新型コロナウィルスの影響を受け、バンコクでは3月26日から生活必需品を売る店以外の商業施設は営業停止に。さらに小中学校や高校、大学などすべての教育機関、そして民間の学習塾も休校となっています。
今、バンコクでは、外に出られない〝家ごもり〟の生活を強いられる家庭が多くなっています。このような状況で気になるのが、ストレスを受けること。大人・子供ともにどのようなストレスを受けると考えられるのか、またその場合はどのようにトラブルを回避すればいいのか。
日本で13年間、34,000件以上の電話(オンライン)カウンセリングを行い、タイでの事業も展開する株式会社キキウェル代表の菊本裕三氏と、一般社団法人 日本ライトカウンセリング協会の代表理事を務めるあさくらゆかり氏の両名に、アドバイスをもらいました。
外出できない子供にかかるストレスとは?
前編は「子供」編。学校に通えず、バンコクの公園は4月2日から4月30日まで閉鎖と発表されるなど、外に出にくい状況が続いています。そんななかで、子供にはどのようなストレスを受けると考えられるのでしょうか。家で実践できる、子供のストレス解消方法も聞きました。
菊本 大人も子供もそれぞれにストレスがたまります。子供が受ける主なストレスとしては、下記が考えられます。
□ 思うように体が動かせないこと
□ 幼稚園や学校で得ていた、心躍る刺激が少なくなること
□ 人間関係が狭くなること
□ 社会のなかでの自分を出す機会が減ること
4番目について補足すると、子供にも社会のなかでの役割があり、幼稚園や学校での自分と、家庭での自分は同じではないんです。もしかしたら、家では最年少のお子さんが、学校ではリーダー気質かもしれない。その幼稚園や学校に行っているときの自分を出せないと窮屈なんですよね。
あさくら ストレスがたまるとどうなるのか。例えばうつの場合では、大人も子供もまず思考が変わりますね。鈍くなったり、悲観的だったり、焦りや不安が強くなったり。
お子さんの場合は不安を言語化しにくいので、頭が痛い/お腹が痛い/起きたくないなど、身体の症状に現れやすいですよね。お子さんが身体的なことを訴えた時は重要なサインだと思いますので、見逃さないで欲しいです。
では、なぜそうなるのか。年齢によりますけど、幼稚園くらいだと外に行ってはダメというストレスですよね。私は保育士をやっていたんですが、雨の日は外で遊べないから子供たちが本当に荒れるんです。小さな怪我も多いし、部屋も荒れる。子どもはストレスから乱暴なふるまいが多くなり、喧嘩やトラブルも増えます。お母さんには、命にかかわるような怪我などには気をつけつつも、あまり叱りつけないように覚悟しておいてほしいです。
小学校になると、世の中の不穏な空気を漠然と不安だと感じる子もいると思います。そういう場合には、今の状況や起きていることを正直に伝え、それに対してお父さんとお母さんが考えていること、そして一緒に取り組んでいこうと話してほしいです。
あさくら 基本は、「せっかく親子で家にいるのだから、何かしてあげよう、何かしてあげなくては」と思わないことですね。まずはこれまでの現状・日常をキープすることが重要です。
その上で、普段できないことするのは良いと思います。その際も、「今までできなかったあれをしてあげられる」というポジティブな発想からであればいいんですが、「とにかく不安だから何かしてあげた方がいいのではないかしら」という思いからであれば、それ自体が親御さんのストレスになります。
菊本 お父さん、お母さんは「どこかに連れて行ってあげよう」と考えなくていいと僕は思うんですよね。子供のストレス解消は、まず外の空気に触れさせることと、人に触れさせること。
バンコクでは公園も閉鎖となりましたが、外の空気に触れるのは玄関先やベランダでもいい。また、食料品や日用品の買い物に一緒に行くのでもいいと思いますよ。日光や外気に触れることが大事です。
学校に行けない状況で人に触れるのは難しいかもしれないですが、例えばオンラインでお友達と話すのでもいいと思います。できることは総動員した方がいい。
子供に必要なのは〝刺激〟
家から出られず、学校にも通えないという今、ストレスがたまる状況はなかなか回避しにくい。ではこのような環境のなかで、親はどのように子供と接するべきだろうか。
その際に注意したいことがあります。それは、お母さんがあまり見ていないという環境で話をさせてあげること。「お母さんは自分から目を離している」と感じるような〝隙〟を与えた方がいい。
というのは、お母さんの前ではどうしても家での子役を演じてしまうからです。例えば、おうちでは「パパ・ママ」って呼んでいるかもしれないけど、お友達の前では「父さん・母さん」と言っているかもしれない。そういう何気ない部分を、お友達の前で出せることが重要なんです。
あさくら 目は離さず、気持ちを離す。
菊本 お母さんの目が届かない社会的な時間。私たちは、それを「丁寧に放っておく」と言っています。
あさくら そうはいっても、子供が小さい場合は難しいですよね。怪我をするかもしれない、1人にすると何をするかわからないと、同じ部屋にいることになります。近くにいても、「お母さんは何も言ってこない」と思わせるように、例えばお子さんがオンラインで話しているときには、お母さんは本を読んでいたり。危ないことをしない限りは放っておくことを意識してほしいです。
もう少し大きいお子さんなら別室でもいいし、さらに大きいお子さんならあえて一緒に買い物に行かず、お留守番してもらうことで1人の時間を作ってもいいかもしれません。
