カッコよすぎるのはイヤ。スマートすぎるのもイヤ。気が回りすぎるのもイヤ。少しぐらいダサいほうがいい、落ち着くの。
その昔、ミス・キャンパスに輝いた超美人な友人がよく言っていた男の好みだ。見た目のイケメンたちがこぞって振られ、流行を追わない大らかな骨太男子とゴールイン……。
ここは、バンコクから150kmほど南東に走ったリゾート地、パタヤのホテル。チェックインして館内を歩きながら、懐かしい彼女のセリフをそのまんま思い出した。
創業38年のこのホテルはカッコよすぎない。5階建てのホテル棟はロの字に部屋を配し、ロビーは屋根まで吹き抜けになっている。オフホワイトのゴツい造りの館内には、なぜか昭和の香りのする中国家具や、町の遊園地に描かれたような森の壁画がある。広々としたひょうたん型プールにもニンマリ、親しみが湧く。
スタッフもスマートすぎない。気さくに話しかけてくれ、対応も大らか。5ツ星クラスや歴史のあるホテルは時折、緊張を強いられることがある。でもここは、パタヤ屈指の老舗ホテルなのに、巨大な別荘を持つ親戚の家に遊びにきたような気分になれる。
総面積7万2000㎡の広大な敷地には野生の大木があちこちに茂る。館内を走るカートはないの? とスタッフに聞くとニッコリ笑って、「散歩をお楽しみくださいね!」。気が回りすぎない。ホテル棟の周りには泥沼と水生植物。泥の匂い、カエルの声がする。
部屋はとても落ち着く。私が泊まったトロピカル・リラックスルームは木陰を生かした造りで、テラスは緑に覆われている。
どうかこれからもスタイリッシュにならないで。人間味がある、この雰囲気を好きになってしまったから。
流行を追わない大らかなホテルが、こんなに居心地いいとは、知らなかった。
Siam Bayshore Resort
場所 559 Beach Rd., Pattaya, Chonburi
電話 0-3842-8678
HP www.siamhotels.com/siambayshore
料金 9月21、22日大人2人のホテル料金:トロピカル・デラックス5700B ( 税サ別、Wi-Fi、朝食付)
※ プロモーション料金はHPで確認してください