2015年3月20日発行のダコ405号の特集は「タイ・プレミアリーグのサムライたち」です。近年、盛り上がりを見せているタイのプロ・サッカーリーグで活躍する日本人選手や監督、スタッフに焦点を当てて紹介します。今回は、特集番外編として、ポートMTI FCでエースナンバー「10番」をつける猿田選手に、ポートFC大ファンのダコ営業マン・ガタが、インタビューに行ってきた時の模様をお届け!
猿田浩得 選手 ポートMTI FC MF 背番号10番
プロフィール:
1982年10月28日生まれ 32歳。2005年、Jリーグでのキャリアをスタート。3シーズンを過ごした後、シンガポール・リーグの「バレスティア・カルサFC」へ。2009年からはタイ・プレミアリーグ(以下、TPL)の「シーラチャーFC」(当時TPL)に。2010年「バンコク・グラスFC」、2014年から「ポートMTI FC」に在籍する。
タイのサッカー界がすごく盛り上がっているのを肌で感じる
【ガタ】今季でTPLの7シーズン目となるんですけども、猿田選手が来タイ当初は4人だった日本人選手も昨年は60人近くになりました。選手としてプレーしていて、この流れをどう感じましたか?
【猿田】日本人がどうこうというより、やっぱり、タイのサッカーが盛り上がっているというのが、本当に1年1年肌で感じます。お金の面も含め、サポーターの数、メディアの数が、年々すごいですね。
【ガタ】勢いが増してきている、という感じですか?
【猿田】そうですね、年々。僕が7年前に来たときと比べて、ずっとアップし続けています。これは本当にすごいことだけど、どこまで行くのかな、という思いもあります。
【ガタ】はい。
【猿田】でも、この流れがずっと続けばいいですね。今、代表も強くなって、この前のスズキカップ(編注:2014年12月に開催された第10回東南アジアサッカー選手権)でも優勝したので。そうしたら、タイのサッカー界がもっと盛り上がって、リーグのチームや代表も強くなるんじゃないかな、と思います。
周りに「あいつは20が好き」と思われていた
【ガタ】はい。ありがとうございます。シンガポール時代からTPLに入って、昨シーズンまでずっと20番を着けていましたが、「20番」になにかこだわりはあったんですか? お子さんの誕生日が20日というのは聞いたことがあるんですけど。
【猿田】それは、まあ、後付けですね(笑)。
【ガタ】後付けだったんですか!? (笑)
【猿田】そうなんです(笑)。一番最初、シンガポールに行ったときに、たまたま20番をもらって、その流れですね。シンガポールのときもこだわりがあったわけじゃなかったんです、20番に。「じゃあはい、20番ね」って言われて、そのままもらって。タイに来たときも、何番か選べたんです。ただ17とか18とかしかなかったんで、それだったら、シンガポールの時と一緒の20で、ということで。その年からもう「あいつは20が好きだ」っていう風に思われるようになりました。
【ガタ】はい。
【猿田】それ以降は、20番を用意されている感じでしたね。「空けておいてやったぞ」的な。
自分を奮い立たせてくれる10番
【ガタ】(改まって)おほん。今年から、10番 になりますけれども。
【猿田】そうですね。
【ガタ】心境の変化とか、背負うもの、みたいなのはありますか?
【猿田】いや~。特にはないんですけど。やっぱり「10番」って、エースナンバーなんで。そこは意識しています。チームに貢献しないとな、という、自分を奮い立てている面もあります。
【ガタ】また、気持ちも一新して。
【猿田】そうですね。後は、ちょっとネタ作りもありましたね(笑)。本田圭佑選手(イタリアACミラン所属、現日本代表)が「10番空いてて、取らないやつはいない」、って言っていたのもあったので。
【ガタ】はい。
【猿田】それを聞いた後、チームから背番号の話が来たときに「あ、じゃあ、10番があるんなら10番くれ」っていうことで。
【ガタ】チャンスがきたからいただいちゃった?
【猿田】そうです(笑)。一回、バンコクグラスのときも話があったんです。「『10』番どうだ?」って。だけど、そのときは、なんかまだ20番の方がしっくりきたんです。「子供が生まれたのが20日で、20が好きなんだ」って言って。今回、10番を選んだのは、これもちょっと心境の変化かな、というか、まあ、これでまた変わったのかな、と。もっと活躍したい、という思いも込めて着けました。
【ガタ】期待しています!
