3分でわかる!今週のタイ・ニュース解説

【3分でわかる!今週のタイ・ニュース解説】カンボジアでのタイ人拉致事件が、在タイ日本人の生活に影響?


タイでは今週も様々なニュースが駆け巡りました。そのなかでも注目のニュースを、ダコの姉妹紙である「newsclip」編集部が解説します。

今回のテーマは、「カンボジアでのタイ人拉致事件」について。

タクシン元首相とカンボジアの関係

「タイ人民主活動家、カンボジアで拉致(らち)され行方不明」という記事が、6月11日付けでnewsclip.beに掲載されました。カンボジアに亡命中だった民主活動家の男性が6月4日、首都プノンペンの自宅アパート前で武装した何者かに連れ去られた事件です。「在タイ日本人には無関係」と思われがちですが、実は我々の日々の生活にも影響を与えかねない出来事です。

今回の事件を軸としてタイとカンボジアの政治関係を見る場合、この数年は友好関係を保っている、といえます。タイのタクシン元首相とカンボジアのフン・セン首相との蜜月関係が終わったことによるものです。終わっていないかも知れませんが、今のところカンボジアでのタクシン元首相の存在感は薄れています

タクシン元首相とフン・セン首相は、タクシン氏が実業家だったころからの旧知の仲で、ゴルフを一緒に楽しむ間柄といわれています。クーデター発生の2006年以降、海外逃亡を続けるタクシン元首相を擁護(ようご)したのがフン・セン首相で、プノンペンに邸宅を建てたり政府経済顧問に任命したりするなど、タクシン支持の立場を積極的にアピール。

一方で、同元首相を追放した側のタイ政府には、国境での軍事衝突や外交紛争を起こすなど敵対する態度を取ってきました。タクシン元首相の妹であるインラク元首相も2014年、兄と同じくクーデターの発生を受けて海外に逃亡、カンボジアを経由して第三国に向かいました。

タイ全国学生連盟によるデモ

現政権のプラユット首相は2014年にクーデターを起して以降、フン・セン首相との関係改善に乗り出し、目障りなタクシン元首相の影を払拭することに成功しました。昨年4月に報じられた、両国を結ぶ道路橋と鉄道が完成したことを祝う式典で鉄道旅行を楽しむプラユット首相とフン・セン首相の姿は、記憶に新しいところです。

今回プノンペンで行方不明となったタイ人民主活動家は「反独裁民主戦線(UDD)」メンバーとされ、インラク元首相と同時期に亡命しています。UDDとはタクシン支持を掲げて暴動を起したいわゆる「赤シャツ」です。タクシン元首相の影響力が薄れた現在、カンボジアにとって好ましくない存在とみなされていても、何ら不思議ではありません。

在タイ日本国大使館は6月5日、「タイ全国学生連盟の呼びかけによる政治集会」が同日実施される予定であるとし、現場周辺に近づかないなど安全を確保するよう、在留邦人に促しました。学生デモは今年に入って頻発しています。民主化推進を掲げたリベラル系の「新未来党」が解党されたことへの抗議はたいてい、学生たちによって起きています。そしてこのようなデモには未だ、タクシン支持者が参加します。

コロナ騒動が収まって人々が再び街に出てくるようになれば、在タイ日本人の日々の生活に支障をきたすほどのデモが起きても、さほど不思議ではありません。

関連ニュースはこちら

6月11日 タイ人民主活動家、カンボジアでら致され行方不明
http://www.newsclip.be/article/2020/06/11/42703.html
6月5日 BTSナショナルスタジアム駅前で政治集会、5日午後5時から 在タイ日本大使館が注意
http://www.newsclip.be/article/2020/06/05/42660.html

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