男と女の学際研究 ~現役学者が微笑みの国を考察!~
4人の現役研究者が「日本男とタイ女」をテーマに、いろいろな角度から考察する連載コラムです。
環境工学 岡寺 智大
意外と多い? 日本男&タイ女
私が初めてタイを訪れたのは今から10年程前です。当時はタイから嫁を娶るとは露ほども考えていませんでしたが、もう5年になります。結婚後気がついたのは、日本男とタイ女の夫婦が意外と多いということです。
では、実際の所、日本男とタイ女の夫婦は多いのでしょうか? 厚生労働省の「人口動態調査」から動向を見てみましょう。2013年の日本の婚姻件数は約66万件で、内3・3%が国際結婚です。また、夫日本人・妻外国人の婚姻件数の内、日本男・タイ女の割合は6・4%で、中国(40・4%)、フィリピン(20・2%)、韓国・朝鮮(17・7%)に次いで、第4位となります。
1992~2013年の日本男とタイ女の婚姻件数の推移を見ると、のべ3万4549組の日本男・タイ女夫婦が誕生し、2000年には2137組が結ばれています。しかし、2000年をピークに日本男・タイ女の婚姻件数は減少し、2013年には981件と過去最低を記録しました。参考までに、日本女・タイ男の婚姻件数は、日本男・タイ女に比してかなり少なく、年平均約44件となります。
以上の事から、日本での国際結婚において、日本男・タイ女の婚姻件数は比較的上位にあるものの、近年は急激に減少しています。では、その要因は何でしょうか?
急激な減少の原因は?
様々な要因が考えられますが、まず、日本とタイの所得格差の縮小があると考えられます。近年、タイの経済水準は向上しており、世界銀行は2011年にタイを下位中所得国から上位中所得国へと格上げしています。
一方、日本は失われた20年とも言われる長引く不況により、私だけでなく、多くの日本男の財布事情は厳しい状況にあったといえるでしょう。その結果、経済的な理由から願望があっても結婚できないカップルや、タイ女に見向きもされない日本男が増えたとしても不思議ではありません。
ただ、この仮説は正しいのでしょうか? 今後はそのあたりを少し掘り下げてみたいと思います。
【参考資料】日本人とタイ人の婚姻件数の推移
出典:人口動態調査(厚生労働省)
URL: http://www.mhlw.go.jp/toukei/list/81-1.html
おかでら・ともひろ
工学博士。学位取得後、(独)国立環境研究所に研究員として配属。モンクット王工科大学トンブリー校に客員研究員として1年間赴任後、現在、国立研究開発法人国立環境研究所主任研究員。専門は環境工学および環境経済学。
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