学校の友達だけでなく、日本のおじいさんやおばあさんと話すのでもいいのですよね。大人も子供も、物的にも、精神的にも刺激が少なくなります。学校に限らず、人間関係は広げる努力をすべきだと思います。
菊本 大人・子供に限らず、刺激を得ることは本当に大事です。刺激というと大ごとに聞こえるかもしれませんが、例えば、外を歩いていて目の入ったものを面白そうと思ったり、そういう些細なことも刺激です。外に出られないなら、ネットで見られるマンガが面白いでもいい。日々、少しでも心が動くことが大事。
あさくら 学校ではカリキュラムにおいても、刺激を与えることを大事にしています。理科の実験や社会科見学など、意図的に様々な刺激を与えることを取り入れている。「なんだろう、これ」と言わせるために、先生たちは意図的に工夫していますよね。それがなくなるということは、子供にとって非常にストレスになると思います。各家庭でできるだけ面白そうなことを見つけ、実践するのがいいのかなと思います。
菊本 ただ、大人が用意したものをただやらせるだけではあまり効果が高くないと思うんですよね。
僕が推薦したいのは、普段できない、もしくはしてはいけないようなちょっと悪いことをお母さんと一緒にやること(笑)。例えば、汚れてもいいお風呂で絵具まみれになってみるとか。子供が「それいいの?」と引くくらいの方が刺激になる。
あさくら 私のクライエント様から聞いた話ですが不登校のお子さんがいる家庭で、部屋を風船だらけにして遊ばせたという例もありますよ。
菊本 例えば、その風船をオレンジピールで割ってみるのはどうですか。柑橘系の果実の果汁は風船が割れる成分を含んでいるので、ミカンの汁を手に塗って風船を触るとすぐに割れるんですよ。実験的な要素も含むと、そこから発想が広がりますからお勧めしたいです。
もし家ごもりがさらに続くとしたら…
新型コロナウィルスの猛威はなかなか収まる様子を見せず、この状況が長く続く可能性もある。〝家ごもり〟がさらに続く場合、親はどのようなことを心がけるべきだろうか。
菊本 家ごもりが長くなると、毎日違う刺激を、というのが難しくなる。できることは限られますが、家の手伝いをしてもらうのがいいかもしれません。私の場合ストレスがたまると、家のトイレやお風呂場などの水回りを徹底的に磨きます。「磨く」という作業がそれだけに集中できるため、終わったときには達成感と共に、心地よい疲労感が次の仕事へ向かわせてくれます。集中に意味があります。
10歳以上のお子さんは、大人と同じ扱いで役割を担ってもらっていいと思います。もちろん包丁を持つ、火に近づくなど危険なことは年齢によってはできませんが、盛り付けるのは子供の役目でもいい。普段できないことが、子供にとって刺激になりますよ。肝心なことは体と同じように脳も違う部分を使うということです。
あさくら 学校はもちろん、おそらく塾も行けないですよね。教育熱心なお母さんは、勉強が遅れることが心配になるはずです。何かをしてあげたいと思いますよね。
その時に何ができるか。これについても、無理やり何かをしてあげる、とは考えない方がいい。できることを把握したいです。
学校教育のあり方とは何か、日本の教育基本法では2つをあげています。
「教育を受ける者の(1)心身の発達に応じて、体系的な教育が組織的に行われなければならない」
「教育を受ける者が(2)学校生活を営む上で必要な規律を重んずるとともに自ら進んで学習に取り組む意欲を高めることを重視して行わなければいけない」
赤字は集団でしかできないですが、青字は家庭での個別対応で、より有利に効率的にできると考えられることです。
(1)では、家庭では体系的な教育を組織的に行うことはできませんが、子供1人ひとりの心身の発達に応じた働きかけや対応ができます。
(2)では、家庭では学校生活を営む上で必要な規律を重んずる態度は育みにくいですが、自ら進んで学習に取り組む意欲を高めることはできます。
学習に関しては、ぜひお子さんが何に関心興味があるのかを見極めてあげてください。何が得意で、何か不得意か。そばにいるお母さんが一番把握しやすいと思うんです。
今の時代はインターネットで情報収集がしやすくなっていますが、それを「へー」で終わらせず、「じゃあやってみよう!」と行動に移してみる。例えば、お子さんがYouTubeを見ているときに、何に興味を持ち、目を輝かせているのか。それは一緒にいるお母さんだからわかることですよね。お子さんが興味を持っている動画を実生活に持ってくることはできないか、と考えてみてはどうでしょうか。
後編では、家ごもりの生活のなかで、大人がどのようなストレスを受けるのか。そしてその対処法についてのアドバイスをまとめます。
菊本裕三氏 心理カウンセラー。株式会社キキウェル代表取締役。TVをはじめとするメディア出演、雑誌や各種業界誌へのコラム掲載などで新しいカウンセリングの概念を創り出した。著書に『聞く技術』(アスペクト出版)『だてマスク依存症~無縁社会の入り口に立つ人々』(扶桑社)がある。 |
あさくらゆかり氏 心理カウンセラー、メンタルケアセラピスト。一般社団法人 日本ライトカウンセリング協会 代表理事。キキウェルメンタルヘルスサービス所属。うつ病専門の電話カウンセリング、お母さん専門のマザーカウンセリングなど幅広く活動。著書に『はげます技術』(サンマーク出版)。 |
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