DWCサンプル-ダコウェブ・クリエイティブ:生命の根源たる微生物の美しさを擬人化

2018年3月にバンコクエカマイにオープンした米ぬか酵素風呂「サラブラン」のクリエイティブを受け持ったダコ編集部デザイン部門の高島です。
米ぬか酵素風呂、知っています。はい。大好きです。以前、酵素栄養学を少し勉強していたので知識についても人後に落ちません。酵素に夢中になりすぎて「酵素様」と呼ばれていたこともあります。今は一部のスタッフから「コウソちゃん」と呼ばれています。
そんな私がサラブランのクリエイティブをお客様と一緒に進めてゆく様をライブでお届けします。

営業からのカルテ

まずは営業スタッフから上がってきた事前調査(編集部では「カルテ」と呼んでいます)によると:

  • 2015年にDATA & COMUNIQUE EXPRESS社(=ダコ社)が米ぬか酵素風呂をタイに初めて導入。場所は同社が所有するチェンライの土地
  • 兵庫県三木市にある20年の老舗酵素風呂「ぬか天国」を本家とするその分家である
  • 2016年にスクムビット33/1のマッサージスパ「at ease」内にぬか風呂ができたがサラブランとの関係性はない
  • サラブランは一度に8人も入れるプール式。大きい方が微生物の放出熱も大きい
  • 体の内側からの美容。医療用としての側面もある。実際、癌や多くの重篤な症状が改善されており、駐妻の間でも「最近、調子が良くなったのは、サラブランの米ぬか酵素のおかげに違いない」と囁かれている
  • 一回の入酵(酵素風呂に入ること)は1200Bだが初回600B。2回目から回数券や集中コースで一回あたりの入酵はかなり安くなる
  • 清潔感のある店内。庭の緑が目に優しく、おとぎ話の世界のよう
  • オーナーは19年間バンコクで洋食レストランを経営していた久美さん
  • ワークショップや雑貨の販売も積極的に行っている
  • ランチは予約制。240B。
  • 米ぬか酵素を鍬で鋤くボランティアも募集している
  • 微生物の活性化を保つために週1日休んで微生物を休ませている

これがカルテの内容だ。営業くん、ありがとう。

 

それではオーナーの久美さんに直接ヒアリングしてくる。

 

米ぬか酵素風呂は大人の遊び


ダコ:「こんにちはー、インパクトある映画ポスターのような広告を作ろうとやって来ました。ご用命ありがとうございます。素敵な場所ですねー」
久美:「わああ、こんにちは。わああ大変、急にランチの予約が10件も入って、これから買い出しに行くの。代わりに夫(以下サラ)に頼んでおきましたのでサラが対応します。サラは短い期間ですが広告代理店にいたので、こういうのは話が早いと思います。私からのリクエストは、女性受けするキレイなものにして。それだけ。それじゃ」

ダコ:「初めまして。それではサラブランについて、その特徴について、その成り立ちについて、効果など、色々とお聞きしたいと思うのですが、それらはひとまず置いておいて。それらを削ぎ落として、もっともっと削ぎ落として、最後に残る芯はなんでしょうか」

久美さんのパートナーのサラさん。だれかに似ている

サラ:「なんのためにこんなことをしているかということですね?」
ダコ:「はい(ぶ、武器持って、こ、怖いかも……)」
サラ:「なんのため? か……結局、自分のためでしょうね」
ダコ:「自分のため」
サラ:「そうです。遊び」
ダコ:「仕事じゃなく遊び?」
サラ:「仕事だと思うとここまで打ち込めないよー。面白いからやっている。釣り好きは釣ることを仕事と思っていない。釣りたいから釣っている」
ダコ:「はあ……(登山家か!)」

耕運機で毎日鋤いて中の微生物に空気を与えている

 

