黄金の三角地帯でアナンタラ
足元はタイ。すぐそこの小川を隔てた野原がミャンマー、向こうの山々はラオスだとホテルのタイ人スタッフが説明してくれた。
第二次世界大戦後の中国残党武装勢力、資金源としての麻薬、麻薬王クン・サらの血なまぐさい幻影……。テラスから見えるなんの変哲もない景色がにわかに意味を帯びてくる。
しかしホテルの館内は常にバカンス感覚を研ぎ澄まさせ、鼓舞させてくれる雰囲気に満ちている。スタッフとは冗談がよく通じ合う。お客の心を読むのに長けているのだろう。こちらの一歩先を読む回答やサービスは心地よい限りである。
ここには象を保護する基金が設けられており、広大な敷地内にある象使いの村に25頭もの象が飼育されている。象の調教を体験できるツアーがあったので申し込んでみた。乗り降り、方向転換、進め、停止を教わり、象の皮膚の上に直接、両手両足でしがみつくようにしてまたがり、山道や階段を上り下りする。クレームを恐れる旅行会社であればまず尻込みするような危険が伴うが、象一頭につき選任の象使いが一人ついているので、ほとんど事故はないそうだ(象から落ちた人が一人いたそう)。
象使いが象に気合を入れるときに発する「ヘヤッ!」というかけ声は初代ウルトラマンの声と同じだ。初代ウルトラマンは円谷プロで特撮を勉強していたタイ人、ソンポート氏がスコータイの仏像から閃いたものだが、そうか声は象使いか……。調教体験は安くはないが、その価値は補って余りあった。
ほかにも象と行くピクニックや山登り、丘の上から暗闇に消え行くメコン川を見ながらのキャンプファイヤーを囲んでのワインなどヘミングウェイが好みそうな「大人の遊び」プログラムが用意されてある。いくつかのツアーに遭遇したが、参加者はみな、優しい瞳をしていた、よね、象さん。
Anantara Golden TriangleResort & Spa
住所 229 Moo 1, Chiang Saen,Chiang Rai
電話 571500-7642-7500
HP www.anantara.com
料金 デラックス・ルーム7500B(朝食付、税サ込み)~ ※3月31日までの在住者特別料金!
象調教体験3565B/2時間(税サ込)、オイルマッサージ2700B/60分(税サ別)、
ブッフェディナー1100B(税サ別。料理内容により料金が変わる場合あり)