【猿田】はい(苦笑)。
監督が求めることをやるだけ
【ガタ】今季からチーム名、オーナー、監督、スタッフ、選手も4人以外はほぼほぼ全員変わっているんですけども、チームの雰囲気は、去年と違うものになっているんすか?
【猿田】本当にまったく。結局残ったのは、僕と4人の選手で、オフィスのスタッフとかも全員変わっているんで。
【ガタ】はい。
【猿田】オーナーも最近新しくなって。本当に変わりました。戸惑いはありますけど。でもどこのチームにいても、やっぱり監督が変わるとそのシステムが変わるので慣れてはいます。
【ガタ】はい。
【猿田】やることは一緒です。どれだけ監督が求めていることをできるか、という気持ちが強いですね。
ファンの声援は、僕らの力の源
【ガタ】なるほど、分かりました。じゃあ、最後に! 日本人ポートFCファン、日本人猿田選手ファンに向けてひと言ください!
【猿田】ガタさんのことですよね(笑)。
【ガタ】おほほほ(笑)。今季の抱負をお願いします。
【猿田】タイのメディアにも言っているんですけど。10ゴール・10アシストを目指しています。チームとしては(ディビジョン1に)落とさない、というのを目標にしてやっています。できれば、ベスト5くらいには入りたいです。
【ガタ】優勝じゃなくていいんすか(笑)!
【猿田】目標としては低めかもしれないすけど(笑)。現状(※)とかを考えると、ベスト5に入れば、万々歳だな、というところで。
※ポートMTI FCは、2年前の給料未払い問題で、今季の勝ち点が3点減点されるという話がある。
【ガタ】はい。わかります。
【猿田】ファンのみなさんにひと言、ということなら、スタジアムにすごい来てくれると僕らみんなのモチベーションも本当、上がります。
【ガタ】はい! もっともっと日本人の方にも来てほしいですね!
【猿田】そうですね。たぶん、ひとつ言えるのは、PATスタジアムは場所だけなら、たぶんタイで一番いいと思うんすよね(笑)。
【ガタ】はい(笑)。
【猿田】そこはナンバーワン。スタジアムのきれいさとかは関係なしに。
【ガタ】近いですからね。
【猿田】そうですね。おもしろいと思うんですよ。気軽に来てくれたらうれしいです。応援してくれるファンのみんなは、僕らの試合中の力の源なんで。お願いします!
【ガタ】分かりました! サポーターも頑張って応援します。
【猿田】ありがとうございます。
【ガタ】ありがとうございました。
※猿田選手のインタビューはここまで。ここからはインタビュー舞台裏。ガタによる、仕事そっちのけ、いちサポーターに戻ってのやり取り。
【ガタ】最後に、まだいいすか? 写真撮ってもらいたいんですけど……。
【猿田】全然、全然。
(カシャ、カシャ)※写真を撮る音。
【ガタ】ありがとうございました。
【猿田】あれ? ユニフォーム、買ってくれたんすか。
【ガタ】はい! あの~、サインいただきたいな、と。
【猿田】全然いいです。ペンがあるんなら。
【ガタ】あります!
(シュッ、シュッ)※サイン書く音。
【猿田】いつもガタさん、どこで見てるんですか?
【ガタ】僕は、ゴールネット裏ですね。
【猿田】あそこの裏なんすね。
【ガタ】猿田さん、すいません。うちの嫁のユニフォームなんですけど。「ポーちゃんへ」って書いて、サイン書いてもらっていいですか?
【猿田】はい。え~と。
【ガタ】ポー。ポーですね。
【猿田】コーちゃん? K……
【ガタ】「ポ」。パピプペポのポ。ポー。ポーです。
【猿田】あ、ポー、すね。OKです。
【ガタ】名前付きでお願いします。
【猿田】ポー……、「ちゃん」で?
【ガタ】「ちゃん」で。
【猿田】あ、女の子なんですね。
【ガタ】……はい。
(シュッ、シュッ)
【ガタ】ありがとうございました!
【猿田】ありがとうございます。
【ガタ】あの~。応援してます! 頑張ってください。また、よろしくお願いします。
猿田選手、練習へ。
【ガタ】ミッション・コンプリートです。やりました。
~この日(2月21日、第2節ガルフ・サラブリーFC戦)、猿田選手は今季のチーム初得点となるシュートを決め、勝利へと導く大活躍だった~