店側も口コミを支えるメッセージを発信したい

毎朝の手入れ作業のひとコマ。マイナス電子を帯びる鉱物を入れているところ

ダコ:「遊びとおっしゃいましたが、従業員のタイ人にそういう遊びという意識はあるのでしょうか。遊ばれたらまずいんじゃないでしょうか」
サラ:「まずは私が率先してやって見せてますからね。私の気持ちは伝わっていると思いますよ。従業員は面白がっています」
ダコ:「どうしてそう思うのですか?」
サラ:「だってまず従業員自身の健康が改善してるもんね。酵素風呂に入るだけじゃなくて、酵素部屋で作業するだけで腰痛が治ったり、飛蚊症が治ったり。酵素風呂から上がって顔を上気させた常連さんに、いやー、よかった。ありがとうと言われるからこっちもニコニコしちゃう」
ダコ:「幸福の連鎖。微生物が取り持つ幸福の連鎖ですね」
サラ:「こういうサービスはお客さんの口コミが一番効果ありますね。でもね、店側もその口コミを支えるメッセージを発信すべきと思うんです。それをダコの広告デザインに求めたいと思います。間違ったメッセージではなく広告デザインを見たお客様が、『そうそう、これが私たちの好きな場所なのよ』と思えるようなものをデザインで表現して欲しいなあ」

ダコ:「……サラブランの酵素風呂を四季に例えるならいつでしょう」
サラ:「若葉の春じゃないな、冬でもない。本家のぬか天国は冬かもしれない。厳しい冬の中で温かい酵素風呂。勢い真っ盛りの夏も違う。体のメンテナンスを整え、厳しい冬に備える秋かな。元気を出してこれからの冬眠に備える」
ダコ:「紅葉とかアースカラー。落ち着きですね」
サラ:「そうですね。静かに何かを蓄える感じ」
ダコ:「たわわに実ったお米の栄養分。あ、そうそう。ここの米ぬかは無農薬なんですよね。それで米ぬかを使ったランチやデザートを出している」
サラ:「食べる米ぬかは煎って使っています」

酒粕入りの味噌汁、酒粕と味噌に漬けた豚肉焼き。自家製ぬか漬けまである

ダコ:「おいしそうですね。ところで米ぬか酵素風呂の効果はどれだけすごいものなのですか?」
サラ:「人間のもともとある自然治癒力を引き出すんですね。いろんな痛みや重篤な病が次々と快癒されています。体温が一度上がると免疫力が一時的に5、6倍にもなるそうです」

サラさんの体温は一年前まで36度前後だったのが、こんなに。しかもこれは朝一に測った体温だそう。週に一回の酵素浴で平温が2.5度上がって37.5度になった人もいるそうです

 

目の上に熱い米ぬか酵素を乗せると目の疲れも取れるようです

 

自然界の無限の力を呼び込む

緑の陽光溢れる店内で。広告デザインからどんどん離れてゆく話になっている気がしないでもない。でも面白い

ダコ:「酵素風呂に満ちあふれる熱エネルギーはすごいですね。微生物の活動だけで米ぬかの温度が60℃にも上がるんですね」
サラ:「もっと上げようと思えば上がります。でもそれだと酵素が変容しちゃうから60度。上がっても63℃にしています」
ダコ:「微生物の熱ってなんですか」
サラ:「微生物の繁殖熱と聞かされています。生命波動熱とも。人間で言えば体温かな。それらが60℃です。ここの微生物は米ぬかを餌として自然界の無限の力を呼び込んで繁殖しているんですよ」
ダコ:「自然界の力って何でしょうか」
サラ:「発酵する力。腐敗しない方向に働く自然の摂理。漬物も自然の摂理が作っていると言えますよね」
ダコ:「酵素風呂内には微生物の発酵の力が詰まっている?」
サラ:「微生物というミクロの世界の探求は宇宙の端を探す旅のようです。子供の頃、宇宙の端はどこにあるのかとしばらくイメージしていたら、自分の頭蓋骨の内側に当たった。そうか、宇宙は人間の頭の中にあるんだって」
ダコ:「へんなコだったんじゃ……、人間も宇宙を構成するもの、いえ、宇宙そのものなんでしょうね。ミクロとマクロ。相反するものが実は結合している? 陽と陰、光と影、プラスとマイナス、男と女」
サラ:「いい感じ、いい感じ。さすがデザイナー、飲み込みが早い!」

