たなぼたの抱擁
ただで5ツ星に泊まるなんてそうないから、急な誘いだったが二つ返事でオーケーした。電車でもタクシーでもよく通るスクムビット、アソーク交差点そばのこのホテルはよく知っている。次の日も仕事だった。気にかかる顧客の顔がまとわりついている。でも泊まることにした。どうせ今日も、明日もあさってもやらなきゃいけないことは次々にふってくる。ゼロにはならない。オンとオフの切り替えなんてしたら、気持ちが止まる。止まったものを動かすときが一番厄介だ。
着いたのは夜だった。パソコンを持ち込んで16階の部屋に入る。足が痛い。今日の靴は失敗だ。指の節々が赤くすれている。靴を放りマシュマロみたいなスリッパに足を入れた、履き心地に頬が緩む。シルク地のカーテンを開けると、シーロム方向のビル明かりが見わたせた。都会の夜空の上には三日月があった。
べたつく体にアルコールや排気ガスやその他もろもろが、混じりついているようで落ち着かない。緑色のタイルで設えられたバスルームでシャワーを浴びる。アメニティの石けんで香る自分の肌が気持ちが良かった。羽織ったバスローブがほのかに香った。ホワイトティーの香り、身体がクールダウンしていく。
待っていられるのも面倒だろうと、後から来る友人を待たずに寝ることにした。軽く空気を含んだ掛け布団に身をあますことなく包む。枕はどこまでも沈みこみ、おろした頭を柔らかく受け止める。仰向けに寝た体から一つひとつ何かがはがれて落ちてゆく。安心安心とつぶやいた。気持ちがいい。ヘブンリーベッドの実力は明日の朝にわかるだろう。
THE WESTIN GRANDE SUKHUMVIT BANGKOK
住所 259 Sukhumvit Rd.
電話 0-2207-8000
HP http://westin.com/bangkok
料金 ヘブンリー・ゲートウェイ・パッケージ:5000B~(1泊)(税サ別)ウェスティンオリジナルのヘブンリーベッド10周年記念プロモーション。
特典 客室での朝食サービス。レイトチェックアウト(16時)期間:~2009年12月31日