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設立50周年記念!バンコク病院リレーコラム 08 〜外科医・Attapoom Susupaus 先生〜

2022年で設立50周年を迎え、東南アジア最高水準の医療を提供する「バンコク病院」が日本人に向けた医療サービスを開始したのは1977年。日本の医学部を卒業したタイ人医師と日本人医師、日本人コーディネーター、日本語通訳らを筆頭にタイで最も歴史のある日本人向けサービス「ジャパン・メディカルサービス(JMS)」として、タイに住む私たち日本人の健康を支え続けています。

そんな「バンコク病院」には、どんな先生が所属しているのか?
一人ひとりご紹介していきます!

胸部外科のプロフェッショナル

アタプーム・スースパアット先生/Dr. Attapoom Susupaus

担当:バンコク心臓病院(Bangkok Heart Hospital)副院長/外科医
職務歴:25年
【診察時間】
下記にてご確認ください
https://www.bangkokhearthospital.com/en/doctor/asst-prof-dr-attapoom-susupaus

- これまでのご経歴を教えてください
1997年にマヒドン大学医学部を卒業し、外科医と胸部外科医の資格を取りました。その後、アメリカで循環器疾患を、フランスと韓国でTAVR(経カテーテル的大動脈弁置換術)やECMO(体外式模型人工肺)など治療法の研修を受けました。

また、シンガポール経営大学で病院経営学を、そしてタイ国立開発行政研究院(NIDA)で経営者養成プログラムを修了し、現在は当院の副院長を務めています。

- バンコク心臓病院は心疾患治療のパイオニアとして国際的に高く評価されています。現在はどのような症状で来院される患者さんが多いのでしょうか。
高齢化とともに大動脈瘤という血管疾患が増えています。大動脈とは、心臓から全身に血液を送るために胸から腹にかけて伸びている太い血管のことで、部位によって胸部大動脈、腹部大動脈などと呼びます。大動脈瘤とは、何らかの原因で薄くなった血管壁が血圧に負けて瘤のように膨らんだ状態のことをいいます。

- 自覚症状はありますか?
大動脈瘤を持つほとんどの患者様は破裂するまで自覚症状はありませんが、超音波やレントゲンなどほかの病気の検査や定期的な健康診断で偶然発見されることが多いですね。

瘤となった部位によっては、周辺の器官を圧迫し、胸や背中に痛みなどの症状が現れることもあります。例えば胸部大動脈瘤が食道を圧迫すると嚥下障害が起こります。 喉頭をつかさどる神経を圧迫すると声がかすれます。腹部大動脈瘤は消化管に穴をあけるほど強く圧迫し、消化管出血を引き起こすこともあります。

- 瘤は放置するとどうなるのでしょうか。
大動脈瘤の中は血流が滞り、血栓ができやすくなります。血管壁から血栓がはがれ流れると、大動脈の分岐を塞ぎ命にかかわる重篤な症状を引き起こす可能性があります。やがて大動脈瘤は大きくなると破裂し、血管の損傷部分から大量に出血することで急激に血圧が下がり、高い確率で死に至ります。そのため、早期発見と治療が必要となります。

- どのような治療法がありますか?
患者様が無症状の場合、破裂のリスクによって治療法は異なります。瘤が小さく成長が遅い場合は、破裂の危険も少ないことから、血管壁の負担をおさえるために降圧剤の服用と定期的な検査で様子を見ます。

冠状動脈性心疾患(冠動脈の血流が悪くなり心臓に十分な血液が供給されず起こる病気)のリスクがある患者様には、運動、禁煙、食生活の改善を勧めます。 また、血中脂質レベルが高い場合は、脂質低下薬が処方されることがあります。

瘤が大きく、腹痛や胸痛があり、破裂の危険性が高いと思われる場合は手術が推奨されています。大動脈瘤の手術は開胸/開腹による人工血管置換術とカテーテルを使った血管内動脈瘤修復術(ステントグラフト内挿術/EVAR・TEVAR)の2種類あります。

ステントグラフト内挿術とは、カテーテルを使って挿入した人工血管を大動脈内に留置し、血管壁にかかる圧力を減らし破裂を予防する方法です。切開部が小さく患者様の負担が小さいため、広く普及しています。また、病院死亡率の低さと開放手術と同等の長期成績が報告されており、安全性の高い手術と言えます。

- 瘤を作らないために、どのようなことに気をつければよいでしょうか。
大動脈瘤は血管壁の脆弱化が原因と考えられており、その危険因子は「高血圧」「高脂血症」「糖尿病」「喫煙」「ストレス」「大量飲酒」です。脂肪分や塩分の多い食事を避け、禁煙し、日常的に運動することをお勧めします。

また、前述のようにほぼ自覚症状がないことから、アメリカ/カナダ血管医学協会は「喫煙歴のある65~75才」「父や兄弟、近親者が大動脈瘤を患っている60才以上」をハイリスク患者とし、腹部超音波検査と胸部コンピューター断層撮影(CT)検査による大動脈瘤のスクリーニングを推奨しています。早期発見・早期治療で大動脈瘤破裂を防ぎ、命を守りましょう。

*EVAR(EndoVascular Aneurysm Repair):腹部大動脈ステントグラフト内挿術
**TEVAR(Thoracic EndoVascular Aneurysm Repair):胸部大動脈ステントグラフト内挿術

「定期検診による病気の早期発見や治療に関する相談も受け付けています」

当院の定期検診は日本の人間ドックに近く、幅広い項目で検査を行っており、企業のバックアップとして年間約1万人の方が定期検診に訪れています。病気の早期発見に繋がるため皆様には必ずお受けいただきたいですし、その他、些細なことでも気になる症状や体の変化などありましたら、お気軽にご相談ください。


バンコク病院JMS日本人専門クリニック

住所:2 Soi Phetchaburi 47 Yaek 10, Bang Kapi, Huai Khwang, Bangkok 10310(BTSトンロー駅から車で15分)
Tel:+66(0)2-310-3257(日本語・7:00〜17:00)/+66(0)2-310-3200(代表)
E-mail:jpn@bangkokhospital.com
Facebook:BangkokHospital

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