチビチビと貯めていたのだ。
「金返せ、今すぐ返せ、今返せないなら○○円にするぞ」と、まるで闇金。使い込みがバレたとき、いったん私が息子にお金を返し、娘には我が家の小遣い制である家事労働で返済してもらう約束をしたが、その家事労働を怠っていると、息子が激怒したのだ。
注意しても、「俺は悪くない」と。確かに悪くない。「でも」「だって」と、数分口論しているうちに、息子の地雷を踏んだらしく、いきなり私に飛びかかってきて、床に抑え込まれてしまった。顔をつねってきたので、もうこれはダメだと、下からヒジでグリグリと息子の鎖骨部分を押し、格闘すること数分、なんとか潜り抜け、すぐさまつかまえて、「親をナメるな」と、ひざ蹴り連発。
息子の「ごめんなさい」で一件落着したが、大元の原因は娘だし、100%本気ではないが、息子にひざ蹴りを入れてしまい自己嫌悪。
そんな話を翌日ママ友にしたら、「私も、息子をボコボコにしたことあるよ。思春期になる息子が、初めて母親に暴力をふるったとき、それ以上の力で抑え込むと、それから母親への暴力はしないって、教育講演会で聞いた」と。そういう考えもあるのか。ちょっと気持ちがラクに。
さて、すっかり母子関係が修復した3日後、「ママ、俺、筋肉痛」と息子が言うので、「何したの?」と聞いたら、「ママに蹴られたところ」と。なんと、胸とお腹にアザができていた! うーん。やりすぎだったか。
下関崇子/ムエタイ修行のために来タイした元プロキックボクサー。タイ人トレーナー、ヨード氏と結婚し一男一女の母に。2006年6月、6年間のタイ生活に終止符をうち一家で日本へ。草の根の日タイ交流、続行中!