ダコ:「ありがとうございます。年中無休で米ぬかを鋤くそうですね」
サラ:「生きてますから。微生物はペットのように意志を持っています」
ダコ:「意志を持って発酵している?」

お客様が入るとオルゴールをかける。微生物にオルゴールの音色を与えることで彼らが張り切ってくれるのではないかと期待しているそうだ

サラ:「自然の何かを呼び込んで発酵するのだと思います」
ダコ:「何かって?」
サラ:「空気かな。意志を持って空気を呼び込んで生命を次々とバトンタッチするために発酵を繰り返して生き続けている」
ダコ:「微生物の世界は宇宙ですね。酵素風呂の中はプラネタリウムだ」
サラ:「このプールの中に星があり、星座がある? というようなデザイン?」
ダコ:「宇宙、星、酵素風呂の中にも星。酵素風呂に星の王子さまが入っている?」
サラ:「星の王子様が温めてくれるので、体の機能が正常になる、なんてホントか? 笑」
ダコ:「デザインにメルヘンを忍ばせましょうか」
サラ:「メルヘンか。どっちかっていうと夢でもありますね」
ダコ:「人類の夢。未来への希望」
サラ:「お! 来た来た! 決まりましたね」

 

物語のあらすじ

ダコ:「いいえ、これからですよ。フェイスブックやインスタでの発信はメルヘンや夢、宇宙での微生物の働きというものを意識して投稿してゆけばいいと思います。写真でも文章でもそこから外れなければ酵素風呂ファンを惹きつけられるでしょう」
サラ:「なるほど。そこまでは考えてなかった」
ダコ:「では映画のストーリーを考えましょう。広告というより映画のポスターを作るために今、私はお話を伺っています。サラブランの映画のあらすじを考えましょう」
サラ:「へー面白いですね」
ダコ:「主人公は?」
サラ:「女性」
ダコ:「もっと具体的に」
サラ:「夢見がちな若い女性」
ダコ:「いいでしょう。荒唐無稽でいいです。自由な発想でストーリーを作りましょう」
サラ:「キーワードに星や宇宙があるから恋人は宇宙飛行士」
ダコ:「宇宙戦艦ヤマト!」
サラ:「地球の平和を守るため微生物の力を借りて宇宙へ旅立つ」
ダコ:「微生物は宇宙との交信手段」
サラ:「宇宙へ旅立ったが宇宙の果てで宇宙飛行士は気づく。宇宙と微生物の世界は繋がっている」
ダコ:「瞑想の世界ですね。真理の追求のために我を捨てて神に近づく」
サラ:「おお、曼荼羅ですか。よくわからないけど」
ダコ:「すべては微生物。宇宙を支配するのも微生物」
サラ:「だから年中無休。火水土は夜も営業」
ダコ:「現実も忘れない。笑。発酵食ランチは宇宙食」
サラ:「宇宙食はやめて。宇宙船の中に酵素風呂があるってのは?」
ダコ:「彼女がくれた米ぬか酵素を宇宙船の中で培養した」
サラ:「じゃ、こうしましょうか。宇宙メルヘン」
ダコ:「モデルがネックですね」
サラ:「姪っ子を起用します。キャッチは? さらば地球よ、をもじって、さらば現実よ、みたいなのは」
ダコ:「ちょっと整理しましょう。米ぬか酵素風呂サラブランで出揃ったキーワードは……」

 

「幸福の連鎖。微生物が取り持つ幸福の連鎖」
「ここが私たちの好きな場所なのよ、とリピーターが思えるもの」
「体調を整え、厳しい冬に備える秋」
「紅葉とかアースカラー」
「静かに蓄える感じ」
「微生物による発酵の力。大いなる自然の摂理」
「微生物は意志を持つ」
「空気を呼び込む」
「人類の夢」
「微生物は宇宙との交信手段」

 

