左から「プレート」「ピー・トゥアイゲーウ」「ピー・グラスー」「ナーン・ターニー」
大晦日から元日にかけて、バンコク都内に続々とピーが現れ、主要な大通りは例年どおり数千体のピーで埋め尽くされた。
日本のお化けや妖怪にあたる「ピー」は、タイではなじみ深い存在。昼は女性だが、夜になると頭と内臓だけの姿になって飛び回る「ピー・グラスー」や、コップの中に呼び寄せると、コックリさんのように質問に答えてくれる精霊「ピー・トゥアイゲーウ」など数々のピーが知られている。
大みそかの午後11時ごろになると、シーロム通りやサートーン通り周辺にはどこからともなくピーが続々と出現。ピー・グラスー、ピー・トゥアイゲーウ以外にも、長い手足と舌、小さい口が特徴の「プレート」、バナナの精霊「ナーン・ターニー」など数千体が通りを練り歩いた。その後、ピーたちは無事新年を迎えたことを祝うと、初日の出とともにまたどこへともなく消え去っていった。
古くは300年前にもさかのぼると言われる年末年始恒例の「百鬼夜行」だが、この大規模なパレードを知らない都民がほとんどだ。それはこの時期、都民の多くが帰省や旅行で都内におらず、また残っている人たちも自宅にこもってテレビでカウントダウン行事を見ているためだろう。
自分たちが見ていないところで、年越しのビジネス街が本当のゴーストタウンと化している事実を知らないのである。
Kyoko Shimbun(虚構新聞:http://kyoko-np.net)について
虚構新聞社・社主UK氏が2004年に開設した、虚実の狭間を行き交う可能性世界の出来事を報道するニュースサイト。「ありそうでなさそうで、でもやっぱりあるのかもしれないけど、まさかそんなことはないだろう」といった記事を掲載。当「バンコク版」においても内容はすべてフィクションであり、現実の人物・事件・団体とは一切関係ありません。本誌に掲載された記事により、損害や賠償が発生したとしても、著者ならびに編集部では一切の責任は負いません。