バンコクの街角

アラフォー男の脱・童貞談。

映画『40歳の童貞男』に見出しを引っ掛けてみましたが……。37歳の誕生日を迎える前日に、めでたく童貞を捨てることができました。

 

「童貞」といっても世間一般で言うアレに関する話ではなくて、「講演童貞」です。

 

とあるボランティア機関の集会で、「タイに住む日本人を招いてお話を聞こう」という企画がありまして、そこで白羽の矢がこのダコにぶすっと立てられたわけです。

 

いや~緊張しました。当方、もともと人前で話すのが苦手で、その代わりに文章や写真でアウトプットする仕事を選んだような人間なので。

 

数年前にラジオ番組を毎週やっていたり、日本のTVやラジオにも何度か出演する機会がありましたが、その際は事前に完全台本をがっちり作って、そこに書かれたとおり話すというガチガチの硬直したトークをやっていました。

 

が、今回の持ち時間は1時間。完全台本を作るには長すぎます。というわけで、事前にちょこちょこっとメモを作って臨んだのですが、本番が近づくにつれて心臓バクバク、汗がダラダラ出て止まらない状態でした。

 

ちなみに、この「講演童貞」って言い回しは私オリジナルの言い方ではなくて、浅田次郎のエッセイ・シリーズ『勇気凛々 瑠璃の色』の中で使われていたもの。

 

手元に本がないので正確な引用ではありませんが、浅田先生も人前で話すのが嫌でずっと講演を避けていたけれど、どうにも断れない事情があって講演をすることに。

 

嫌々壇上に上がって会場を眺めると、そこにいる聴取はただの大勢の人ではなく、自分の熱心な読者であると直感したそう。講演とは「単に人前で話すこ とではなく、読者に直接話しかけられる貴重な機会だ」と気付いたことで、一気に緊張がほぐれ、時間をオーバーするくらいに話し込んでしまった、なんてこと がそのエッセイには書かれていました。

 

私の場合もまさにそうで、いったん話し始めて出席者の顔を眺めてみると、私の取り留めもない話を熱心に聴いてくれる人、メモを取る人、ずっと目を 瞑っていて居眠りしてるんじゃないかと思ったら、面白い部分だけカッと目を見開いて(ああ、集中するために目を瞑ってたんだ)聞いてくれる人などなど、一 人ひとりの反応が伝わってきて、緊張もするするとほぐれ、気が付いたら1時間がすぎてました。

 

終わる頃には「あと10分だけ話させて!」と言いたくなるくらい、良かったです。

 

浅田先生は講演童貞を捨てて以来、その良さに病みつきになってしまい。すっかり「講演ヤリチン」になったそうですが、その気持ちがようく分かった経験でした。

 

というわけで、その夜は脱・童貞を記念して「キッチン新潟」でカツカレー。ここのカツカレー、タイに住み始めた当初からずっと食べ続けていたりします。今ほど日本料理店が充実してなかった頃はここのカツカレーに何度も助けられ、励まされたものです。(F)

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