ダコ:「キャッチコピーだけど、『お帰りなさい、好きなあなた』って
どうでしょう」
サラ:「微生物の発言ですか? お妾さんみたいじゃないでしょうか」
ダコ:「では『お帰りなさい』。サラブランにお客さんが来店した時『お帰りなさい』という仕事から解放された言葉を掛ける。入酵するときに微生物たちが『お帰りなさい』と迎え、入酵中は宇宙の恋人に『お帰りなさい』と言われ、地球に戻ってニコニコして出るときも「お帰りなさい」。自分の素に戻る。帰る」
サラ:「お帰りなさい、か」
ダコ:「『お帰りって言われる』は?」
サラ:「オカルトっぽい」
ダコ:「『お帰りって言われるよ』は?」
サラ:「コミカルでいいですね」
ダコ:「私の中でデザインの方向性が定まった気がします(笑)。では制作してみます。次にハード情報について伺います」
サラ:「営業時間は10時からで16時が最終入酵時間です。……これみてください。ダコの広告です」

ダコ:「火水土は夜の部として18時からで21時が最終入酵ですね」
サラ:「お勤めの方用です」
ダコ:「このロゴは?」
サラ:「なんだと思いますか?」
ダコ:「オタマジャクシ」
サラ:「米粒の米ぬかの部分です」
ダコ:「ああ!」
サラ:「いいでしょ」
ダコ:「気づかなかった!」
サラ:「へへへ」
ダコ:「微生物のスケールを表す具体的な数値などありますか?」
サラ:「状態のよい酵素風呂には1グラム中に100億もの微生物が存在していると言われています」
ダコ:「それ、いただき!」
サラ:「素敵な映画ポスターが出来上がるのを楽しみにしています」

 

デザインの現場

デザイナーのコウソちゃんです。サラさんとのお話、とても楽しかったです。方向性がしっかりと提示されたので、デザイン要素として:

・デザイン・テーマは宇宙
・宇宙と米ぬか酵素の交信に少女が包まれる
・静かに癒されるもの

当初、メインキャッチに「お帰りって言われるよ」を入れてお見せすると、

 

久美さんから
「だれに『お帰り』って言われるの? 私は言わないわよ」
「伝わりにくい。サラとデザイナーのやり取りを知らないとわからないのでは?」
という指摘があり、後日サラさんにお願いして「米ぬか酵素風呂って何?」を簡潔に書いてもらい、それを元に、ダコ編集部のコピーライターが以下のように整えました。

 

メイン:100億の微生物に包まれて

サブ:米ぬかを有用微生物とそれが分泌する酵素の力で発酵させ、
60℃前後に温度を保ったものです。
ほかの一切の熱エネルギーを使っておりません。

サラブランの米ぬか酵素風呂。
「お帰り」って微生物の声が聞こえてくるかもしれないよ。(と、少女が言う)

 

それでできたのがこちら。

サラ:「すごくいいです。イメージにぴったり。ここの酵素風呂は包まれる感があるんですよ。ポスターにしてサラブランのカフェや更衣室に貼りたい。タイ語にしてBTSエカマイ駅に貼ったらお客さん、増えるだろうな」
ダコ:「『そうそう、これが私たちの好きな場所なのよ』と思っていただけるものになりましたでしょうか」
サラ:「なってる。これ、財産です。ありがとう」
ダコ:「サラさん、久美さん、ヒアリングのご協力、誠にありがとうございました」

サラ:「入ってゆきませんか?」
ダコ:「ええっ! こないだも入らせてもらったのに。いいんですか」
サラ:「どうぞ、どうぞ。天文学的な微生物と酵素に包まれてきてください」

(ダコ編集部 デザイナー部門監修のダコウェブアートワークのお問い合わせはこちら


SALA BRAN サラブラン (K. PORT CO., LTD.)

電話:0-2044-3769
HP:www.salabran.com
FB:salabranbkk
場所:38 Soi Jaroenmitr, Sukhumvit 63 Rd. (Ekkamai), Prakanong Nua, Wattana, Bangkok

【記事:2018年6月30日取材】
提供:SALA BRAN

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