アート・展覧会

喪が明けたバンコクの空に、BTSの花が咲く【画家・阿部恭子さんインタビュー】

こんにちは。ダコ編集部のマイです。
突然ですが、こんなBTSを見かけたことはありませんか?

大迫力のヤック!

 

夜のサイアムパラゴン前から

プラットホームに入ってくるなり、パッとその場の空気までもあざやかに塗り替えてしまうような車体。走りだしたばかりの頃は、写真や動画を撮っている人もよく見かけました。
1時間に1本くらいのペースで走っているということで、わたしも運よく見かけると「なんか今日はラッキーだぞ」と気分が上がります。

 

さてさてこの車体。文房具メーカー「ぺんてる」のラッピング広告なんです。
そして絵を描いたのは、日本人画家の阿部恭子さん。
これまでになくカラフルでハッピーなBTSラッピングプロジェクトがどのようにしてスタートしたのか阿部さんに聞きました。

阿部恭子・KYOKO ABE

1967年、大分県生まれ。デザイン学校卒業後、フリーのイラストレーターとして独立。1996年に来タイし、個展の開催にくわえ、企業とともにアート促進のワークショップを各地で開催。日頃は作品制作のかたわら子供向けの「Kids Work Shop」も主催。

 

みんな、こっちを向いてバイバイしてるんです

ぺんてるの支社、ぺんてるタイランドと阿部さんのお付き合いはもう20年以上。子どもの絵画教室や絵にまつわる様々なワークショップなどを重ねてきた間柄です。

そして昨年、2017年の4月。
阿部さんはぺんてる社からBTSラッピング広告の作画をお願いできないか? という依頼を受けます。

 

「プミポン前国王が亡くなり、ずっとタイは喪に服していましたよね。街の人もみんな黒い服を着て。そして喪が明けた今、タイの街をBTSで明るく彩りたい! というぺんてるさんの熱い思いを聞きました。お話をいただいたときは驚きましたよ、もちろん!」

 

喪が明けたタイを元気にしたい、タイのこれからを応援したい。
そんなぺんてる社の熱い思いを受けて、阿部さんは昨年、半年間をかけて4枚の絵を描きあげました。それがこちら。

王宮

水上マーケット

タラート

コムローイ

上から順に、朝から夜まで、一日中元気なタイの景色がそこには広がっています。

「何を描くか、題材はわたしが決めました。自分が思うタイらしい景色をピックアップしたつもりです。どれも、みんなこっちを向いて手を振っているでしょ? 朝から晩まで走るBTSですから、電車を降りていく人に『行ってらっしゃい!』という気持ちを込めて。働きに行く人も、家に帰る人も、観光に出かける人も、明るい気持ちで次の場所に向かってもらえるように

 

目が覚めるようなあざやかな色彩、笑顔のパワーにあふれた人々。
阿部さんの絵を見ていると、わたしはなんだか「はじめてタイに来たときの気持ち」を思いだします。そう伝えたところ、

「わたし、タイに住んでもう22年になりますけど、ずっとよそ者なんです。いつも外国人の目でタイを見て、いつもタイにときめき続けてるんです」

ですって。そんなふうにずっとタイに暮らせるってすごく理想だなぁ、と感動しちゃいました。
阿部さんの絵は、大きな瞳にディフォルメされた人物の表情が印象的ですが、パレスやブッダなど、タイの人たちがリスペクトしているものについては、資料を集めて徹底的に描写するんですって。 人物の絵が幻想的なのに対して、背景は緻密に写実的に描かれているのも面白いですよね。

 

実は、隠れ○○○○があるんです

通常、広告を作るからには「商品を売りたい」とか「ブランド名を知ってもらいたい」という目的があるため、商品の写真や名前、会社のロゴがドドーンと飾られます。しかし今回のBTSプロジェクトにあたり、阿部さんはぺんてるから「自由に描いてください」と言われたそう。

「だから本当に自由に描いちゃいました。……でもね。せっかくなのでBTSのラッピングでは『ぺんてる』の商品を絵の中の人に持たせたんです。商品だけ別で描きおろして持たせています。面白いでしょ? BTSを見かけたらぜひ『隠れぺんてる』を探してくださいね」

見せられる広告から見たくなる広告へ。
楽しい遊び心がいっぱい詰まったBTSは6月末ごろまでの運行予定です。4種類もう見かけたよー、という方はいますかね。わたしはまだ2種類……(しかも、写真撮ろうと思ってもなかなか難しい)。コンプリートできますように。

 

お会いした阿部さんの瞳は、阿部さんが描く人物のようにキラキラ。ふと目をおろすと、その手には絵の具がついてました。「いつもどこかに絵の具がついてるんです。笑」 

 

 

ハイテク!? なイベントも同時開催中!

また、今回のBTSラッピング柄の「オイルパステル」が特別販売されることになり、スペシャルイベントも開催! 阿部さんの書いた線画に色を塗ると、ARアプリを通じて絵が3Dになるというもの。BTSサイアム駅直結のサイアム・スクエアワンのBTSリンク階にて開催。5月21日より1週間に1柄ずつ、全4週間開催される。

<イベント開催場所>
Siam Square One(BTSリンク階)
期間:5月21日~6月17日
住所:BTSサイアム駅直結
電話: 0-2255-9994
営業時間:10時~22時 無休

7月以降もイベントを予定しているそうなので、お楽しみに。

*****

今回の取材はアコ画廊さん(スクムビット49と51の間)で行いました。アコ画廊さんでは阿部さんの作品をたくさん見ることができますので、ぜひ近くに来た際には寄ってみてくださいね。ポストカードはおみやげにもぴったりです!

阿部さんとアコ画廊とアコさんと。アコさんと阿部さんも20年来の仲ということで、楽しいインタビューとなりました。ありがとうございました!

 

 

 新着記事を読む 

関連記事

  1. バンコクで「バンクシー展」開催中 THE ART OF BANK…
  2. 【6月11日〜7月27日】杉山健司 個展「 IIM – Insi…
  3. 【ノンカイとチェンマイ2か所で開催】ノンカイで暮らす日本人画家・…
  4. セントラルエンバシー・プレゼンツ MADSAKI「Combina…
  5. Flower KOKO 子供の日イベント 2018年4月28…
  6. 【3/27まで】バンコクで開催!多彩なアートに触れられる芸術祭 …

オススメ記事

  1. Souffle And Me 外はサクッと中はフワフワ。 バンコクで本格スフレを食べるならココ 「Souffle And Me」
  2. なんと日本人顧客が99%以上! バンコクでスーツをオーダーメイドするなら 【Andrew&Walker(アンドリュー&ウォーカー)】
  3. AVELA Clinique タイ屈指の美容医療を提供する「AVELA Clinique」2022年、注目の2大施術って?
  4. 【バンコクで癒されたい!】猫と遊んで社会貢献? 猫カフェ「キャッサノバ」に潜入
  5. teshima clinic-1 首や腰の痛みの原因「カチカチの筋肉」、柔らかくする奥のテ! バンコクで見つけました!

最新のTHB-JPY

PAGE TOP